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 上野山さんからのリポート
 「今日はSさんのタモ入れ役」

  音海 (福井県)
   2011/04/29

 


4月17日にSさんと泊に釣行いたしましたが、北風が強く悪天候で湾内の磯にしかいけずにボーズを食らってしまいました。
当日乗った磯は千畳という地磯で、深さは3ヒロ程度で藻だらけしたので、チヌのノッコミには釣れそうでしたが水温が低くてフグしか釣れませんでした。
その翌週の週末も悪天候で渡船が出られないということで、週末は荒れることが多くて渡船屋泣かせの天候が続きます。

ゴールデンウイークに入っても悪天候は続くようです。
29日の昭和の日は、波2mのち1mの予報ですので、どこかで船が出るかもしれません。
これを逃すと、30、1日の土日は低気圧通過のためにまた竿を出すことができません。
29日の朝9時ごろに泊に電話をいたしますとウネリが入ってきているのでとても船は出せませんということです。
音海のウミックに電話しますと昼からなら波も落ちるので出せるでしょうということです。
Sさんと相談してウミックには1時出船で最終の6時15分まで釣るという予約を入れました。

サンスイ釣具にはオキアミ4枚を解凍してもらい10時すぎに到着します。
オキアミをスコップで砕いて、チヌパワー日本海を混ぜて撒き餌を作ります。
店頭には、いつも出してあるアミエビがありません。
今年は大地震のために三陸沖でアミエビがとれないということで、国産アミエビはもうすぐ在庫が無くなり、あとは中国産になるということです。
地震以降は釣りのお客さんも少ないという若旦那の話です。
自粛ムードが広まりますと、いろんなところに影響が出ますね。
被災していない地域の人は普段どおりの生活をしないと、ますます不況になるのではないでしょうか。

10時20分頃に店を出ますが小浜付近で渋滞に巻き込まれてウミックには12時30分頃に着きました。
受付で「今日は渡船本当に出ますか」と聞きましたら「今船は出ています。お客さんを迎えに行っていますので少し待っていてください」ということです。
仕度をして桟橋で渡船を待っている間に対岸を見ますと、大きなウネリが岩に当たってシブキが10mほども上がっています。
Sさんと「こんな波で釣る場所あるんですかね。できれば見えている沖の一文字でもいいですね」といいます。
Sさんも対岸に打ちあがるしぶきを見て不安そうです。
桟橋にも時折ウネリが押し寄せてきます。
着替えをしている時からぽつぽつ降り出した雨もそのうち本降りになり、せっかく遠くまで釣りに来たのに気持ちが沈んでいきそうになります。

1時前になっても誰も来ないので、どうやら1時に出船するのは我々2人だけのようです。
1時すぎに渡船がやってきて、釣り人が一人船から上がってきます。
船に乗って船長に「チヌ狙いですが着ける場所ありますか」と聞きますと、「今の人はカガミで27、8cmのグレを3枚釣ったということです。チヌ狙いなら半島を横断した向こう側の磯で竿を出せますよ」ということです。

船は防波堤を越えますとゆっくりとした大きなウネリを越えて進みます。
ウネリの高さは2m以上ありそうです。
天気予報の波1.5mのち1mは当たりませんでした。
押し回しの鼻を回ると、ウネリが正面から磯に当たってものすごい波しぶきを上げています。
そこを横からウネリを受けながら船は横切っていきます。
私は船がひっくり返らないか少し心配でした。
Sさんもこれはすごい光景だなという顔をしています。

やがて船は今戸の鼻を回ります。
ここを回りますと波は幾分落ち着きます。
しばらく進みますと「この先の磯でやってください」といわれます。
「なんていう磯ですか」と聞きますと「オニギリです。3ヒロくらいでやってみてください。右前に根が出ているので気をつけてください。遠投でもいいですよ」といって船を着けてくれました。
「オニギリ」はチヌの釣果でよく上がっている名前の磯です。
チヌ釣りでは実績があるのでしょう。

オニギリは地続きの磯でまさにオニギリのように丸い感じです。
足場は比較的よくて2人なら楽に竿を出せます。
磯に上がりますと前日に釣りをしたような後があります。
魚のウロコも落ちていますので何か釣れているのでしょう。
竿を伸ばし始めますと雨もやみ日の光がさし始めました。
「渡船を待っている時は釣る場所あるのかと心配でしたが、ここがあいていてよかったですね」とSさんと話します。
ここは半島でさえぎられて、風も当たらずに大きなウネリもそう来ません。たまにサラシが出る程度です。

タナを計りますと足元で3ヒロ、沖で3ヒロ半ほどです。
マキエを足元に打ちますとスズメダイが出てきます。
動きも速いので活性は高いようです。
潮の色は緑がかっていて底は見えません。
ウキ下を3ヒロにして仕掛けを投入しますと藻にかかりますので、30cm程ウキ下を浅くします。
Sさんは「釣ったよ」といってさっそく10cmほどのコッパグレを釣っています。
その後Sさんがコッパグレを4匹ほど釣った後は、私にガシラが2匹釣れたきりでチヌのアタリはありません。
潮はずっと右に向かって流れています。

4時過ぎになりSさんが正面向きから右向きに流したいというので、私と場所を入れ替わりました。
5時に帰る人を迎えに行く船が前を通過します。
「今日もボーズかな」とSさんが言います。
前に見えている常神半島を見て「遠くに来たから釣れるというわけではありませんね」といいますと「そのとおりやな」とSさんが納得しています。
実際Sさんはこの時期、渡船の釣りよりも荒れた時の地磯の方がよく釣っています。
今日も本当はもう少し波が高ければ地磯に行くところでした。
地磯ならば家から20分ほどでいけるので気楽にチヌ釣りができます。

Sさんが「今日もボーズかな」といってしばらくして「オッきた」というこえで振り向きますと竿が曲がっています。
これは30cmほどのチヌでした。
抜くかとききますとタモを入れてくれというので私がタモを入れました。
釣れたチヌは活かしバッカンに入れてブクブクのスイッチを入れて生かしておきます。
「神様がボーズになりそうな釣り人の嘆きを聞き入れてくれましたね」といいますとSさんは苦笑いをしています。
もう1匹いませんかねといって仕掛けを投入しますが、ウキが入っても私に釣れてくるのはベラやらガシラです。

「オッ、ゴンゴンしている引きや」というSさんを見ますとまたもや竿が曲がっています。
海面に浮いたのは、今度は真っ黒のチヌです。
私がタモで掬ったのは45cmほどの居着きのチヌでした。
時刻も6時前でしたので私があと3投ほどして道具を片付けました。
2時前からマキエをしてチヌが釣れたのは5時30分頃からでしたので、その頃が時合だったのでしょう。

定刻の6時15分に迎えの船が来ましたが、最終で上がるのは我々2人だけのようです。
Sさんとは「最終までやってよかったですね。5時に上がっていたらボーズだったですね」と話しました。
船は夕日の中、ウネリを越えて音海の断崖の前を過ぎます。
こんな光景を見ますと、釣というのは非日常の世界に我々を誘ってくれるのだなと改めて思いました。
今日はSさんのタモ入れ役でしたが、大自然の中で竿を出せてリフレッシュできた1日でした。
ゴールデンウイーク後半の釣行では、なんとか魚の顔を見たいものです。


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