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 上野山さんからのリポート
 「お葬式のついでに釣り」

  音海 (福井県)
   2003/06/22

 


月曜日の週間天気予報では6月22日の日曜日は、晴れマークでした。
火曜日あたりからどこに釣りに行こうかと、色々情報を調べたのですが若狭方面はどこもアマリ釣れていないようです。
しかも金曜日になって知り合いに不幸があり、22日の日曜日は午前11時に香典をまとめて持っていく役が回ってきてしまいました。
土曜日は3時過ぎまで仕事ですので、日曜の朝に渡船で行くか、香典を届けた後に釣りに行くかです。

金曜日の夕方になり、香典を届ける場所はなんと若狭大島ということが分かりました。
こうなると、敦賀に戻っての釣りは大変なので、若狭大島か、手前の小浜あたりで竿を出そうと思いました。
このあたりは、けっこう渡船屋があります。
せっかく遠くまで行きますので、行ったことがないところに行ってみて秋のシーズンの下見もかねようと思いました。
できることなら釣果も得たいですが。
地図を見て、秋には40cmオーバーが出るという音海に狙いを定めました。

渡船屋のウミックさんに22日の朝8時過ぎに電話しますと、「船はいつでも出ますよ、上がりは7時です」という返事です。
「1時頃に行きますので、よろしくお願いします」と電話をして急いでサンスイ釣具店に行きます。
白いシャツに黒いスラックスですので、店の人はびっくりしています。
事情を話すと「あそこまで行って釣りをしないのもね・・・」とのコメントでした。

若狭大島で香典を届けたあと車に戻り、さて着替えようかとおもいましたが、車に入れたと思った着替えがありません。
このままワイシャツで釣りをするわけにもいかないので、高浜までの道中で店を探します。
そうたくさんお金も持ってきていないので、安い服しか買えません。
店がなければ、最悪は下着の上にカッパを着て釣りをするつもりです。
途中ホームセンターがありましたので、園芸コーナーで売っていた綿のシャツとズボンを買います。
どちらも千円しなくて、中国製品のようです。
まさにデフレの時代ですね。

さて、27号線を右に入り15分ほどでウミックにつきます。
ちょうど船が戻ってきましたので船長に聞きますと「すぐ出ますから、支度してきてください」ということです。
事務所で名前と、上がりの時間を用紙に記入し桟橋に向かいます。
ここは、好きなときに来て、希望の時間に上がれるようです。
船は私1人を乗せて押廻崎鼻を回り、音海の断崖の下を通り今戸の鼻に向かいます。
岬の先端、断崖の下にある磯での釣りですので、人工の構造物はいっさい目に入りません。
いかにも秘境に来たような感じがします。

私は今戸の鼻のタライという磯に付けてもらいました。
ここは足元から切れ込んでいて深そうです。
けっこう広い磯で、ウマイ具合に足元にバッカンを置いて、座って釣れそうです。
サンスイの若旦那は冬にこの近辺で10ヒロの棚まで落としてグレを釣ったと言うことです。
ボイルのオキアミをパラパラと撒きますと、スズメダイやベラ、フグが寄ってきます。
夕方7時までですので、マキエは少しにして釣りを開始します。
ウキ下3.5ヒロから始めますが、たまにベラが釣れる程度です。
あまりマキエをしないのでそうエサ取りはじゃまになりません。
付けエサも4ヒロまで落ちます。
ウキ下を色々変えてみます。
ですが、釣れてくるのはベラばかりです。
そう潮も動きません。

4時過ぎになり、見回りの船が来て「どうですか」と聞いてきます。
「ダメです。ベラしか釣れません」といいますと「磯変わりますか。海峡があきましたけど。さっき帰った人は大きくはないけどグレを30枚ほど釣ったと言っていましたよ」ということです。
私は色々場所を見ておきたいので磯変わりすることにしました。

海峡に着き、「餌を撒いた跡があるところでやってください」というので磯を見ますと、集魚材の跡です。
これはマズイかなと思いましたがボイルを撒いてみます。
エサ取りの活性が高くボイルに反応して水面でバシャバシャとスズメダイが跳ねます。
「これは終わった」と思いますが手前にボイルを撒き仕掛けを遠投し少しボイルをウキの近くに撒きます。
しかし、向かい風であまりボイルが飛びません。
遠投したウキには着水音と同時にズズメダイが群がります。
さっきの磯に比べると潮は流れますが、エサ取りが元気すぎます。
2段ウキ仕掛けに変更してウキ下1.5ヒロで遠投してようやくアタリです。
釣れたのは20cm位のグレ。
「もしかして大きくはないけど30匹釣れたと言うのはコレカ」と思ってしまい、脱力です。

その後、いい具合に潮は流れますが、手前では一瞬にして餌がとられ、沖ではエサが残ります。
グレがいたら食いそうな流れですが、たまにエサ取りの層をサシエが突破してもフグが釣れる程度です。
マダイでもこんかと5Bのウキに変えてウキ下を4ヒロほどにして遠投しましたが、ドラマは起こらずに日没を迎えました。

この日は夏至ということで7時でも本当に明るかったです。
帰りの船は、隣の「エイの鼻」に乗った人と二人でした。
「どうでした」と聞きますと、「コッパも釣れませんわ。今年はここに2,3回来てグレの顔を見ていますが今日は最悪の日ですわ」ということでした。

帰りは遠くに正面崎や毛島の島影を見ながら、夕暮のなか港に向かいます。
この風景だけでも一幅の絵になります。
大物の雰囲気は充分にあります。
今日は、秋のシーズンに備えての下見という事でしたが、大自然の中で1人きりで竿が出せて心が洗われるようでした。
船長に聞きますと「グレはまあまあ釣れてるけど、30cmまでですね」ということでした。
秋のシーズンには、ぜひもう一度来て念願の日本海側での40cmオーバーのグレに挑戦してみたいと思いました。


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