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上野山さんからのリポート
「本格的なシーズンはもう少し先かな」
糠の地磯 (福井県)
2003/10/19
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10月19日の日曜日に今シーズン初めて釣友のSさんと越前、糠の地磯に釣りに行きました。
前日仕立て船で越前沖に鯛釣りに行ったSさんが、夕方に風が変わってウネリが出たというので、渡船をやめて地磯への釣行としました。
朝の4時30分にSさんを迎えに行くと前日の夕方まで船釣りをしていたSさんはしきりに「眠い眠い、体もしんどい」といっています。
しきりにぼやいていますが、50歳なかばになっても釣りへの情熱はおとろえないSさんです。
車中昨日の船釣りの話をしますと、前日の鯛釣りでは2枚潮でしたが70cm近いマダイを頭に3枚上げたということです。
5時過ぎに糠の地磯につきますと、天気は晴れで、北風がたまに吹く程度です。
少しウネリもあるようで好条件です。
しかし、どうも潮位が高くて、いつも歩いていくところが水没しているようです。
ランプで照らして見ると渡れそうですが、荷物を持って水中の岩を歩くので滑ってこけるかもしれません。
20分ほどルートを探しましたが、結局Sさんが「わしは渡る自信はない」というので、少し離れたテトラに降りてテトラからの釣りとなりました。
初めての場所ですので、テトラに降りる場所を探したり、水平な場所を探してテトラの上をうろうろしたりするうちに夜が明けてしまいました。
二人の釣果は15cmほどのアジが15匹くらいと20cmほどのグレが2、3匹でした。
また、20cm程度の緑色のふぐが何匹も釣れ、針も5,6本とられました。
釣りは8時過ぎに切り上げ、食事をして10時過ぎには家に帰りました。
「アジしか釣れんかった。眠いから寝るわ」と言って冷蔵庫にアジをしまって、釣り道具を洗って私は寝ました。
1時頃に目が覚めますと外は快晴です。
そよそよと北風も吹いています。
当地は「弁当忘れても傘忘れるな」という格言があるほど天気が変わりやすく雨が多い地方です。
こんな快晴の日はまれです。
ふと、晴れた日の夕焼けの中、一人孤独にグレを釣る釣り人の姿が目に浮かんできました。
こうなると、止まりません。
「よし、決めた。昼からもう1回グレ釣りに行くわ。今日は釣れそうな気がする」といいますと、「また行くの。今日は釣れる気がするって」と台所で洗い物をしていた妻が聞いてきます。
私の釣行記には、たまに妻が鬼嫁として登場しています。
私が釣りに行く前に刺身用のシソを買ってきて、「今日の晩ごはんのオカズは刺身やろ」とプレッシャーをかけて来るという難敵ですが、これでも子供が産まれる前は一緒に渡船で釣りに行ったりしています。
鬼嫁は、ようチヌは釣れませんでしたが、20cmほどのグレやサヨリ、ウミタナゴ、ガシラなど外道はいろいろ釣っています。
「ほんまにグレ釣れるんなら、私もいこかな」と言っています。
私は内心「ゲッ、弱ったことになった。夕日に向かって孤独を味わいながら釣りができんやないの」と思いましたが、今後シーズンが本格的に始まったときのこともあると思い「ええよ、久しぶりに行くか」とこわばり笑いで答えました。
まだ潮が高いといけないので渓流釣りのバカ長を持っていきます。
2時過ぎに妻と久しぶりに二人で釣りに出かけました。
いつものサンスイ釣具店でオキアミ1枚とD社の集魚材を買います。
しめて餌代は1500円ほどです。
越前海岸に入り車を止めて海を見ます。
今年も「越前オオクラゲ」が出ていると言うことですが、磯近くにも大きなクラゲがうろうろしています。
3時過ぎに糠につきますと、朝より潮位は30cmほど下がっていて磯靴でも渡れそうです。
私がバカ長をはき、妻は私の磯靴をはきます。
しぶきを浴びるといけないので妻にはカッパを着てもらいます。
帽子もないので私のガマのロゴ入り帽子を渡します。
糠の地磯に無事に渡って仕掛けを作ります。
妻が急に行くと言い出しましたので、妻の分は一から仕掛けを作り直さなくてはなりません。
シマノの1号の磯竿に四国で使った4号の道糸が巻いてあるリールを取り付けます。
ハリスは1.7号を1ヒロ半取り、3Bの円錐ウキを遊働にした仕掛けです。
針はガマのグレ針6号です。
ハリスの中程にBのガンダマを打ち、ウキ下は2ヒロほどにとります。
道糸とハリスが変なバランスですが、これなら根がかりしても、ハリスから切れるのでウキは助かりそうです。
足下はサラシが広がります。
たまにしぶきを浴びます。
ウキが沖に出ていったらベールを空けて糸を出すように言います。
リールが逆転して糸がもつれると面倒ですので、リールのストッパーはオンです。
「大物がきたら、レバーをオフ側に倒して糸を出せばいいんや」と言いますと「そんなもん、すぐできるわけないわ、勝負は一瞬やろ」と知ったかぶりをしています。
2投目くらいでウキが入ります。
妻は「根がかりかもしれん」と言っていますがハリスが動いています。
「魚ついとるんと違う。竿で強引に引っ張ってみたら」とアドバイスします。
妻に釣れたのは20cmほどのグレです。
「わーグレ釣れたわ」と妻は、はしゃいでいます。
これは放流です。
「20cmでこんなんやったら30cmくらいのがきたら、ようとれんかもしれん」と1匹釣った妻は、早くも大物が来たときのことを考えて心配しています。
私が後ろで自分の仕掛けを作っていると「今度はおおきいで」と言って25cmくらいのグレをぶら下げています。
これはキープします。
潮だまりにグレを入れますと「せっかく釣ったのに逃げるかもしれんしクーラーに入れて」と妻が言うので、磯クーラーに海水を入れてグレを生かしておきます。
私が仕掛けを作っている間に妻はもう1枚23cmくらいのを釣りました。
ようやく仕掛けの準備が整い釣りを始めますが、私には10cmほどのミニグレしか釣れません。
そのうちアジがまわりだし、どこに投げても15cm位のアジが釣れます。
夕方のいい時合もアジで終わりました。
薄暗くなるまで粘っていた妻ですが最後はフグで終了でした。
釣果は22−25cmのグレ3匹とアジが15,6匹でした。
私には1匹も持ち帰るグレは釣れませんでした。
「まあ、10数年ぶりの磯釣りやから、グレが釣れたのはビギナーズラックやね」と妻は言います。
「今日はウキが何回も入っておもしろかったわ。あのままケミホタルでチヌ狙いもしたかったな。あの勢いならチヌも釣れたかもしれんで」などと調子に乗っています。
日本シリーズの中継を聞きながら、暮れてゆく海岸道路を帰途につきました。
今シーズンの開幕は2連敗ですが、晴れた日に釣りができてなんだか充実した1日でした。
夕食はコリコリのグレの刺身でした。
「私の釣ったグレの刺身はおいしいやろ」と妻は申しておりました。
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