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 「強烈なの2つ」

  西海、武者泊 (愛媛県)
   2010/04/24、25
 


4月24、25日はいとうさんと久しぶりの釣行である。
四国南西部、尾長の大物も狙えるところだ。
場所の選定などはいとうさんにお願いする。
私が尾長、尾長と唱えていたので、初日は西海で竿を出すことになった。

家を出たのが午後10時と遅くなった。
少しくらいは仮眠できる時間に出発するつもりだったが、道中で目をつぶっている時間はない。
眠たくても車を走らせ続けなくてはいけないぞ。
夜更かしは今でも平気な方だけど、不眠で朝までの長時間運転は50歳の体にはきつい。
1時間ごとにサービスエリアで顔を洗い、ガムを噛んだり飴をなめたりして運転を続けた。
サービスエリアでの休憩やエサ屋に寄ったりしたので、中泊の到着は渡船の出る30分前となった。
ながはま渡船の駐車場ではいとうさんが待ってくれていた。
「お久しぶり」
近況などを報告しあい、再会を喜んだ。
かなり強い北よりの風が吹いている。
風の当たらないところしたくなるような強さである。

船は沖に向う。
乗客は私達を含めて4人だけである。
目指す磯の前に着いた。
最初に名前を呼ばれたので、荷物を持って舳先に移動した。
風裏だけに他の2船も集まっている。
ヨーイドンといっせいに船を磯に付け始めた。
私達の右隣の磯にも左隣の磯にも他の渡船が渡している。
隣の磯は写真集で見覚えある磯だ。
ここはコケ?
尾長もよく出る人気磯か。
いとうさんに聞いたらコケで竿を出すのは2回目らしい。
いい思い出はないそうだ。

私は左側、いとうさんは右側で釣りを始めた。
ハリス4号をくくり1投目にさっそくアタリがあった。
私の左前は少しハエ根が出ている。
ハエ根の際に仕掛けを投入した。
すぐにウキの頭にマキエを打つ。
ウキはゆっくりと右に流れていく。
5秒後、また、マキエをウキの頭に打つ。
スッーとウキが沈んでいった。
30cmほど入ったところで竿を立てた。
小気味よく引いてくれるが、4号ハリスの敵ではない。
それもグレではないし。
上がってきたのは30cmくらいのイズスミである。

その後は連続で魚は掛からなかった。
結構、エサ取りはいてる。
足元に仕掛けを入れるとすぐに刺し餌がなくなる。
ハゲなどが闊歩してるようだ。
それでも釣り開始から3時間くらいの間で35cm前後のグレを3枚キープした。
最大が38cmと希望サイズには程遠い。
それも、すべて口太である。
期待した尾長は来ない。
まあ、周囲も竿を曲げてないので仕方ないか。

いとうさんはグレを1枚とハリ外れ1回。
外れたのはそこそこのサイズか。
でかいって感じはなかったけど、竿はかなり曲がっていた。
午前10時くらいからは潮も止まってまったく釣れなくなった。
インキョとの水道を狙ったりするも当たらない。
風裏とはいえ、風も回って吹きつける。
寒い。

迎えの船は12時半に来る。
残り20分をきっても竿を握っていた。
粘ったが来なかった。
こうして朝の部は終わった。
船に乗り込み源氏に上がった2人に話を聞いたが、アタリもなかったようだ。
どことも厳しいな。

岡に上がって弁当を食べた。
夕方の部は人数が増えるようだ。
船に乗り込んで着いたところは朝と同じところ。
他の2船も集まっている。
昼からは源氏に上がった2人がインキョに渡る。
私達はというとインキョの隣の源氏。
つまり、朝の部で釣れなかったところ。
風は当たらないし、足場もいい。
階段状になってて、座っても釣れそうなところでもある。
       奥に見えるのがコケ

磯に渡って一番最初に生かしバッカンに海水を汲み入れた。
魚が釣れたら、すぐに放り込めれるように。
「先に釣れた場合の用意を万全にすると釣れなくなるやろか」
「下山さんにジンクスはないの」
「うーん、ない」
釣り始めたがウンともスンとも。
刺し餌がたまに盗られるくらい。
堪らず、生かしバッカンをひっくり返す。
「これで釣れるようにならんかな」
「なったらいいけどね」
ひっくり返した効果は現れなかった。
アタリのない時間が続いた。

