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 上野山さんからのリポート
 「ボーズではなくて、なんとなんと、

  武者泊 (愛媛県)
   2020/01/29

 

 サンスイ釣具店に年末に遊びに行った時、ご主人に今シーズンも武者泊に釣りに行くのかと聞きましたら、
「四国に釣りに行かないと生きている値打ちはありません。4回以上は行くつもりです」とのことです。
これでは、ご主人は四国に釣行しないと死んでしまうのではないかと思い、私も1回はお付き合いしようと思いました。
そして、正月釣行でグレボーズに終わった私は、こりもせずに1月中に再び四国に行こうと思いたちました。

今回の平日釣行はご主人の人生を思ってのことで、決して私が行きたいと熱望してのことではありません。
いや、そうでもないかも・・・
私は時間がたつにつれ、前回の沖ノ島での大物外道とのやり取りもまたやってみたいという気持ちが沸き起こりました。
極限まで曲がった竿と、リールから糸が出て行くドラグの音、そして獲物をタモに入れて持ち上げた時の重量などは感覚に焼き付いています。
これは、大物が掛かって釣り上げた体験をした釣り人にしかわからないことですね。
前回のカンムリベラ61cmは大物外道の中でも、引きで言えば3役に入るくらいではないでしょうか。

1月の最後の週が私には都合がよかったので釣行日を1月29,30日としましたが天気が良くありません。
1月は福井県では観測史上初めて積雪が無いという暖かい月でしたが、28日には太平洋側と日本海側を同時に低気圧が通過するという天気図となりました。
東京では雪が降るのではないかとの予報も出ました。

今回は天気が悪いので中止かと思いましたが、前前日の27日に釣具店に行きますと「明日船が出るかどうか聞いてみます」とご主人が言います。
予報の天気図では低気圧通過後の29日は、豊後水道を吹き抜ける北西風は、風速10m以上の黄色の矢印の予報です。
これでは釣る場所はほとんどないのではないかと思います。
私はこの天候では釣りができたとしても、風裏の磯でのボーズが見えていました。

「今回は天気が悪いようですね。ご主人は一人でも行きますか」と私が聞きますと「一人ですとこの風ではお客はいないと思いますので船頭に悪いので行きません。ただ、私の都合では次回は2月中頃まで行けないのです」というご主人です。
ここはご主人との長年の付き合いに報いるときだと思い、私はボーズ覚悟で「では仕事の都合をつけて、明日の昼に電話します。船も出るかどうか電話してください」と言って店を後にしました。

このところ、ぐれねっとの釣行記ではほとんどグレを釣っていません。
前回の沖ノ島釣行でもグレボーズでバラシと大型外道しか釣れずに、家に持って帰るような釣果はありません。
最近のまともな獲物と言えば、秋に34cmのチヌを1枚釣っただけです。
これでは、「ぐれねっと」という看板を外して、「ボーズと大型外道の釣行記」とでも看板を掛け替えたほうが良いのではないかと思います。
管理人さんにこのことを相談しましたら「大物に当たる確率が高いのは、釣り人には幸せです。ボーズ釣行記でもバラシ釣行記でも、ファンは喜びます」という温かい言葉をいただきました。
いったい、グレの釣れない釣行記を読むグレ釣り専門の釣り人のファンの方などいるものかと思いますが、まあ温かい励ましの言葉をいただきましたので、今回も釣行記を書きます。

28日の昼にサンスイ釣具のご主人に電話をして釣りに行くことを伝えて「いろは渡船」に確認してもらうと船は出るということです。
今回は寝る時間を少しでも長くしようということで、午後4時に敦賀を出発いたしました。
もう60歳を過ぎましたので、3、4時間ほどの仮眠で釣りをするという体力はありません。道中もご主人M君の運転中、私はずっと寝ていました。

いろは渡船の仮眠所には11時過ぎに到着しました。
出船が6時半ということですので、6時間ほどは眠ることができます。
仮眠所には釣り客が一人寝ておられましたので明日は最低でも3人ということです。
いろは渡船の仮眠所ではそう風は吹いていないようです。
私は5時40分に目覚ましをセットして布団に入りました。

