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上野山さんからのリポート
「今日は二木島のスター、51.5cm」
二木島 (三重県)
2013/12/29
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12月29日はゆたきちさん(以下Y君)と二木島に釣行いたしました。
ぐれねっと管理人の下山さんが都合で来られないということで、今回は2人での釣りです。
今年は、いろいろ忙しく、この秋は越前の地磯に1回行って25cmほどのグレを1匹と26cmほどのチヌを釣ったきりです。
これは放流して帰りましたので、秋になってからは家ではほとんど刺身を食べておりません。
11月からは、土曜日には中学校のブラスバンドにも指導に行っていますので、なかなかゆっくりと釣りに行く時間がありません。
そんな中、年末にようやく時間が取れました。
Y君は今年の秋は二木島で2連勝中ということで、成功体験に基づいて釣り場は二木島にすんなりと決まった次第です。
さて、いつものように大津で合流してY君の運転で二木島にむかいます。
強い冬型のために大宮大台のあたりでは道路脇に雪が積もっていました。
二木島の港に車を止め、車中ではY君に借りた寝袋にくるまりカイロを貼り付けて仮眠をしました。
朝5時に起きて着替えを済ませて、6時に乗船場に行きますと釣り人は20人程のようです。
この人数では湾内の磯と沖磯でさばけそうです。
6時15分になり船長が船をつけましたので、我々は後の方から船に乗りました。
「どこが希望ですか」とY君が聞いてきます。
「今日は波がないのでできれば沖磯が希望です」と返事します。
「沖磯でしたら、タイラかタコブチあたりがいいですね」とY君が答えます。
船は「ガマノクチ」から順番に釣り人をおろしていきます。
湾内磯を着けて船は表に出ます。
「次はベンテン、誰かおらんか」と船長がマイクでいいますが誰も手を挙げません。
私とY君が顔を見合わせているうちに船は「テラシマ」に向かいます。
船は「ベンテン」を飛ばして、「テラシマ」、「ホーロク」、「タイラ」と着けていきます。
なんと「テラシマ」も二人しか降りません。
表磯はあまり釣れていないのでしょうか。
「タコブチ」も舳先の二人組が乗りあとは「イガミバエ」と「ズロ」、湾内磯で着けなかった「オイトケ」くらいしかありません。
「これは帰りにベンテンに乗りましょう。イガミは苦手です」とY君が私に言って、船長に「帰りにベンテン二人乗ります」と伝えます。
その直後に前からやってきた釣り人が「ベンテン空いているから4人で上がろか」と後ろの釣り人に言います。
ここが運命の分かれ目でした。
「先にベンテンに上がるとこの人たちが言っているのでベンテンはダメや」とその仲間の人が言ってくれて、我々二人がベンテンに上がることになりました。
こうして釣行記を書いていても、運命の分かれ目はほんのチョットしたことだなと思われます。
我々は4人組に譲ってもらうような形で「ベンテン」にあがりました。
9時すぎが干潮ですので、今から潮は引いていくようです。
「前回はウキ下どれくらいで釣りましたか」とY君に聞きますと「私はいつもこの時期は3ツ半です。大概それで1日やるんです。たまにウキ止めを動かしますが」というあてにならない、いやはやなんとも参考にならない答えです。
まあそれで釣れたということですので、私も3ヒロ半でスタートします。
私が船付きの左側、Y君が右側から釣ることにしました。
今日はレイダム1.5号に、道糸3号、ハリス3号、針はボイルグレ7号です。
ウキは釣研の赤い円錐ウキを遊導にします。
潮は動いてなく、ウキがサラシに押されてゆっくり前に行く程度です。
しばらくして仕掛けを上げますとエサがありません。
これは期待が持てそうです。
私もY君もエサは取られたりかじられたりしますがアタリがウキに出ません。
私は20cmほどウキ下を浅くしました。
8時頃だったでしょうかウキがゆっくり沈んでいきます。
これはアタリと合わせますと、魚がかかりましたが下に持ち込みません。
魚は横に走りますのでグレではないようです。
「なんかかかったよ」とY君に言ってやり取りをします。
魚はすんなり浮いて来たように思いましたが、水面で一度エラ洗いをしたあとはすごい力で潜ります。
これはスズキの大型のようです。
魚が潜って竿がのされて、リールのドラグが逆転してジージーと糸が出ます。
これは切れるかもしれないと思いレバーを緩めて糸を出して竿を立てます。
魚は右に左に走り回りますのでなかなか寄せて来られません。
「少し時間がかかると思います」とタモを用意しているY君にいいます。
3分くらい糸を出したり巻いたりしたでしょうか。
さすがに相手も疲れてきて浮いてきました。
私は浮いた魚を見てこれはタモに入るかと思いました。
どう見ても80cm以上はありそうです。
「Y君のタモは大きいですか」と聞きますと「私のも同じで45cmのワクです」とY君が言います。
とりあえず私のタモで掬うことにして魚を寄せます。
魚は潜ろうとして海面で反転して1回目のタモ入れは失敗しました。
Y君もこんな大きな魚のタモ入れは初めてだろうと思いますので、うまく掬くえるか心配です。
2回目は魚を浮かして海面を滑るように寄せてきました。
タモに頭が入りましたが、体の3分の2ほどは枠からはみ出していて、持ち上げる前にシッポから外に出てしまいました。
ここが運命の分かれ目だったようで、魚を再び浮かそうとしましたらハリが外れてしまいました。
