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 上野山さんからのリポート 番外編
 「琵琶湖でマス釣り

 
   2021/09/04

 


9月4日の土曜日はゆたきちさん(以下Y君)に誘われて琵琶湖にマス釣りに行ってきました。

以前、Y君とはよく二木島の磯に釣りに行っていましたが、このところ泊の大谷渡船で年に1,2回会って言葉を交わすくらいの付き合いになってしまいました。

8月にY君からラインが入り、今度琵琶マス釣りに行きませんかということです。
Y君の話では食べてみたらとてもおいしいということです。
釣れるマスは大きいものでは50cmを超えるということです。
私もどんな魚か一度釣ってみようと思い、Y君と日程を合わせて釣りに行くことにいたしました。

日程を調整して9月4日の土曜日になりましたが、このところ雨が続いており天候が心配です。
雨が続きますと中止の場合もあるということです。
9月4日は朝の6時に集合ということで、目覚ましは4時にかけました。

前日にY君からラインが入り明日は出航できるということです。
しかし、夜中の2時ごろに雷が鳴りすごい音で雨が降っています。
これで本当に船が出るのかと心配です。

5時前に支度をして家を出ましたが、滋賀県に向かう道でも強い雨が降っていました。
幸い琵琶湖に出ましたら雨は小雨になりました。

琵琶湖の湖岸でY君と会い、遊漁船の事務所に行きます。
Y君と一緒に釣りをするのは久しぶりです。
「ぐれねっと」で釣行記を見てみますと、Y君とは2015年の2月に大雪の日に二木島に行ったのが最後です。
今回は6年ぶりに一緒に釣りをすることになりました。

この遊漁船は海の遊漁船と違って港に船があるのではなく、船を陸に上げています。
船の横の駐車場に車を止めて、船をけん引する車に乗って船を引っ張って港まで行くというシステムです。
こんな大きな船を引っ張って狭い道を曲れるのかと思いましたが、運転する方はなれたものです。
駐車場を出た車は、5分ほどで琵琶湖の湖畔にある小さな漁港に到着して船を下ろします。

今回はY君と私に、Y君の会社の方でTさんという方がボートに乗ります。
船は港を出て沖に走ります。
釣り竿も、ルアーもすべて船から借りるのでお気楽な遊びです。
今日持ってきたのは魚を入れるクーラーだけです。

10分ほど走って、船は速度を落とします。
「今日はこの辺りからやってみます」と船長が言って道具を組み立て始めます。
道具はすべて船のものを使いますので、我々は船長が支度をするのを見ているだけです。
竿は合計5本出します。

レッドコアラインという、鉛にPEを巻いた重いラインを100mほど流して,ラインの先にドジャーというヒラヒラする集魚版を付け、ハリス3号のリーダーを50cmほど取りスプーンを結びます。
スプーンは決まりで1本針です。
この仕掛を船の両側に流します。

船には両側に電動のダウンリガーというオモリを上げ下げする装置があります。
このオモリから出したリリーサーという、洗濯バサミのようなクリップに、竿の道糸を挟んで沈めます。
魚が掛かるとクリップから道糸がはずれて、魚とやり取りをするという釣り方になります。
このダウンリガーの仕掛けに竿を3本取り付けます。

操縦席の魚探をのぞきましたら、現在我々は琵琶湖北部の真ん中あたりにいて、水深は80mほどもあります。
「ルアーを引くタナはどれくらいですか」と聞きますと「ダウンリガーは35と30mくらい、レッドコアラインは20mくらいです。色々棚を探ってみます」と船長が解説してくれました。

 

ダウンリガーのオモリとリリーサー


船はスローで北に向かって進みます。
我々は竿に変化がないか見ているだけです。
船では、Y君とお互いの近況など世間話をしていました。

「今年のタコはどうですか。タコ用の洗濯機を使っているのですか」と聞きますと「昨年まではよくタコは釣れましたが、今年はさっぱりです」とY君は言います。
Y君はこのところ有給休暇を使って二木島には金、土の1泊で磯釣りに行くことが多いとのことです。
「コロナ渦ですので一人、車中泊で釣りをしています」ということを聞かされました。
私も今年の九頭竜川のアユ釣の話などをしました。
世の中には、こんなにのんびりした釣りがあるものだと思いました。 

 

ダウンリガーに取り付けた竿



そのうちにダウンリガーに着けた竿がブルブルとしてアタリが来ました。
Tさんが上げますと35cmほどの琵琶マスです。
船長がタモで掬って船の生け簀に入れました。

船長はクーラーから凍った2リットルのペットボトルを出してきて生け簀に入れます。
「この魚は冷たい水のところに住んでいるので水温を下げないといけないのです」と船長が言います。
釣るタナは30mほどですので、マスの生息域の水温は表層よりもかなり低いと思われます。

その後またTさんが仕掛けをあげますが今度はバラしました。
「この釣りはバラしはつきものです気にしないでやってください。フックにモドリがないのでよくバラします」と船長が言います。

 

船のうしろはこんな感じ 両側に5本の竿を出している


どうも右側のダウンリガーの竿によくアタリが出るようです。
船長はほかの遊漁船に電話をして、魚の釣れ具合や釣れたルアーの種類を聞いているようです。

この釣りは、乗っている釣り人が順番に魚の掛かった竿を上げていきますので、魚を釣り上げるのには、ほとんど釣り人の腕は関係ないと思われます。
魚がいると思われるコースに船を進めることと、当日のルアーを泳がせるタナ,ルアーの選択が、釣れるか釣れないかの違いと思われますので、99%は船長の判断で釣果が決まるのではないでしょうか。
残った1%は釣り人がバラさずに掛かった魚を取り込めるかどうか、といったところでしょうか。