朝起きて着替えを済ませて、M君の持ってきた湯沸かしポットでお湯を沸かしてカップラーメンを食べます。
朝に温かい食べ物を食べますとなんだか元気が出るように思います。
港に行きますと、今日のお客は我々2人と仮眠所で寝ていた地元の方と合計3人です。
やってきた船長が「低気圧通過の時は台風みたいな風が吹いたよ。低気圧のために、ここ3日は船を出していません。南からのウネリは収まっていると思いますが、北西の風が強いので今日は野地島方面かな」と言います。
我々は「また今日も野地島か」と思いましたが、釣る場所がそこしかないのであればしょうがありません。

6時半になり船は出港します。
あずまや渡船も野地島方面に来るようです。

私とM君は野地島の船着きに下りました。
もう一人の釣り人は「丸バエ」に下りたようです。
そのほかの磯にあずまや渡船が着けます。

野地島では昨年初めて40cm以上のグレを釣りましたが、もともと苦手な磯です。
私が昨年釣り上げた右手の場所は風が当たりますので、私は中央よりも左側の場所で釣りをすることにしました。
私の右隣でM君が竿を出すことになりました。

 

先に竿を出すM君 磯の右側は風が通っている


私もM君から5分ほど遅れて竿を出します。
この場所は風裏になり、ありがたい釣り場所です。

毎回同じですが、今日の仕掛けです。
竿はアテンダーUの2号にリールはレマーレ、道糸は4号、ハリスは今回3.5号としました。ハリはザロックの8号でウキは釣研の小粒の2Bとしました。
ハリスを2ヒロ取りサルカンで道糸とつなぎます。
サルカンの上にミドリ色の潮受けゴムをつけ、ハリスにBのオモリを噛みつけます。
タナは2ヒロ半として始めました。
今回1日の釣りにボイルのオキアミを2枚用意いたしました。
足もとにマキエを打ちウキをその中に落とします。
今日は風が当たらないので釣りやすかったです。
潮はユックリと右に流れます。
満潮が10時過ぎですのでこれから潮は上がって来ます。

1投目から着けエサがありません。
着けエサはオキアミの頭がかじられています。
グレのようにスパッと切れているのではなく、ボロボロにかじられているのでエサトリの仕業でしょう。

しばらくしてM君がグレを釣り上げましたがこれは28cmほどですので放流します。
タナを聞きますと2ヒロ半ということです。
M君はハリス4号とのことです。
私は連続でエサがとられますのでウキ下を上げて2ヒロと少しにしました。
足もとではエサがとられますので沖に仕掛けを入れてもエサはとられます。

M君もグレを1匹釣り上げた後はエサがとられるばかりのようです。
10時ごろまでに私は魚を釣ることもなければウキが入ることもありませんでした。
M君は30cmほどのサンノジを1匹釣り上げています。

私は2BのウキにBのオモリではウキが浮きすぎると思い、ハリスにジンタンを1個追加しました。
これで、ウキは潮のヨレですぐに潜っていきますが、ウキが見えなくなるほど潜っても竿にアタリが来ることはありません。

11時ごろになり私は少しウキの投入場所を変えてみました。
M君の釣っている足元にウキを投入しますと、仕掛がなじんだ時にウキが入ります。
これは今日初めてのアタリです。
合わせを入れますとけっこうな引きですが糸を出すほどではありません。
最初の引きの感じからグレでは無いようです。
浮かしたのは45cmほどのキバンドウです。
タモを入れようとしましたら、キバンドウはもう一度潜ってしまい岩に張り付いてしまいました。
横に糸を引いてもキバンドウは動きませんので私は糸を切りました。

この場所でもう少しやろうと思いましたが、時間もそうないので前回グレを釣った磯の右側で一度竿を出そうと思い私は磯の右側に移動しました。
この場所は右側から風に当たりますので、竿が風にあおられてやりづらい場所です。
マキエを足元と沖に投げてウキを足元に落としますと今度は2回に1回はエサが残ってきます。
足もとからサラシが出ますのでウキはサラシに押されて潜っていきます。
私はエサが残りますのでウキ下を3ヒロ弱にしました。

12時前になりウキを沈めた道糸が張りましたので、合わせを入れましたら魚が掛かっています。
難なく釣り上げましたのは31cmのクチブトグレです。
これは久しぶりのグレです。
小さいですがボーズ逃れということでこのグレは持って帰ることにしました。

 

