TOP 釣行記index 次のページを読む
上野山さんからのリポート
口和深 (和歌山県)
2001/02/03
潮岬 (和歌山県)
2001/02/04
|
|
2月3日、4日とグレネットの親睦釣行会に参加しました。
例によって敦賀を午後8時30分の電車に乗って出発し、尼崎でグレネット管理人の下山さんと合流して予定通り和歌山県の口和深に向かいました。
口和深への釣行は1月13日以来2回目となります。
前回はいつもの遊動仕掛けでやったのですが、今回は完全フカセに挑戦しようと、"超グレのすべて"という本を買い、トイレの中や、風呂の中で同じ記事を暗唱できるほどに読みました。
また、"ぐれつり大好き"のハタちゃんにメールを出し"ウキ止めをつけない完全フカセの仕掛けでホンマにウキが入るんかいな?"などと初歩的な質問をして、丁寧に回答していただきました。
お手を煩わせました・・・ゴメンナサイ。
また、リールはサンスイ釣具店でボールベアリングを4カ所ほど交換してもらい、ほぼ新品のようになめらかに回転するようになりました。
これで大物が来てもなめらかに逆転して糸が出るはずです。
前回ハリス2.5号をかけていたのですが、今回は50cmの尾長が来てもいいようにハリス3号を使おうと思い、道糸3.5号をリールに巻きました。
準備ばんたんです。
私は月曜日から毎朝、新聞の週間天気予報を見てにんまりしたり、食事の最中に突然リールを巻く動作をするという発作におそわれながらも、なんとか淡々と日常生活を送り仕事もこなしていました。
また、体調を崩さないように早寝を心がけ3日の釣行に備えました。
これほどまでに釣りにのめり込むのは久しぶりのような気がします。
家人は少し入れ込みすぎだと気味悪く見ていたようですが・・・
さて、下山さんの車に荷物を積み込み"ほかにメンバーは何人来るのですか"と聞きますと"最初は何人か集まる予定でしたが昨日は4人になり、今日になって我々二人になりました。
"との答えです。
少し気が抜けた感じです。
フイッシングショップ尾崎で例によってボイルのオキアミを2枚づつ買い谷口渡船に着くと3時過ぎでした。
仮眠室が空いておりましたのでそこで5時40分くらいまで寝ました。
下山さんが布団をかぶって寝てくれたために、恐怖のいびきはこもった音となり2時間くらい熟睡できました。
中年になって2,3時間の睡眠で釣りをするのはしんどいな、仕事ならもちろんやらないな、などと思ったりしましたが、ほかの釣り客が支度している音を聞くと、条件反射のように防寒着を着て、カッパを身に着ける私でした。
アドレナリンが体に充填されて気分だけは20代の若者のようです。
まあ9時くらいまでしかもたないけど。
6時15分頃には港で待っていてくれというので、支度を済ませて港に行くとお客さんは30人くらいです。
列の後ろから乗り込むと例によってホースヘッドに人が群がっています。
我々はまた"ソバ坪"に乗ろうと前に行ったのですが"ソバ坪"は他の人に取られてしまいました。
仕方なく我々は船の中程に戻りました。
"大片ハエ"に乗りましょうと下山さんがいいますので、我々は最後に残った5人くらいで"大片ハエ"に上がることになりました。
磯につきますと全身ガマカツの若者が飛び降りて船着きを取りました。
下山さんがダッシュで磯の右側を登っていきます。
その後ろをブルーのカッパを着た人が追います。
私は訳も分からず二人の後を追いました。
沖に向かって磯の一番右側の低いところをブルーのカッパの人(以下略して青ガッパ氏)が取り、我々はその横に並んで釣ることになりました。
|
大片ハエの下山氏(手前)と青ガッパ氏 大片ハエから見た"重箱" |
大片ハエは釣り場が高く、右側に大きなシモリがあります。
磯の前はかなり深いようです。
ソバ坪に比べれば取り込みは楽なようですが、我々のところはタモが届かないので取るときは青ガッパ氏の所におじゃまする事になります。
また、前が深いのでやりとりで糸を出すことも出来そうです。
北風が右から吹いてきますが、潮は右に流れます。
私はガマのグレスペシャル2号に3.5号の道糸、3号ハリスを直結で4ヒロ取りハリスにフイッシングオーシャンに寄ったときに買ったG2のウキをヨウジで固定し、ウキ下を2.5ヒロ取りました。
ハリはガマ磯6号です。
かねてから予定していた仕掛けです。
でも完全フカセははじめてなので、この仕掛けで1匹釣れるまでは自信がありません。