そのうちに大きなアタリが来てY君が取り込みます。
Y君が取り込んだのは50cmほどの魚です。
こんな大きなマスがいるのだと私は驚きました。

 

Y君が大物を取り込む タモを出している方が船長


Y君が釣ったのはきれいな琵琶マスです。
この魚はヤマメの降海型のような魚ですので背中に黒い斑点があります。
船長にブラックバスは掛からないのですかと聞きしたら、バスはこんなに深いところにはいないということです。
外道としてはハスやウグイがルアーに掛かることがあるそうです。

 

釣れた琵琶マス 金と赤のスプーンを咥えている


その後Y君は続けて50cmほどの魚を2本上げます。
なぜかY君の順番の時に大きな魚が掛かります。
私とTさんが上げるときには40cmまでの魚です。
「釣りに来るのはもう3回目ですので私の腕が上がりましたかな」と自慢げにY君が言います。
さらに「やはり大きいと引きが違いますな」とニヤニヤしています。
「船の釣りでは悪運が強く大型を釣りますね」と返しますと「上野山さんも大きいのをあげてくださいよ。私はもう大物を3本釣りあげましたので舳先でオヤツを食べます。買ったオヤツは相変わらず30%引きや50%引きものです」と言って、余裕のY君は舳先でクーラーから30%引きのヨーグルトなどを出してきて食べています。
彼は年をとっても「節約親父」のまま変わりませんね。
私とTさんは少し焦りますがまだ時間は十分あります。

10時ごろになり曇っていた空もだんだん雲が取れてきました。
スローで琵琶湖を進んでいますと、なんだか遊覧船に乗っているような感じです。
時折水鳥が群れをなして飛んでいきます。
朝見えなかった竹生島もはっきりと見えてきました。
この辺りは深いところは90m近くあるということです。
Tさんはしきりに「日本とは思えないような風景ですね。気分転換になります」と言っています。

その後Tさんに45cmほどのマスが掛かります。
無事に取り込んだTさんは「やはり大きいと引きが違いますね」といいます。
私も遅れて45cmほどのマスが釣れました。
これで、今日はもう充分といったところです。
これで私も4本マスを釣りました。

この釣りには数量の制限があり、持ち帰ることができるのは一人1日5匹までということです。
生け簀がかなりいっぱいになりましたので、船長が大きな魚を締めてクーラーに入れてくれます。
あとは大きな魚が釣れると、生け簀の中の小さなサイズの魚と交換して放流することになります。

船は竹生島を横に見て北に進んでいます。
マスの群れに当たるとアタリが頻発しますが、群れを過ぎると全くアタリが無くなります。
アタリがない時は船長と世間話をします。
船長がなぜにこの釣りを始めたか、などのいきさつを聞いたりしていると話がはずみます。

「こういうアタリがない時に限って突然大物がアタルこともありますよ」と船長が言います。「そういわれるとお客さんも気を抜かずにやりますね。船長は上手ですね」といいますと「まあ、仕事ですから」といいます。

そう言っていたら右側のダウンリガーにかけていた竿が跳ね上がります。
「これは自分でクリップを外していったので大きな魚ですよ」と船長が言います。
ちょうど私が竿の近くにいましたので、私が上げることになりました。
船が進んでいることもあり、これは相当の手ごたえの魚です。
緩めにリールのドラグの調整がしてありますので全然巻けません。

スタードラグを少し締めて私は魚をあげにかかりました。
魚が引くときは竿でためますが船が進んでいるので糸が切れないか心配です。
磯の釣りのようにレバーで糸の出し入れができないのが難しいですね。
「上野山さん。大物をバラサないで下さいよ」とY君が冷やかしますが、私は受け答えする余裕はありませんでした。

ゆっくりと時間をかけてリールを巻いてきましたら大きな魚が見えて来ました。
「あとはタモに入れるだけです。同じように巻いてください」と船長がアドバイスをくれます。

ようやくタモまで魚を寄せてきましたので、船長の差し出すタモに魚を誘導しますが、一度タモに入った魚は大きいために尻尾のほうから出てしまいます。
もう一度タモに入れましたが、また魚が出てしまいました。
3度目にようやく魚の体全体がタモに入りました。
船長が船に魚をあげましたら、船の中でまた魚がタモから出てしまい、慌てて船の中ほどに魚を押し込みます。
この時に3号のリーダーが切れていました。
さっそく船長が測りましたら、この魚は57cmでした。

なかなか苦労して魚を取り込みました。
「大物をバラさんあたりが磯で大物を釣っている上野山さんらしいですな。やり取りは磯みたいな感じでしたよ」とY君が言います。
「やっと大きな魚は引きが違うなと言えますわ」と私は返しました。 

 

船長のおかげで57cmのマスを釣った私


その後も40cmほどのマスがボチボチ釣れて、生け簀の中の35cmほどのマスと入れ替えます。
最終的には一人7匹ほど釣って6匹ほど魚を入れ替えました。
今日の釣果は40cmから57cmを3人で15匹ということになりました。

12時40分ごろに釣りを終わり港には1時ごろに迎えに来てもらいました。
事務所に戻って魚を分けているときに雨が降り出しました。
釣の間降らなかったのはツイテいたと思いました。

 

3人の釣果 琵琶マス40〜57cm 15匹


釣ったマスは一番大きなものを我が家で食べて、他は友人に配りました。
人生初の琵琶マスは妻がさばいて、刺身、ムニエル、フライで食べました。
私はフライが一番おいしかったように思えました。

この琵琶マス釣りですが、釣る分には磯ほどスリルはありませんが、スローで進む船の中でのんびりと世間話をしたりして、まったく別の世界の釣りを楽しめます。
食べておいしい魚ですので、また釣りに行ってみようと思いました。
この釣りに誘ってくれたゆたきち師匠に大感謝です


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