いとうさんはさっきから大あくびを連発している。
私はというと、立ったまま意識が薄れそうになる。
磯から転げ落ちそう。
とてもウキに集中できる状態じゃない。
「ちょっと10分くらい目を瞑ります。30分しても起きてこなかったら起こしてちょーだい」
平たいところを見つけて横になった。
ハッと気がついたら寝ていた。
「何分くらい寝てました」
「15分くらいですよ」
「状況はどうです」
「変わりなし」

元の場所に戻って釣りを再開する。
まだまだ、沈黙の時間は続いた。
いとうさんの大あくびは続いているが、私と違って竿も持ち続けている。
そして、ついにアタリがあった。
いとうさんに。

いとうさんの釣り座の左前にはハエ根が伸びている。
ハエ根の先を狙っていたら、ウキが消し込まれたようだ。
いとうさんの竿は極限まで曲がる。
手で引っ張っても糸が出ないくらい締めたフロントドラグのリールから糸が出ていっている。
ジージー。
「出したらあかん」と私は声を発した。
秒殺でいとうさんの竿は天を指した。
どうしようもない魚だったのかな。

2人ともいっぺんに眠気がふっ飛んだ。
いとうさんはもう2段ほどフロントドラグを閉めたようだ
残り1時間ほどは真剣にウキを睨んだが来なかった。
夕方の部は完全ボーズで終了となった。

今日は無料仮眠所泊まりである。
仮眠所に入る前にいとうさんお薦めの温泉に行く。
やまいだし温泉。
入湯料は1人300円とお手ごろ価格である。
加温のかけ流しか、気持ちいいな。
食料を調達して福浦のいろは渡船の無料仮眠所に入る。
10人分くらいの布団が並んでいるところに私たち2人だけ。
ビールを2本飲んだら、すぐに眠たくなった。
前の晩は一睡もしてないだけに爆睡する。

2日目は、いとうさんの「4時半ですよ」って声で目を覚ました。
午前5時の出船である。
用意を済ませて、いろは渡船に乗り込む。
今日は私達を含めても3人だけ。
いとうさんは船頭さんからどこに行くんやと聞かれている。
昨日5枚釣れた千畳を勧められたらしく、そこに2人で渡ることになった。
もう1人の方も同様に聞かれていたが、その人も千畳を希望されたようだ。
結局、私達が鼻面岬の千畳に、もう1人は鼻面岬のワレに渡ることになった。

千畳は名前のとおり広く平たい磯である。
千枚の畳をひけるほどの広さはないが、5〜6人は竿を出せそうなところである。
いとうさんは足元から深い船付で、私は浅いところが好きなので水道を釣ることにした。
目の前20メートルくらいのところには顔を出している根がある。
今日も4号ハリスをくくった。
生かしバッカンに海水は入れなかった。

水道の中はかなりの速さで左に流れている。
いとうさんとは20メートルくらい離れているが、2人の中間にハエ根が延びてサラシが出ているところがある。
水道の右端に入れたウキとマキエはそのサラシまで一気に流れサラシで沖へと出ていく。
マキエと刺し餌を同調させるようウキを止め止めさせながら流すもアタリはない。

釣りを開始してから1時間くらい経った。
磯の右角(水道の入り口)にマキエと仕掛けを投入し、マキエをウキの頭にパラリ。
4、5メートル流れたところでもう一度マキエを撒こうとシャクを持って一瞬だけウキから目を離した。
竿がいきなり引っ張られた。
「来た!」
竿を立てるときにちょっとだけ糸は出た。
ハリスは4号なのでその後はいっさい糸は出さず無理もせず。
抵抗は強かったが浮いてきた。
無事にタモに収まったのは口太の45cm。

潮は相変わらず速い。
水道の端からサラシまで、ウキは10秒くらいで流れる。
サラシの際で一瞬だけウキは止まるので、そこで来そうなものだが・・・
来ない。
その後もしばらくは水道の中を流したが、いとうさんの方に場所を移動することにした。
今度はサラシの左手を釣ってみる。
いとうさんはヘダイ1匹、バラシ1回、ハリ外れ1回だ。