下山さんを見るといつもの完全フカセに小さなウキを着けています。
今回仕掛けの条件は、ほぼ同じです。
ただしハリスの太さは違うでしょうが。
私が仕掛けを作り終わると下山さんはチラット私の方を見て"今日も太い竿でやるんですね"と声をかけてきます。
"大物ねらいですから"と私はハリスのことには触れずに流します。
7時くらいから釣りを始めまた。
しばらくして青ガッパ氏の竿が曲がります。
30cm位のグレを抜きあげています。
磯が高いので、竿を真下に下げてなるべく道糸に風が当たらないように注意します。
ウキは風に逆らってゆっくりシモリながら右に流れます。
8時頃になりウキがゆっくり入りました。
あわせると小さいですがグレの引きのようです。
青ガッパ氏の所に移動しグレの大きさを確認してから抜きあげました。
30cm弱のグレですが、初めて完全フカセの仕掛けで釣れたので記念すべき1匹です。
"下山さんハリス何号でやっているの"と聞きますと、"朝のうちは2.5号やったけど今は2号です"とのことです。
私はニヤリとして"私はハリス3号です。
グレは食うときはハリスの太さはあまり関係ないのじゃないですか"と自慢げに言いました。
ハリス3号と聞いて下山さんは"あんたどんな大物を釣る気ねん"という顔をしましたが口には出さず"この辺ではあまり3号をかけることはないですよ、3号なら場所さえ良ければ60cmのオナガでも取れるのじゃないですか"と言いますが釣ったものが勝ちです。
私はこの仕掛けならたいていの大物は取れるし、やりとりの時に強気になれると思いました。
これは風呂の中で"超グレのすべて"を読み、のぼせるほど考えて練り上げたのです。
今思うと単にハリスを2.5号から3号に上げただけのようですが・・・・
その後青ガッパ氏が30cm位のグレを2匹追加し、1匹、少し大きいのをハリはずれでバラしました。
昼になるに釣れて北風が強くなってきました。
私はもう1匹30cm位のグレを釣ったところで昼食にしました。
時間は11時頃です。
弁当を食べながら隣の磯を見ていますと、沖に向かって大片ハエの左側、ガマカツ若者の左の人が30cm位のグレを上げました。
重箱でも30cm位のグレをあげていますが、えらくタモ入れに時間がかかっています。
私の仕掛けならポンと抜いてしまうのに、と私はこのときまで自信満々でした。
昼食を食べて再開したのですが、風が強いので3Bのオモリをつけた遊動仕掛けにしました。
下山さんはまだ釣れないようです。
"前回のソバ坪のバラシ以降調子が下降気味ですわ。"と弱気な発言も出ます。
1時頃になってだれも竿が曲がらなくなりました。
青ガッパ氏も休憩してたばこを吸ったりしています。
磯全体に緊張感が無くなったような感じです。
私は風が強いのでウキがおされて仕掛けが浮いているような気がしましたので、さらに重い5Bのウキに変えウキ下を3ヒロとしました。
すると1遠目にウキが入りました。
抜きあげるとまた30cm弱のグレです。
せっかく太い仕掛けを付けているのに釣れてくるサイズがいまいちです。
まあ、ウキが入るからいいか。
"フフフ・・・5B釣法の勝利となりますかな"と私は下山さんに声をかけました。
下山さんは相変わらず完全フカセの仕掛けで磯際ぎりぎりをねらっています。
"釣れそうな感じの潮だけど風がじゃましているのかな"と下山さんが言います。
2時頃になり終了まであと30分となりました。
"この時間から4匹釣って逆転は無理ですね"と下山さんが言います。
"なんなら、40cm以上なら3匹に数えることにしましょうか"と私はからかいました。
なんだかこのまま冗談を言い合っているうちに和やかに釣りが終了しそうです。
風が強いので青ガッパ氏もウキを沖に出さず磯際に引きつけています。
私も習って5Bの円錐ウキを沖目に投入し磯際に引きつけました。
このあとしばらくの出来事を私はよく覚えていません。
ウキが入ったのを見たのかどうかさえ思い出せませんでした。
"きた!!!"という下山さんの声、私の竿が突然リールシートの上くらいから曲がって海に向かってつっこみました。
反射的にリールのブレーキにかけていた指をはずしたのでしょう。
"ドビューン"といった音を残してハンドルが逆転し10m位糸が出たような気がします。
"ブーン"とハンドルが風を切る音がします。
私はブレーキをフリーのままにして青ガッパ氏の所に駆け込み竿を左に倒しながら体勢を整えました。
