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 上野山さんからのリポート
 「胴まで曲がってどうにもならない」


  西小川 (福井県)
   2002/10/06


今年の7月にギックリ腰になり、毎年楽しみにしている九頭龍川の夏のアユつりは3回しか行けませんでした。
10月になりましたが、腰の具合がどうもよくないので、磯に行けるか不安でした。
ですが、「しんどくなったら座って釣ればいいじゃないの」という心のささやきが聞こえ、10月6日に若狭湾は小浜の西小川に一人で釣りに行ってきました。

ここは、今北朝鮮の拉致問題の現場に近いところです。
私のとなり町の美浜町では、小型工作船も打ちあがっております。
以前から、暗いうちに、一人で沖磯にいますとつい拉致問題のことが頭をよぎり、暗い海を近づくゴムボートがないか、などとあたりを見渡してしまいます。

さて、10月6日ですが低気圧の接近で夜は雨、南風が強まるという予報です。
これは、朝行く方がいいなと思い、5日の夕方すみや渡船に電話を入れました。
電話を入れますと、出船は朝の4時ということです。
サンスイ釣具店に生のオキアミを2枚注文し8時には寝ます。
しかし2時に目覚ましをかけたにもかかわらず、11時ごろ目が覚めてしまいました。
あとは眠れないので仕掛けのことなど考えて、ふとんの中でうつらうつらしておりました。
2時に家を出て、サンスイ釣具店でオキアミを受け取ります。

今日は集魚材無しでやることにします。
暗い中の釣りですので、ケミホタルも久し振りに買います。
4時20分前にすみや渡船に着きますと、お客さんが7、8人います。
アオリイカ用のルアーを持っている人もいます。

4時ちょうどに港を出た船は、コボラグリに向かいます。
海はまだ真っ暗です。
最初はコボラのチョボに着けます。
「誰か乗らんか」と船長が言いますので、私が1番に降りることにします。
ここはベタ凪ぎでないと乗れないような小さな磯ですが、比較的平らですので腰の負担は軽そうです。

北向きに釣りますので、南風を背中に受けます。
久し振りの夜釣りですので支度に手間取ります。
キャップランプの淡い明かりでは、なかなかハリが結べません。
中年になってだいぶ目も悪くなっているようです。
ようやくオキアミを着けてウキ下4ヒロで仕掛けを投入します。

今日の仕掛けです。
竿はガマのレイダム1.5号、リールはシマノの8000番、6月に2度使った2号の道糸を10mほど切ってそのまま使います。
ウキは3Bの円錐浮きに、サルカンを使って2号のハリスを2ヒロ取り、結びます。
ハリはガマの小磯8号と大きめです。
以前コボラグリ周辺では2回大物に切られているので、道糸が細いのが不安ですが、まあそう大物はたびたび来ないでしょう。

ウキはゆっくり沖に流れていきます。
しばらくして、ケミホタルの緑の光がゆっくり沈んでいきます。
根がかりかなと思いゆっくり竿を立てますと魚が着いています。
チヌかなと思いましたが首を振りません。
そう引きませんので、糸を出すこともなく寄せることができました。
ランプで照らしてみるとなんとグレです。
タモで掬ったのは29cmほどのグレでした。
さっそくシメてクーラーに入れます。

しばらくして、磯着けを終えた船長が、荷掛けを持ってきてくれました。
「1投目でグレが釣れたよ。」と言いますと、闇夜なのにグレが釣れたかと驚いていました。
しばらくして、ウキが入りますが今度は根がかりです。
切れたハリスをつけなおしますが、暗い中で仕掛けを作るのは大変です。

このあとは夜明けまでアタリがありません。
夜があけると、足元にはスズメダイやコッパグレが山のように渦巻いています。
沖目に投入しますと27cmほどのアカラ(アズキマス)が釣れました。
これは持ち帰ります。

エサが残らないので、2段ウキにしてウキ下を1ヒロにして、餌を足元に打ちつけ、エサを沖に投入しますが釣れてくるのは20cmそこそこのコッパグレばかりです。
今度は5Bのウキに変え、ウキ下3ヒロで沖目に投入しますが、ウキにアタリが出ずにエサが取られます。

持ち帰るグレも1匹釣れていることだし、ゆっくりやろうとパンを食べます。
立っているとしんどいので座って釣ります。
南風はますます強まり白波が立ちます。
10時ごろになり、ウキを重いタイプの1号に変え、丸ダマ1号オモリをつけ、ハリスにもオモリを打ちウキ下5ヒロでかなり遠投します。
30mほど沖に投げたウキがスット沈みます。
合わせますが空振りです。

もう一度、同じようなところに投げます、
南風を背中に受けてのキャスティングですのでよく飛びます。
仕掛けがなじんだ頃スット、ウキが沈みます。
あわせを入れますと乗りましたが、大物のようです。
いきなり竿が胴まで曲がります。

とても持ちこたえられないのでベールをあけて糸を出します。
しばらくして魚が止まりましたので、竿で聞いてみます、するとまた魚は走り始めます。
止めようにも竿が胴まで曲がってしまいどうにもなりません。
両手で竿を上に突き上げ竿の弾力を精一杯使いますがそれでも、魚は無理やり走ります。
リールがウナリをたてて逆転します。
道糸が2号だったことが頭をよぎり少し弱気になります。
そのうちフッと軽くなってしまいました。
バラシです。

いつもの虚脱感が湧きあがります。
仕掛けをまくと道糸から切れていました。
ウキ止め糸が10mほどずり上がっています。
魚が走る時のウキの抵抗でウキ止め糸がずり上がるのでしょうか。
それともウキが引っかかったのでしょうか。
目算で40mほど走られたように思います。

このあと、ハリスを2.5号にして再開しましたが、納竿の12時までアタリはありませんでした。
港に帰り、船長にまたバラしたことを話しますと、「また切られたですか、そりゃ釣るまできてください。
次はハリス3号でがんばってくださいよ。
あのへんは、マダイ以外にヒラマサもでますから」という船長です。
今日のバラシは何だったのでしょう。

本日の釣果 グレ28.5cm、アカラ26cm

リールのベールを起こす余裕がありましたし、そうスピードがなかったのでマダイかもしれません。
春にもこの近くの磯で走られてバラしています。
今回もなんとも悔しいバラシです。

しかし、高確率でエタイの知れない大物にめぐり会います。
きっと、これは釣り人として、幸せなことなのでしょうね。
しばらくはバラシのシーンが頭から離れないような気がします。
当然、仕事が手につかんことでしょう。
次は道糸4号、ハリス3号で挑戦して、大物の正体を見たいものです。




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