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仕事も釣りの合間には
口和深(和歌山県)
1994/11/12〜12/11
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ようやく日本列島に寒波がやってきて冬らしくなってきた。
93年の11月に口和深の平床でグレの爆釣を味わったので、今シーズンは口和深から始めようと考えていた。
ここは太平洋から吹きつける強い潮風が木々を枯らすという枯木灘にあり、紀伊半島屈指の荒磯が続く華やかな釣り場である。
11月12日、大阪を出発して3時間ちょっとで渡船店に着く。高速がのびたおかげで何と近くなったことか。
同行者は園田さんと相棒の中尾である。
私達は他の釣り人と3名とともに赤島に渡った。
私はAに入る。
ここは沖に向かってハエ根がのびており、その左手はストンと落ち込んで壁となっている。
この壁際ぎりぎりを狙う。離しても50cmくらいまで。
撒き餌、刺し餌ともに壁をころげ落ちるようにする。
刺し餌は壁から離さない。グレもこの壁を沿うようにして出てくる。ここを
徹底的に攻めた。
すると、ウキの頭を少し押さえるアタリで竿が曲がる。口太の25cm。小さいが最初の1匹だけにキープする。
次に23cm。リリース。
その次は20cm。どんどん小さくなっていく。
キタマクラが多くて釣りづらいが、その後も20〜28cmの口太をポツポツと掛ける。
ぜんぜん物足りない。
そうこうしているうちに、Bで竿を出されていた釣り人が40cm近いグレを釣られた。
俄然力が入る。
すぐに私のウキにもアタリがでる。ゆっくり竿を立てた。
重い。非常に重いが、ゆっくり、ほんのゆっくりと上がってくる。
イガミのバケモンか、と思う間もなく下へ下へと潜っていく。
かなり糸をもっていかれたが、ようやく竿の弾力と魚の力が均衡を保つ。
戦いは膠着状態に陥った。
とっととカタをつけるべし、などと短気を起こすのは禁物である。
魚と根比べだ。
どれぐらい時間が経過しただろうか。上がってきた。白い。
多少、竿の扱いが雑になりかけたら、すかさず園田さんから「玉網におさめるまで慎重に」の声。
水面で多少暴れたが無事玉網におさまった。
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コロダイだ。57cmあった。
大きな口には小さな伊勢尼5号。フカセで釣るには十分過ぎる大きさだ。
グレではないが満足する。来週もこよっと。
翌週末は相棒が別のグループと勝浦に釣行したので、次は11月23日勤労感謝の日となった。
相棒、ビギナー杉村君と3人で、再度、口和深を攻めた。
グレ釣りの本を買い漁った超初心者を連れているので絶対釣らさなアカン。
2人までの場所だが勝手知ったるソバ坪に無理を承知で渡った。
今日は撒き餌係に徹しよう。
竿を伸ばすまではそう思っていた。
ここソバ坪はハエ根が一面に広がっているが、シモリが多く、魚影も濃い。
私の好きな磯の一つである。
朝からサンノジがポツポツと掛かるが、本命のグレはなかなかこない。
杉村君は30cmぐらいのサンノジでワーワー言っている。
最初のグレは私にきた。30cmをちょっとだけ超えている。キープ。
続けて同サイズ。
相棒にも35cm。俺のほうが大きいと、でかい顔して、デカイ顔。
すかさず私にも同サイズ。
こうなったら杉村君にグレを釣ってもらう、ということなど頭からすっかり消えた。
本日のクライマックスはやはり私に。コロダイと同じように正午少し前にやってきた。
北よりの風を受けてウキを流していたら、赤島のハエ根の先でじわーっと沈んだ。
竿を立てたら大きそう。
グレであってくれと願う。
ハエ根が広がっているので、コロダイを掛けたときのようには糸を出せない。
足元のハエ根に潜り込もうとする。
水際までおりてためる。ためる。
やっと水面まで上がってきた。
グレだ。が、再度奴も頑張る。元気。
なんとか浮かせて相棒が差し出した玉網におさめる。
