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上野山さんからのリポート
「三者三様、太ハリスで魚との引きあい」
梶賀 (三重県)
2003/07/12
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「昨日まで釣れていたけど、今日はだめだったな。潮が悪かったかな。スポーツ新聞の釣り欄では好調とあったけどな」
たいていのサンデーアングラーは、このたぐいの言葉は耳にタコができているのではないでしょうか。
しかし、このところ紀東の梶賀では連日50cm前後のグレが上がっています。
実際に釣りに行った人も40cm前後は釣っておられますし、4号ハリスが切られるというのも本当のようです。
尾長グレがまわってきているのではないかという話を聞きますと、尾長ファンの私としては行きたい気が起こってきます。
行ってみたいのですが、家からは5時間程度かかるのと、初めての磯では場所もわからずに竿を出してボーズになるのは目に見えています。
片目で渡船屋さんのHPの最近の釣果欄をハスに見て、「どうせ50人いて50cmが釣れるのは1人なんだろうな。でも行けばその1人になる可能性は2%はあるちゅうことやな」などと妄想を膨らませておりますと、グレネット管理人の下山さんから「梶賀で釣れているようですね。行きませんか」というメールがタイミングよく入りました。
さっそく日程を調整しますと7月12日の土曜日ということになりました。
午前で帰るのかと思いましたら、夕方まで通しでやりましょうということです。
11日の金曜日は定時に仕事を済ませ、釣り道具を車に積みこみ、米原駅まで電車で来る下山さんを迎えに行きます。
9時過ぎに、快速電車でやってきた下山さんと合流します。
「7月までグレが釣れつづけているのは珍しいですね。今週は月曜日から昨日まで渡船屋さんが休みで餌が入っていないので、今日は釣れるかもしれませんよ」と下山さんが言います。
「先週までは釣れていたけど、といういつもの言葉は聞きたくありませんね」と私がいいますと「エサ取はすごいようですが、かわせばなんとかなるのではないですか」という下山さんです。
「ぐれねっと」では、毎週「週末のおすすめ磯」の更新で紀東の情報を出しているので、最近の状況は、よく知っているようです。
私は、梶賀に行くのは初めてです。
寒の時期に尾鷲には何度か行っておりますが、いまだかつてグレは釣ったことがありません。
「50オーバーが釣れるといいですね」という下山さんに対して、私の目標は紀東でまずグレを1匹釣ることです。
東名阪、伊勢自動車道を乗り継ぎフィッシングモリモトに寄ってボイルのオキアミを購入します。
「みなさんどれくらいもって行かれるんですか」と下山さんが聞きますと「通しでしょう。多い人は8枚くらい持って行きますね」というモリモトさんです。
われわれは6枚ずつ購入することにしました。
「エサ取りのタカベには、粒の大きいほうがいいでしょう」というモリモトさんのアドバイスで、Lサイズのボイルを2袋入れてもらいます。
ついでに釣り方を聞きますと「浮力の大きいウキでハリスに段シズを打って、タナは1ヒロから2ヒロでサラシの中を仕掛けを磯際に引きつけてやってみてください。
今日は40オーバーが出るんじゃないですか」というアドバイスです。
3時過ぎに梶賀港に着き、予約してある誠丸渡船の船の近くに車を止めて仮眠します。
4時過ぎに「そろそろ、したくしてください」という下山さんの声で目が醒めます。
昨日まで渡船が休みだったこともあってか、駐車場にはかなりの車が止まっています。
用意して荷物を持って、船の前に行きます。
誠丸渡船だけで80人近い釣り人がいるようです。
渡船屋さんは3軒ありますので全体では200人以上の釣り人がいるのではないでしょうか。
誠丸渡船の船は2隻あります。
船長が名簿を読み上げ、名前を呼ばれた釣り人がそれぞれ順番に船に乗り込みます。
船に乗り込む時に、ネット仲間のI君がいたので挨拶します。
I君は毎週のように梶賀に通っています。
「このところ、どうですか」とI君に聞きますと「Uさん、遠くからこられたのに、よりによって人が多い時にきましたね。いつも、はこの半分もいませんよ」ということです。
「何度も来ましたが、釣れるのは磯際ですね。常連の人は1号とか2号のオモリを使って一気にエサ取のタナを突破して深めで釣っているようです。
また、大きい錘をつけてハリスを50cmほど取りズボ釣りでやっている人もいるようです。
僕も軽い仕掛けではタカベに餌を取られて釣りになりませんでした」という話をします。