青ガッパ氏は私の勢いにとまどいながらも竿をあげてくれたようです。
"こりゃ大きい"と青ガッパ氏が叫びます。
この間リールが逆転しているのに竿がのされそうになります。
魚のスピードにリールの逆転が追いつかないのかもしれません。
リールがフリーなのに魚が引くたびに持っている竿がのされてがくがくします。
ダブルハンドルのシマノのリールはボールベアリングを交換したのでぶれることなく、なめらかに回転して糸を出し続けます。
こういう猛スピードで走る魚のためにダブルハンドルのリールを買ったのですが、このリールを買ってからは猛烈に逆転することは未だありません。
リールに魂があればリール冥利に尽きるでしょう。
30m位糸が出たでしょうか、魚が止まりました。
ここまでほんの数秒でしょうがここまで持ったのはリールのメンテナンスと3号ハリスのおかげでしょう。
ここまでは敦賀で考えていたとおりなのですが、最初の暴力的な引きからすると、とてもグレとは思えません。
魚が大きすぎます。
敦賀弁で言う"てこに合わない"大物のような感じです。
私はこのときすでに弱気になっていました。
"糸を出しては地獄行きです"というカレンダーに書かれた愛娘のエールも忘れていました。
情けない父ちゃんです。
あとは書きたくないが続けます。
ゆっくりと竿を起こしますと根ガカリしているように動きません。
無理をすると根ズレで切れてしまうと思い、聞くような感じで引くと少し魚が動きました。
ついていますがこの重量はとてつもない大物です。
こちらに向けようと少しづつ力を加えるとまた、急に沖に向かって走り出しました。
後で考えてみるとここで無理して止めるかどうかが、生死の分かれ目だったと思います。
ビューンとリールが逆転します。
ブレーキレバーで止めようとしても止まりません。
ビューン、ククク(レバーで止める感じ)、ビューン、クククを何回か繰り返してふっと竿が軽くなりました。
糸は5,60m位出たのではないでしょうか。
かなり沖からウキが上がってきました。
ハリスから切れていました。
"地獄に行きましたね。
娘さんの言うことを聞かないからですよ"と下山さんが残念そうに言います。
私は虚脱感で意気消沈して座り込みそうでした。
"一瞬取れそうかなと思ったけど、ありゃ青物ですかね"と青ガッパ氏が声をかけます。
"3号ハリスやから出すな"と言ったの聞こえませんでした。
と下山さんが声をかけますが私は必死でなにも覚えていませんでした。
本当に最初のリールのすさまじい逆転と、ふっと竿が軽くなったことしか覚えていませんでした。
泊まった民宿で夜中に目が覚めて最初から釣りのことを振り返って、ようやくなにをしたのか、少しずつ思い出したようなしだいでした。
あのとき竿が折れても勝負すべきだったのでしょう。
"糸を出しては地獄行きです"は我が家の家訓にしましょうか。
釣果は私の30cm前後のグレ3匹、同じく青ガッパ氏が30cm前後のグレ3匹でした。
帰りにフイッシングショプオザキさんに寄ったのですがバラした話をすると、"ヒラマサなら一気に100m位走るし、マダイかな。
あんたブレーキ使ってチマチマ糸出したやろ、大きいのかかったときはポンと糸ださなあかんで"とおっしゃいました。
でもリールオープンでないとポンとは出せないのですけど。
どうやってかかってからポンと出せばいいのでしょうか。
こんなエタイの知れない大物が来るなんて口和深はすごいところです。
また来たいけど小遣いがもたんな。
その夜は潮岬の民宿、"みさきロッジ"に下山さんと泊まったのですが、夕食ではバラシの話に花が咲き、二人でビールを飲みまくり幸せな時を過ごしました。
"上野山さん魚は走り出したら止まらんから、走り始める前になんとして止めないとだめですよ。
竿なんて折れませんよ。"と下山さん。"
でもこのあいだ、バットマンさんといったときは下山さんの竿が折れたじゃないですか"
"ああ、あのときはそうです。つい動揺してしまい取れそうな魚でしたが根に入られました"などとほぼ同じような話を延々としていたような、果ては昔釣った大物の懐古談が出たりして話は尽きません。
気がつくと従業員の人たちも食事を終え、食堂には我々二人だけになっていました。
下山さんに"いっそバラシネットでも立ち上げて、バラした話のサイトを作りましょうか、他人のバラシは蜜の味じゃないですか"と絡むと下山さんは"まあそういわずに"と傷心の私を慰めてくれました。
エーンクヤシイヨー。
ということで一日目は終了しました。