真鯛のような頭の大きな魚ではアタマが入れば80cmの魚でも取り込めますが、スズキのような長い魚では頭が入っても難しいですね。
「いやあ掬えずに申し訳ありません」とY君は恐縮していますが、これは相手に対してタモが小さすぎたということでしょう。
その後は私にはとんとアタリが無くY君はサンノジやらアイゴを4、5匹釣っています。
お昼前にはY君は26cmほどグレも釣りましたが余裕で放流しています。
Y君のやり取りを横で見ていますと、ウキが入るとものすごい勢いで合わせて、有無を言わさずにゴリ巻きでリールを巻いています。
ものすごく強引なやり取りですが、竿が新調したアテンダー1.5号という事で、Y君の強引なやり取りを竿が受け止めて、なんとか糸が切れずに取り込めているように見えました。
実際30cmほどのサンノジがかかってもアテンダーは50cmの大物がかかったように胴から綺麗に曲がっています。
Y君はリールもダイワのレバー付きのもので新調したということですが、何度やりとりを見ていても強引に巻くばかりですので、Y君にはレバーブレーキなどはいらないのではないでしょうか。
私には、むしろやり取りという言葉はY君の辞書にはないように見えました。
やがて12時前になり潮がだんだんこんできました。
Y君は「チョット左側でやらせてください」といって私の左側に来ました。
するとすぐにアイゴを釣り上げました。
今日はY君のウキは魔法のようによく入ります。
私はY君の言っているタナ、竿1本と1ヒロに合わせますがウキは入りません。
しばらくしてY君を見ますとまた魚がかかりました。
またもや強引に竿を曲げていますが、魚がこっちを向いたと思いましたら左側の根の方に走りました。
私は走ったのを見てこの魚はサンノジだと思いました。
Y君も「トリャー、サンコウ退治してやるわい」というような気合で強引に竿を曲げて、左に走った魚をこちらに向かせてリールをゴリ巻きしています。
強引な竿さばきによって、すんなりと足元によってきた魚を見ましたらなんとグレです。
私はサンノジと思っていましたので片手に竿を持ったまま片手でタモを入れましたら、1回目はタモから魚が出ていまい、2回目でタモに魚が入りました。
「これは45cmほどですかね」とY君が言います。
私もサンノジがグレに化けたということで、あまり感動もせずに「そうですね47、8cmですかね」といいました。
Y君もそう嬉しそうではなく「こっち側では昔グレを釣った成功体験があるんですよ。上野山さんもまだこれからですよ。時間はあります」といってグレを活かしバッカンに放り込みました。
その後は潮が当ててきて二人共根がかり連発でY君も私もウキを2個流しましたが、私はY君の友人が手製で作ったというウキトリパラソルを借りて、ウキを1個回収することができました。
その後アタリも無く、結局私のウキはスズキの時の1回しか沈みませんでした。
さすがによく行っているY君は釣りますね。
これで師匠復活でしょう。
やがて1時半になり我々は道具を片付けました。
道具をしまって、Y君が「船が来る前に魚をシメようかと思います」というので「シメると魚が縮むから港で測ってからにしたらどうですか」といいました。
この時も二人共この魚が大きな魚だとは思っていませんでした。
港に帰ってそれぞれ魚を出しますがそう釣れていないようです。
出てきたグレは30cm半ばほどばかりです。
そこでおもむろにY君が活かしバッカンから魚を取り出しますと「オッこれはいいグレや」という声が出ます。
計測台で測りましたら51.5cmです。
釣り上げたときは50cmあるとは思っていなかったので、これは私もY君もビックリしました。
得意満面で鼻の穴をふくらませたY君は「最後に残ったベンテンの船着で釣らせていただきました。まあ、マグレですわ。根が荒いので強引にやりとりして上げました」とフンフンと鼻息荒く話すのでした。
土曜日から泊できていた常連のクラブの人たちも「このサイズを釣りたくてきたのにワシには釣れんかった」などと悔しがっていて、ますますY君の鼻の穴は広がる一方でした。
私が「横で見ていて、なんとも強引なゴリ巻きであげたので魚はすぐにあがりましたよ。フカセ釣り師としては、やりとりは失格ですわ」と言いましたらみなさん笑っていました。
Y君は余裕で「まあそんなひどいこと言わないでくださいよ」といってニコニコしています。
「これで明日の報知新聞が楽しみですわ」とY君は後ろにひっくり返らんばかりにそっくり返っています。
「やっぱり釣りには来ないと釣れんということや」と常連さんが当然といえば当然なことを言っています。
「わしは3週連続グレボーズや」と付け加えていましたので、これは自分へのエールだったのかもしれません。
というわけで、この日の二木島のスターにY君はなってしまいました。
駐車場で「今日が生きてきていちばん最高の日ですね」と私が師匠を冷やかしましたら、通りがかった常連の方から「ここに来ればまだまだ最高の日は続くで」とさらに冷やかされました。
何はともあれ、師匠にとっては忘れられない一日になったことでしょう。
これで師匠の二木島での成功体験は確固たるものになったのではないでしょうか。
また、50cmのグレでもゴリ巻きで上がるものだという成功体験も出来上がってしまい、師匠の強引なやりとりに誰もモノが言えなくなったのではないのでしょうか。
さて、次回ですが私はなかなか忙しくていけませんが、師匠とまた竿を出したいものだと思います。
では、このへんで久しぶりの釣行記の筆を置きたいと思います。
皆様とまた来年会う日を楽しみにして。
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