口太の43cm。
自分の釣りに一生懸命となり、結局ビギナーの杉村君にはグレを釣らせられなかった。
でも、サンノジで磯魚の強い引きは楽しめたであろうから、まあいいか。
次回にグレを釣ってもらおう。
11月23日 ソバ坪での釣果
12月11日 これもソバ坪での釣果
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二度あることはと口和深通い。
11月26日、平床を目指すが、ホースヘッドは人の山。
最初に平床へ船を付けたらどっとおりられた。
次は中の三ツ石だ。
相棒、園田さん、他の釣り人2人の5人で渡る。
北風ピューピューだ。
風を背に受けて釣りやすい見老津向きに、私達は3人並んで竿を出す。
しかし、上り潮。
足元は餌取りだらけ。
すぐに刺し餌がなくなる。
沖を流せばダツが飛びつく。
グレとよく一緒に泳いでいるサンノジはたまに掛かるのに、グレの気配がない。
フクラへと磯がわりする。
フクラに渡って5分もしないうち、園田さんが早くも竿を曲げている。
40cmジャストのイガミ。
竿を伸ばしながら落ち着いて眺めている場合でもないか。
しかし、後が続かない。
相棒が掛けた木ッ葉グレ1匹である。
私には木ッ葉サイズもきてくれず、二度あることは三度なかった。
12月10日、赤島に相棒と2人で渡る。
いつものように私達はAに入る。
私はハエ根の左手、相棒はハエ根の右手を狙う。
水温が下がったのか、足元に撒き餌を撒いても餌取りが寄ってこない。
間断なく撒いていたらチラチラしだした。
数は少ない。
しばらくして、足元に入れていた私のウキが沈みだした。
本日最初のアタリ。
気合一閃ビシッと合わせるも、グレじゃないみたい。
赤い。ひげのあるオジサン。
ひょうきん顔のウスバハギとともに、相棒が好かれている魚だ。
3者とも顔に特徴がある。
最初がオジサンとは、ちょっとイヤな予感がする。
その予感はズバリと当たり、午後3時に納竿するまで29cmのグレ1匹のみの貧果である。
回りの釣り人も似たような釣果ならまだ我慢もできるが。
相棒はというと、最初からグレ。
30cmを越えていそうなサイズをぶり上げた。
つかまえようとしたら針が外れて跳ねた。
「グレは」という私の問いに、相棒は「リリースした」と涼しい顔で答える。
なかなか強気な奴だ。
次にもグレ。35cm
これもぶり上げているが、磯に魚が着くなりハリはずれ。
下へ下へと転げ落ちていく。
あわてて、相棒はつかみに行く。
水面近くでやっと押さえた。
ホッとした顔。
30cmオーバーを続けて放流しては単なる間抜けになってしまう。
その後も相棒は30cmオーバーを3匹追加して満足そうな顔を見せていた。
下げに入った正午頃からはB、Cで釣っていた人たちも、良型グレをバタバタとものにされた。
この日は大バエで32〜45cm8匹、重箱で30〜39cm20匹以上でるなど、帰りの船では笑顔があふれていた。
今シーズンはよさそうな予感がする。
40cmオーバーが期待できそうな雰囲気なので、予定を変更して次の日も釣ることになった。
翌11日はソバ坪で竿を出した。
赤島の沖にある沈み根(干潮時に一部顔を出す)の際まで投げて、赤島からの撒き餌をおいしくいただくなど幅広く探り、37cm以下30cm以上を9匹拾えた。
相棒は同サイズ3匹。期待の40cmオーバーはこの日こなかったが、寒グレの最盛期にはもう一回り大きいのを仕留められそうな手応えが感じ取れた。
相手は自然のこと、釣れないこともある。
釣れれば来週も、釣れなければ来週はとなり、毎回飽きもせず磯に立つ。
相棒は五週連続の磯通いである。
まるで新興宗教か新聞の勧誘のようにしつこくかつ熱心だ。
私も似たようなものか。
しかし、仕事だって釣りの合間にはやっている。
これからの季節は北西風が吹く日も多いが、風の吹かない暖かい日を選んで寒グレ釣りを楽しみたい。
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