12時前に釣れたグレ31cm


これでようやく「ぐれねっと」らしくグレが釣れて安心いたしましたが、後が続きません。
私は前回釣れた時のように沖にウキを投入して沖を釣りますが、潮が止まったように動きませんのでどうも釣れる気がしません。
私はお茶を飲んで休憩をしたり、腰が痛くなるといけないので腰痛防止の体操をしたりしながら釣りを続けました。

12時半ごろになりM君の竿が曲がります。
かなりの竿の曲りですが引きの感じからグレでは無いようです。
M君が釣り上げましたのは42cmの石鯛です。
「友人の料理屋さんが、このところ魚が無いと言っていましたのでこの魚は持って帰ります」とM君は言って魚をシメて磯クーラーに入れます。

 

12時半ごろにM君が釣った石鯛42cm


しばらくしてM君が「潮が左に流れ始めました、最初の釣り場に戻ったらどうですか」と言いますので私はまた釣り場を最初の場所に移動しました。
足もとにマキエを打ちウキ下3ヒロでウキを足元に投入します。
ウキはスーと左に流れます。
なんだか釣れそうな感じです。
M君に「ウキ下はなんヒロでやって釣ったの」と聞いた瞬間にウキが引き込まれて見えなくなります。
合わせますとこれもいい引きです。
ジーとドラグが逆転して糸が出ますのでスプールを手で押さえてやり取りをします。
足もとで魚が掛かりましたので、そう糸は出せません。
左側で掛かった魚が私の前まで寄ってきましたのでこれは獲れるかなと思いました。
魚は私の前を通りすぎてM君の足元に行きます。
私は魚を浮かそうと思いましたが、ここから逆に竿を引き込まれます。
魚はM君の足元に突っ込み、糸を出さずに竿で耐えていましたがハリスから切れてしまいました。
仕掛を上げますと、ウキ止め糸が5mほど上にずり上がっていましたので、ウキが海中のシモリに引っかかったのかもしれません。
それにしても、タナをM君に聞いているときにウキを引き込むとは味なことをやる魚ですね。

私が仕掛けを直しているときにM君は35cmの石鯛を追加しました。
M君は続けて30cmほどのサンノジを釣り上げましたので、今が時合なのかもしれません。
私もウキを投入しますがもうアタリはありませんでした。
やがて1時半になり我々は竿を置きました。

今日の釣果です。
M君はグレ28cm放流、石鯛4235cm2匹、私はグレ31cm1匹、キバンドウバラシに正体不明だが石鯛のような魚のバラシ1回でした。
小型ですがグレも釣れてバラシもありましたので、まあ楽しい1日でありました。
しかし、釣れなくてエサばかり取られる時間が長くて、釣りとしては忙しい1日でした。

港に戻りますと船長が「今日は水温が20度以上ありました。前回船を出した土曜日から2.2度も上がっています。この時期に水温が20度以上というのは経験がないね。南のウネリが入って水温が上がったのかな」と言っています。
道理でエサ取りが元気なわけです。
丸バエに下りた釣り人は45cmのグレを2枚持っていました。
今日は丸バエの日だったのかもしれません。

強風の中風裏で竿を出しての釣りでしたので、釣果がいまいちでも文句を言ってはいけません。
我々は道具を片付けて着替えをしていつもの1本松温泉に行きました。
温泉に浸かりますとなんだかどっと疲れが出るような気がします。

食料を買って仮眠所でM君と反省会をしました。
とりわけ反省することもなかったのですが、水温が上昇したのでエサ取りが元気で、グレが釣れなかったと思います。
しかし、丸バエでは釣れていましたので、やはりハリス4号ではグレが釣れないのかと少し弱気になります。

以前に一緒に四国に釣行しました敦賀のT君に電話をしますと、「アンタまた四国に行っているんか」と驚いていました。
「今回グレはボーズではなくて、なんとなんと、(ここで一呼吸おいて)31cmのグレを釣り上げたよ」と言いましたらT君は「四国では40cm以下はグレを釣ったとは言わんのではないの」と言いますが「30cmあればグレボーズでは無いやろ」と私は言い返します。
二人で大笑いしますがT君も四国に来たかったことでしょう。

私は缶ビール1本しか飲んでいませんが7時前には眠くなって寝てしまいました。
明日は他にお客さんもいて少し風が収まるということです。
いつものように今日も大物外道に切られてしまいました。
また明日に期待です。


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