1投目、足元に入れたウキは左沖へゆっくりと出ていく。
先ほどの場所より流れは穏やかだ。
竿4〜5本出たところで餌が付いてるかどうか確認するためリールを巻き始めた。
「おー、魚が掛かっている」
マダイの41.5cm。
その後はサラシの先など、あっちこっちを攻めたが丸ハゲがハリをくわえて上がってきただけ。
刺し餌が盗られる時間が続いた。
いとうさんはというと、私が朝から竿を出していた水道を狙ったが駄目だったよう。
また、船付の方に戻ってきている。

ふと見ると、いとうさんの竿がどうしようもないほど曲がっている。
竿が折れそうなほど。
強烈に引いてる。
わずか数秒、とんでもないのに引きちぎられたみたい。

何がいてるんやろ。
        大物とファイト中

午前8時を回った。
磯際に仕掛けを投入し、マキエをウキの頭にパラリ。
ウキはゆっくり沖へ。
竿1本先でまた、ウキの頭にマキエをパラリ。
すると、ウキがスッーと入った。
今日、餌取り以外でウキが入るのを見るのは初めてだ。
ビシッと合わせた。
すごい勢いで引っ張られる。
「デカイ」
竿を立てきれない。
たぶん、竿1本ぐらい糸を出したところで竿尻をを魚の方に向けれた。
もう、1ミリたりとも糸は出さないぞ。
なおも強く引っ張られる。
我慢。
10秒ほどの膠着状況があった。
魚はこっちを向いた。
抵抗をいなしつつ浮かせた。
がっくり。
でかいサンノジだ。
その4、5投後、また、ウキが沈んでアイゴの30cm級が来た。

干潮になってアタリが遠のいた。
足元には大きい魚がよく見える。
茶色したのやキラリと光るものなど何種類もいてる。
マキエを撒いたら寄って来るが刺し餌は咥えないようだ。
時々反転するやつがいてるので喰ってきそうな感じだが。
残り2時間を切った。
朝のうち、流れの速い中を釣ってマキエの使い方が激しかった。
マキエが少なくなってきたので、いとうさんにくっついて釣ろう。

マキエシャク、いとうさんは穴の空いてないやつを使っている。
オザキさんからバッカンの中の水も餌のエキスなどが染み出しているので撒かなきゃ勿体ないとか、森本さんから水も粘性となってボイルだけより遠くに投げれるよという教えを守って穴の空いてないマキエシャクを使っているらしい。
そうか。
私は穴の空いたカップの大きいやつを使っている。
撒く回数は人より多めだし、オーバースローで撒く。
風の強い日に穴の空いてないやつを使うとオキアミの汁まみれになることもある。
臭い人に変身してしまうのがイヤなので、穴空き派だ。
カップの大きい方が掬いやすいし。
         46cmのチヌ

干潮から上げになって、釣れない。
ここは下げの場所らしい。
いとうさんの撒いたマキエの下には大きな魚がウロウロしている。
2つ並んでいるウキの1つが沈んだ。
私のだ。
糸を出すようなサイズではないが竿はかなり曲がった。
見えた。
チヌや。
こんなところで釣れるのってやつ。
武者泊で46cmのチヌ、似合わないな。

納竿する時間となった。
ワレに渡った人はアタリもなかったようだ。
一緒に千畳で竿を並べたらよかったのかな。
3人だけならゆったり釣れそうな場所だっただけに申し訳ない感じがした。
昨日は下げで45〜46cmのグレが4枚、上げでチヌが5枚釣れたと船頭から聞いた。
ここは下げの釣り場らしく、朝からの3時間が勝負の時間やったね。

私はぼちぼちの釣果で2日間の釣りを終えた。
印象に残るのは、やっぱり、いとうさんのバラシやな。
強烈なの2つ。
やっぱり、四国南西部は違う。
また、来たくなる。
いとうさんには上野山さんが釣りに行きたくなりウズウズするような釣行記をお願いしますと非常に厄介な注文を受けて別れた。
もちろん、次回の約束もして。



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