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 Ryutoさんからのリポート
 「ウンコを垂れ流しながら上がってくる」
 

  梶賀 (三重県)
   2001/07/23


磯の上物は休みの時季である。
エサ取りが横行し、本命をも蹴散らすほどの数で磯の周りを囲む。
カゴ釣りでもしない限り勝ち目はない。
夏のエサ取り対策として、ボイルのオキアミや湖産エビやフナムシを使用するとある程度かわせるが、それ以上に暑さが問題である。
磯は熱したフライパンのようになり、脱水症状や熱射病の危険性もある。

7月23日月曜日に梶賀に釣行した。
私の勤める会社にはお盆休みというものがない。
その代わりに7〜9月にかけて職場で調整し、自由に休みを設定できるのである。
そんなこんなの平日釣行である。
行き先はここ1週間程のスポーツ新聞を見て尾鷲か梶賀に狙いを付けていた。
どちらも尾長が回遊している、らしい。。。
悩んで悩んで悩みまくった挙句に「メイチダイ」が釣れているとの情報で梶賀にしたのである。
南紀も思案したが、高速代が痛すぎるので、最近は足が遠のいている。

前日に船頭に電話すると「朝からの方がいいじゃない」とのことなので、深夜の大台を越えて4時半の一番船に乗った。
平日だというのに10人を超える釣人がいる。
7割が底物師のようだ。
そういえば石垣鯛が釣れているようだ。
上手くいけば、今夜は尾長とメイチダイと石垣鯛でビールが飲める。
うふふっ、港にいるあいだから頬が緩みっぱなしである。
まぁ、これが実現した試しはないが、、、。

大黒周りの船に乗り、沖大黒に3人の底物・上物を降ろした後に、沖大黒の東に渡礁した。
船付きから高場に荷物を持って上がるのだが、足元がふらつく。
そりゃそうだ。
磯クールの中には、生1枚、ボイル2枚、水2リットル、お茶0.5リットル、氷、添加剤と小物やカメラなんかも入れているので、15キロは超えているだろう。
大黒の東は繁島に向いて竿をだし、右側にある大きなサラシが狙い目のポイントである。
中小型の尾長グレが数狙えるが、メイチやイサギは少し厳しいかもしれない。
うーむと考えながらバッカンに生とボイルを移し、原型のままをサラシに入れてみる。
2杯入れたところでミニグレがサラシの中に見えた。
潮は目で見えるほどには、動いてないようだ。
タックルの準備にかかる。
竿は1・5号、リールはLB付き中型リール、ライン2号、ハリス2・5号、ハリグレ7号を結んだ。
ウキはとりあえず様子見で自重のあるBを利用した。
ウキ下は3ヒロから始める。

サラシの根元にまきエを入れて、切れ目に仕掛けを投入。
サラシに押されながら沖に出て行くウキを竿を右に倒して仕掛けに張りを作る。
1投目刺しエが残る。
まきエを入れながら投入点を変更して様子を伺うが、刺しエは着いたままである。
???と?マークが頭に浮かぶ。
サラシが強いために刺しエが入ってないのかと思い、ハリスにG5を追加する。
サラシにまきエを入れてまきエが伸びるのを計算して仕掛けを振り込む。
サラシの切れ目でグーッと沈んで行くウキを穂先を使ってひっぱってやるとココンとアタリがあった。
軽く手首を返すと軽い手応えで小アジが釣れてきた。
次も小アジ。
ちょうど南蛮漬けに最適サイズである。
氷の持って上がっていることだし、せっせとキープ。

まきエには小アジとミニグレが乱舞し始めたが、キープできるようなサイズが来ない。
サラシ場は、潮は全く動いていないが、沖は結構走っているようだ。
裏向きも中大黒との水道、エビスとの水道を潮が抜けて行く。
ちょうどサラシ場は、潮裏となっており澱んでいる感じでポイントになっていない。
沖の潮筋までは遠投すれば何とか届く範囲だが、まきエを効かすことが不可能だろう。
そこで裏の潮筋に狙いを移した。