当日の釣果グレ3匹とオジサン。
オジサンは放流しました。
さて、二日目は潮岬です。
我々は笠原渡船の横の民宿"みさきロッジ"に泊まりました。
朝5時30分に電話が鳴り、起こしてくれます。
食堂に行くと生卵と海苔といった一般的な朝食が用意されています。
私はビールを飲み過ぎてやや二日酔い気味ですが何とか食べました。
昨日の夕食は鍋が出ました。
ここの料金は1泊2食で7千円です。
まあ、こんなもんでしょう。
天気は曇りで風があまりありません。
釣り日和です。
笠原渡船の今日のお客さんは17人くらいです。
6時頃に荷物を待合所の前に駐車してある軽トラックの荷台に乗せます。
その後、我々は10分くらい歩いて港に下りて行きます。
港に行くと全部で釣り客は7,80人いるようです。
それぞれが船に乗り込みますが我々の船が一番少ないようです。
船はそれぞれ代表的な磯の前で待機し、時間になると一斉に着け始めるようです。
あとは競争のようです。
我々は最初"アシカ"に乗ろうと思ったのですが、7人組ぐらいのグループが乗ってしまったので"コデシマ"のあとに着けた"ナナシ"に3人で乗りました。
下山さんの話では下りの潮ならオオクラ方向に3,40m流してグレが釣れるということでしたが、潮は反対の上りです。
ゆっくり右手に流れます。
我々の船は人が少ないので、"ナナシ"に着けた時点で渡船は終了ですが、他の船は私たちが道具を作り終わってもまだ磯付けをしています。
下山さんが"ここの船は、いつも人数がこんなものなので、A級磯は無理でもその次くらいなら何とかなるんです"と解説します。
人数の少ない渡船屋さんを使うのもいいかもしれません。
でも、1回いってみないことにはわからないですね。
私の仕掛けは、ハリス3号4ヒロ、00のウキにウキ止め無し、2,5ヒロの所に黄色のウキゴムをヨウジで止めました。
これは"ハタちゃん"にメールで聞いたやり方です。
なるほどこの仕掛けですと、ウキの下に見える黄色のウキゴムがハリスの方向や落ちていく深さを知らせてくれます。
フムフムこうやってやるんか。
あとはあたりがあればいいのですが、いっこうにあたりがありません。
8時過ぎにオオクラの前あたりの磯で竿が曲がり魚を取り込んだようです。
私はウキ下を深くしたりしますが、餌がとられません。
エサ取りも見えません。
10頃に弁当を食べました。
ここの渡船の弁当はかなり上の部です。
天気のいい磯の上でおいしい弁当を食べたということで、今日の釣りは終わりそうです。
その後少し昼寝しました。
起きて、下山さんにどうですかと尋ねますと。
船が来たので他の磯はどうかと聞いてみたところ、アシカでもドウネでも釣れていないようです。
昨日より水温が1度くらい下がったようです。
天気は昨日よりいいのに水温が下がって釣れないとは、まあ、自然相手の遊びだから仕方がないでしょう。
私は遊動仕掛けに戻して四ヒロくらいのタナで流しますが、時折オキアミの頭をかじられるだけです。
そうこうしているうちに終了の2時となりました。
結局、潮岬では1回もウキが入りませんでした。
帰りの渡船の中で船長が"この間までよう食っとったけど、今日はKO負けやな"といいます。
まあ2日続けて釣れることはあまりないものです。
渡船の待合所で道具を洗っていると、30cm弱のオナガグレを持っている人がいました。
笠原渡船の今日の釣果はこの1匹だけでしょう。
"今度は下り潮の時に来たいですね、3月もここはやっていますから"という下山さんです。
これで私の1泊2日の釣行は終わりました。
帰りは大阪から特急雷鳥に乗り敦賀に着いたのは午後9時半です。
出迎えの妻に"どうだった"と聞かれましたので、"地獄にいったよ"と答えますと大笑いです。
娘も"なーんだお父さん。カレンダーに書いておいたのに"といいます。
また、淡々とした日常が続くのでしょう。
しかし何とかもう一度口和深にいってみたいものです。
今回は下山さんに渡船店を選択していただき、磯ではポイント教えてもらったので初めての場所でもいい釣りになりました。
初めていったのではなにがなんだかわからないうちに終わってしまったと思います。
下山さんには大変御世話になりました。
出来ることなら、また親睦釣行会を企画していただき、多くの方と釣り談義を交わしたいものです。
|
ナナシから見たオオクラとコメツブ 足下をねらう下山さん |
TOP 釣行記index 次のページを読む
|