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上野山さんからのリポート
「ボーズのときは人生を考える」
泊 (福井県)
2024/03/24
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昨年11月に釣りに行って以来、なかなか天気とタイミングが合わずに釣りに行っていません。先週17日の日曜日は、船が出られそうなので、小浜の泊に電話をしましたが「午後から荒れてくるかもしれないので今日は1番船しか出さない、もう1番船は予約でいっぱいです」ということです。
この日は40cmオーバーのグレが1枚釣れたようです。
今週はどうかと21日の木曜日に電話を入れますと「2番船ならいけると思うで」ということです。
この船は定員が10人ですので、1日天気が安定しないとなかなか2番船までは出せません。3月24日は2番船で出られるということですので、私はサンスイ釣り具にオキアミ2枚を朝5時に解凍してくれるように電話を入れました。
サンスイ釣り具に朝5時に到着してマキ餌を作ります。
料金を払って、御主人に「今日はほかに磯に行く人はいないの」と聞きますと「2,3日前は雪も降りましたし、先週釣りに行った人たちは水温が低いためかエサも取られんと言っていますので、もう少し水温が上がらないとみんな釣りに行かないのでは」ということです。
これは出だしから不吉な言葉です。
私は昨年の今頃に泊でグレを釣っていますので、今日も40cmオーバーを釣る気持ちでいましたが、やや暗雲がタレこみ始めます。
7時に2番船が出ると聞いていましたので、少しはやめの6時20分に大谷渡船の駐車場に到着致しました。
車は7台ほど止まっています。
6時半になり釣りの支度をはじめます。
すると6時40分ごろに船長が軽トラックに乗って戻ってきました。
ほかの釣り客が「船長エライ早く戻ってきたな」といいますと「皆さん気がせいているためか6時に出船と連絡してありましたが、5時半ごろには全員用意ができたので、5時40分に港を出ました。まあ、だいぶん明るくなっているし」ということです。
「早く磯についても、今の時期は1投目からは釣れないのでは」といいますと「とにかく皆さんいますぐにでも釣りを始めたいような意気込みです。まあ、今の時期は大型狙いですのでそう釣れませんが、皆さん夢を求めているのでしょう」と船長が言います。
我々も2番船に乗る4人の支度が出来ていますので、7時出船のところを15分ほど早く港を出ました。
今日は弱い北風で天気予報の波の高さは1mとのことです。
前線が南から伸びてきていて、もう九州のほうから雨が降り出していて北陸地方は夕方から雨の見通しです。
小浜への道中は雲が低く垂れこめていました。
風がないので少し暖かく感じられます。
船は奥の磯に向かいます。
二人組が「門の鼻」に下りて次に一人の方が「千畳のチョボ」に下りました。
私は「長崎」の地方寄りに下りました。
迎えの船は4時と5時ということですので時間はたっぷりあります。
しかし水温が低くてエサも取られないということでしたら、4時まではかなり長いかもしれません。
着いた磯はのりが着いていてよく滑ります。
慎重に道具を準備します。
活かしバッカンに海水を入れて、タモと竿を立てます。
狭い場所ではこれは便利ですね。
今日はマスターグレ尾長Mに道糸サンラインの2.5号、ハリス2.5号、グレバリ7号、ウキは5Bとしました。
サルカンの上に4Bのオモリをつけます。
水温が低いということでウキ下は竿2本からスタートします。
ユックリと支度をしましたので、釣りを始めたのは8時ごろでした。
足もとにマキエを打ち仕掛けを投入します。
時折ウネリが来ますが予報通り波は1m程度のようです。
いつものようにボイルのオキアミをつけて第1投です。
仕掛けがなじみますとゆっくりとウキが長崎の先端のほうに流れます。
これは前回グレが釣れた時と逆の潮です。
まあ、1日やるのだから潮も変わると思っていました。
8時過ぎが干潮ですので、もうすぐ潮も変わると思いました。
1投目はエサが残ってきます。
マキエをまいて、ウキ下を50cmほど深くします。
2投目も付けエサは残ってきます。
またウキ下を50cmほど下げます。
仕掛けを巻きますと、リールのスプールの中にウキ止め糸が入ってしまいます。
3投目はウキが足もとに寄って来て根掛しました。
竿を横にあおりますとハリに海藻がついて上がってきました。
この仕掛けの深さでは足元では根掛します。
根掛を恐れては深いタナでやれないと思い、そのままの深さで再度仕掛けを沖目に投入します。
4投目はオキアミの頭が齧られています。
何か魚がいるようです。
次はまたエサが残りましたのでウキ下を40cmほど深くします。
10回ほどウキを投入したでしょうか。
ウキが根掛をした時のように止まってゆっくり沈んでいきます。
これはアタリかもしれないと思います。
軽く竿をしゃくりますと、何かが掛かっています。
ですが、手ごたえは軽いです。
上がってきたのは10cmほどのベラです。
こんな小さなベラがボイルのオキアミを食ってきました。
次はグレが釣れるかもしれないと期待を込めて投入しますが次はエサが残ってきます。
エサが残りますので、また40cmほどウキ下を下げます。
小さなベラはもう1匹釣れました。
何度かに分けて餌が残るたびにタナを深くしましたので、ウキ下は竿2本と2ヒロほどになりました。