潮上にまきエをバラバラと打ち、仕掛けを振り込む。
潮は速い。
潮岬や枯木灘の本流と言うほどではないが、紀東でこんな潮は経験していない。
おお、ええ感じちゃうの!!とボルテージが一気に上がる。
0のウキに変更し、ウキ下3ヒロで潮筋を流して行く。
潮はドンドン抜けて行って7〜80メートル先で沖の潮を合流している。
ドンドンまきエを入れて潮筋を潮目まで流して行くとドッカーンとアタリが、、、と妄想だけが膨らむがさっぱりアタリが出ない。
どないしたもんかな?と仕掛けを変更する。
3Bウキで4ヒロのウキ下で流して見るが、刺しエは付いたまま。
まきエにはアジやコッパらしき魚も見えるが、まきエの投入点から10メートルほどで食い尽くされるのか、沖には魚の気配がない。

深く探っても、沈めてみても、浅く探っても魚の反応がない。
かと言って手前でまきエと同調させると小アジやコッパに取られてしまう。
沖の潮目にまきエを効かせるために撒き続けたいところだが、このまま釣り続けるにはまきエが持たないとまきエに添加剤を加え、量を増やす。
添加剤を加えて遠投も効くようになったので、手前に大量にまきエを打ちアジを釘付けにして仕掛けを沖の潮筋に入れる。
すかさずウキに追いまきエを入れて余り仕掛けを張らずに流し込むが、それでも刺しエが残ったまま。
この時、ウキ下竿2本半。

「なんじゃ、おらん。梶賀の海は冷たいの〜。楽させてくれんの〜。」とどこかで聞いたような独り言が出てくる。
どうしても沖でアタリがないので、ウキ下を3ヒロに戻し、再度足元から流して見る。
これが正解。。。
30メートルほど流れたところでウキがスーと海中へ。
なぜかアジじゃないなと直感し、大きくアワセを入れるとグンッと魚が乗った。
潮の抵抗もあってなかなかの手応え。
太い仕掛けに物を言わせゴリゴリとリールを巻くと30センチ弱のグレが浮いてきた。
ひょいっと抜き上げると口太である。
ころころに太った口太をみると今は本当に夏か?と思ってしまうが、今年の梅雨グレは変だ。
例年なら口太は、産卵も終わってやせ細った体型なのだが、今年は寒グレのようにころころに太っている。

とまぁそんな自然科学派なことを3秒ぐらい考えるのだが、すぐにまきエを入れて続きを狙う。
先ほどアタリのあったところでまきエを刺しエが同調するようにまきエを打ち、刺しエを入れて張りを作る。
するとウキ横走りすると同時にガツンと来た。
よっしゃーと叫びを上げてアワセを入れて竿をためる。
竿尻を魚に向けるようにしてポンピングを繰り返すと手元にきてガンガンと下品に竿を叩く。
あれ?やばい。
尾長が針を飲んでるんだろうな〜なんて自分を誤魔化すが黄色いウンコを垂れ流しながらイズスミが釣れてきた。

こいつが釣れてくる時は、ウキ下を深くするか仕掛けを立て気味にするとグレが来ることが多いので、ハリスにオモリを追加して流す。
再びひったくるようなアタリ。
「おりゃ、こるぅぁ〜」と竿を腰だめで問答無用で寄せてくるとこれまたイズスミ。
こりゃあかんと手前のポイントを捨てる。
もうこんだけまきエを入れたら沖でも魚が浮いてるだろうと、遠投して手前のコッパ・イズスミ軍団をかわして沖に流し込む。

投入点を変更しながら80メートル沖の潮目に流し込むとバチバチバチとラインが走った。
リールのベールを返すとドスンとリールシートの上から曲がる。
「こりゃええ型や」と腰だめスタイルで寄せてくる。
ギューンギューンと抵抗するが、ラインの伸びに期待して強引にためまくる。
満月のように曲がる竿を見てニヤニヤしてしまう。
釣友がいたら写真撮って〜なんて頼むかも知れない。
が、しかしである。
寄ってきたのは、ウンコ垂れのあいつである。
はぁ〜げんなり。
この後もイズスミの連発ですっかり体力を奪われてしまった。

水分補給して、もう一度状況を考える。
少し潮の流れが変わったのか、サラシ場にも潮が効いている感じだ。
そこで再びサラシに狙いを付けて、仕掛けを振り込むが乗って来ない。
まきエを打つと小アジとミニグレの中に20センチ程のグレが見えるが、どうしても食ってこない。
何があかんのや?とぶつくさ言いながら、ハリスを1・5号に落とす。
逆に針は7号に戻した。
少しでも飲まれにくくするためだ。

足元にまきエを入れ、沖向きに遠投。
そしてウキにまきエを被せる。
軽く手前に引き寄せるようにするとウキが沈み、ラインが走った。
ビンゴッって叫んでアワセを入れる。
ラインを落としたので慎重になりがちだが、足元は根だらけである。
余裕は無い。
強引に竿を立てて魚をタナの上に上げてしまう。
寄せ波に合わせて磯にずり上げたのは、30センチ弱の尾長グレである。
なかなか良く引く。

よしっこれがパターンかと意気込んで同じポイントに仕掛けを入れるとスパンとウキ入れ。
バババババッとリールから出て行くラインに手をかけてアワセを入れるとガツンを竿がひん曲がった。
ベールを返してためにかかるが1・5号では太刀打ちできない。
ブーンブーンとリールが唸りをあげる。
ハリスを落としたことを後悔しながら、転がり落ちるように磯際に降り立ち、膝まで濡れながら竿をためる。
うーん、こりゃとれんかもな〜なんて弱気にもなったが、何とか魚が止まった。
かなり走られたので、ラインは傷付いているだろう。
無理はできない。
竿の弾力だけで静かに寄せる。
怒らせたらもう止めることはできないだろう。
魚が右に走ったので、私も右に移動し応戦する。
じっくりじっくりと巻き取って行くと、やっとウキが見えるようになった。
ここからが勝負である。
魚が最も警戒し、急に反転しバラシってことが多い。
詰めを急ぎ痛い目にあったことは数え切れないほどだ。
竿は叩いていない。
手応えからして40センチは下らないだろう。
竿を左右に振り魚が横に泳ぐようにして粘る。
ウキが空中に出てサラシに魚影が見えた。
デカイ。
45センチはあるだろう。
が、しかし白い。
そこからも2,3度締めこまれたが、ラインを与えることなく耐える。
なんとか浮かせてみるとやっぱり白い。
一気に脱力感。
はぁ〜と気が抜けたらプッツンとハリスが切れた。

この後もコッパとイズスミの連発でげんなりしているところで、弁当船が来た。
どうや〜?と問い掛ける船頭に「2枚」と答えて船に乗り込み弁当を受け取る。
船にはなぜかタンクトップのおねーちゃんが2人乗っていた。
多分シーサイドのお客さんだろう。
無料の遊覧というやつらしい。。。
そのまま船でご一緒したい気持ちを押さえて「頑張ります」と極力さわやかに磯に飛び移ったが、全身汗だくで磯釣りをする姿は彼女達にどう映っただろうか?
あまり想像したくない。

このあと弁当を食べて後半戦を頑張ったが、潮も緩んでしまって、挙句には止まり、ゴミが漂ういつものパターンだ。
せっせと肴のアジをキープして午後1時に納竿した。

どうしてあの状況を攻めきれなかったのか、悔しくて仕方がない。
絶対に尾長はいたはずである。
今から思えば試しきれなかったアプローチもあったが、限られた時間でそのすべてを出し切るだけのことができなかった。
というより、アプローチを絞り切れずに片っ端から試して、そのうちに時合いを逃した感じだ。
もしいつもの釣友がいれば、違うアプローチで試して行き、正解を導けたかもしれない。
まだまだ未熟者である。
そんなことを考えながら、南蛮漬けとグウタラ焼きでビールをグビグビ飲む私であった。


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