これではウキが手前に寄ってきますと根掛りしてしまいます。
タナを深く取って沖目を探るか、ウキ下を浅くして手前を探るか悩みますが、ベラが釣れた沖目を釣ることにします。
時間がたつにつれて、もしかしてこの釣り場にはあの10cmのベラ2匹しかいないではと思えてきます。
釣り人にとってはなんとも恐ろしい考えです。
もし海が澄んでいて、海底まで見える状態でフグもスズメダイもいないなか、朝の8時から4時まで釣りをしろと言われたら拷問以外何物でもありません。
今日の釣場は深い場所で海の底が見えないので、今日の釣りは成り立っているのだなと釣れない間に考えてしまいます。
時刻は10時になりましたので、甘いパンを食べて休憩をします。
パンを食べて釣り場に向かう途中、のりで足を滑らせて潮だまりで転んでしまいました。
とっさに手をつきましたので袖口が濡れたくらいで何ともなかったですが、久しぶりの磯釣りですので足の運び方など気をつけなくてはいけませんね。
しかし、今日はフグも釣れません。
ずっとエサが残って何も釣れないとなると、フグでもいいのでウキが入って釣れないかなという気持ちになってしまいます。
今日は朝にウキがユックリ入ってベラが釣れたのと根掛以外ウキが入りません。
ここまで、写真もなく話が長いので皆さんそろそろこれはボーズかなと推察されているのではないでしょうか。
釣りを再開してからも、潮の流れは変わらずに右に流れます。
12時ごろから波が出てきて、シブキをかぶりはじめたので私は右側の一段高いところから釣ることにしました。
以前釣っていた場所の右側は浅くなっていますので、10mほど右に流れるとウキを上げないと根掛してしまいます。
一度何かがついて上がってきましたので、海藻かと思いましたらナマコでした。
ナマコは水面で針が外れて沈んでいきました。
1時ごろからは雨も降りだし、今日はダメかなという気持ちになります。
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千畳と千畳のチョボの釣り人 雨の釣となりました
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場所を移動してからはウキが速く右に流れて、竿2本以上では根掛しますので、タナを竿1本半くらいにしました。
エサが残る中でタナを浅くするのはセオリーに反していると思いますが、何回も根掛をしますので仕方がありません。
釣る場所が高くなった分、ハリスを回収するときに陣笠にハリスを挟まれたりしてトラブルだらけです。
やはり4ケ月のブランクは大きいです。
8時に釣りを開始した時には4時まで十分に時間はあると思いましたが、あっという間に残り時間はわずかになりました。
これは、人生にも言えることではないでしょうか。
いつかやろうと思っていることは、今やらないとなかなか実現しません。
人生は短いのです。
釣る時間も残り少ないのです!!
渡船で出て一人で磯に下りて釣ることができる時間も短いのです。
70歳で渡船の磯釣りが引退ならあと3年もありません。
ボーズの時はいろいろと人生を考えてしまいます。
エサがとられないためにウキを流す時間が長いので、残りの人生について考察することができます。
これがウキ下1ヒロの秋のグレの数釣りなら、マキエや仕掛けの投入に忙しすぎて人生について考える時間はないでしょう。
低水温でボーズならではの時間の過ごし方です。
NHKの「釣り人万歳」という番組ではかなりの確率でラスト1投に魚が掛かりますが、今日は何のドラマもなく終了予定の3時40分となりました。
まあ、4ケ月ぶりの釣ではこんなものでしょう。
道具を片付けて、氷を海に放り込んでいると迎えの船が見えました。
帰りに千畳に船が寄りますと、磯研の会長さんがいました。
千畳もグレは出なかったようです。
「今日はウキがシモッていくので2枚潮ではないかな」と会長さんはいいます。
今日はところどころの磯でチヌは釣れていましたが、だれもグレは釣れませんでした。
木っ端グレもフグも釣れないので水温はかなり低いと思います。
それでもチヌは釣れるのですね。
ただ、ヒナダンでは40cmオーバーのカレイ!を釣っている方もいました。
誰もグレが釣れないとなりますと、今日はしょうがないかなという気持ちになります。
港に戻って料金を払って、帰り際に磯研の会長さんに「なかなかグレは釣れませんね」といいますと「上野山さん、まだ始まったばかりじゃないですか、確か昨年の今頃に上野山さんはグレを釣りましたよね。今年は急に寒くなったので水温が下がったのではないですか」と明るく言われました。
この方は他人がグレを釣ったことまでよく覚えていると思いました。
まさに泊の生き字引ですね。
カレイを釣った釣り人は大阪のほうから来ている方で、ずっと「ぐれねっと」を読んでいるという方でした。
あらためて、全国に「ぐれねっと」のファンの方がいるのだと思いました。
若狭の磯釣り開幕はボーズスタートとなりました。
というわけで、久しぶりに皆様お待ちかねのボーズ釣行記を書きました。
今年は暖冬ということですが、今日の海は真冬でした。
この海の状態では晴れの暖かい日が続かないと、魚は食ってこないのではないかと思いました。
久しぶりに次回に期待です。
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