完全フカセで軽い仕掛けが好きな下山さんはその話を聞きましたが、「まあ、エサ取の状況を見てから考えます」と自分流でやるようです。
船は「ダンゾ」に最初につけます。かなりウネリがあり船が2m近く上下します。
船は磯につけないので荷物を投げて釣り人は磯に飛びます。
その後、船は急旋回して猛スピードで「ソコブ」に向かいます。
船長がマイクで名前と人数を確認しながら指示を出します。
私には怒鳴っているようにしか聞こえませんが。
その後「ダンゾの地」に向かいます。
あまりの猛スピードにつかまっていてもよろめきます。
「竿だけ持って降りて」と言われますが私はどうして竿だけなのかわからずに、ついでにバッカンも持とうとすると「竿だけでええんや。とびおりて」と怒鳴られます。
ウネリの中、猛スピードで走る船の中をよろめきながら竿を持って船首に向かいます。
船が上下するのでなかなかタイミングを取れませんがなんとか飛びおります。
「ダンゾの地」には私と下山さん、I君に他の2人連れの5人が上がりました。
「今日は天気が悪くなるかもしれん。昼からはできんかもしれん。撤収に備えて荷物はかたづけておいて」とマイクで船長がいいます。
エンジンをふかすゴーというものすごい音が響いて、排気筒から黒い煙を吐きだして船は急旋回して猛スピードで「船かくし」に向かいます。
思わず、第2次世界大戦のノルマンジーの敵前上陸も船から下りるのはこんな慌しさではないかと思ってしまいました。
しばらくして戻ってきた船から荷物を受け取ります。
この間も船長が波のタイミングを見て指示を出しますが、ものすごく怒鳴られて、しかられているようにしか聞こえません。
手渡して5人分の荷物を受け取りますが、撒き餌の量が多いのと、飲みものが多いのでかなりの重量になり、上下する船から荷物をおろし、高い所にあげるだけで息が上がります。
「なんともすさまじい磯上がりですね。無事に磯に上がれただけで1日が終わったような気になりました」と言いますと、「今日は特別ですね。ここは磯割がありません。今日は人が多いんでとりあえず磯を確保するということで竿だけ持っておろすのですよ。荷物を渡すのをもたもたして、後の人がのる磯がなくなるといけないので、今日は船長ハッスルしてましたね。大声で怒鳴りますが、本当は笑いながらですよ」と言うI君です。
他の2人づれも「初めて来ましたが、すごい渡船ですね」と毒気を抜かれたような顔をしています。
ひと息ついて道具を出します。
今日の仕掛けは大物用です。
私にも4号を切っていくやつがこないとはかぎりませんので。
竿 ガマグレスペシャル2号
リール シマノBBX950GT
道糸5号、ハリス5号
4Bの円錐ウキ、サルカンを使い50cmほど遊動にします。
ハリス1.5ヒロに2Bのオモリを2個つけます。
ハリはグレメジナ9号です。
今年の冬に四国で尾長を釣った道具で始めます。
左に2人づれが入り、われわれ3人は右側で釣ります。
満潮前できついサラシが一面に出ています。
ボイルを撒くとさっそくタカベが出てきます。
ウキが入りタカベが釣れます。
2投目もタカベです。
つけ餌は2秒も持たないようです。
私は左側にに3杯ほど撒き餌をうち、そっと仕掛けを右に投入し、また左に撒き餌を打ちウキの近くに撒き餌を打ちますが。
また、タカベです。
この釣り方ですと6枚持って来た餌も足りなくなるかもしれません。
タカベの層までグレが食いあがってこないとなかなか難しそうです。
左手に入いるI君は1号オモリでやっているようですが、やはり餌が持たないようです。
私の右側のワンドでは下山さんが強いサラシの中をやっていますが餌がとられるようです。
左手に3杯ほど撒き餌を打ち、そっとサラシ中に入れたウキが沈みます。
タカベと違う手応えです。
釣れたのは30cmほどの尾長です。
仕掛けが太いので、ごぼう抜きにしました。
その後、グレが釣れますが26、7cmなので放流します。
2、3匹グレが釣たあと、まったく餌が残らない状態が続きます。
10時頃になりサラシが弱くなり、海面も幾分下がって来ました。
I君と下山さんが場所を変わります。
このころから時たま餌が残るようになりました。
下山さんは完全フカセでサラシの弱いところで釣っているようです。
しばらくして、下山さんの竿が曲がります。
ウキが見えるのが早かったのでそう大きくはないと思いましたが、私の差し出したタモに入ったのは44cmのグレでした。
ウキ下2ヒロくらいということです。
その後しばらくしてまた下山さんにアタリです。
前とほぼ同じサイズの45cmのグレです。
下山さんと交代してI君と私も同じ場所でやりますがなかなかアタリは出ません。
12時ごろ、昼便で帰るI君は「最後の勝負です」ということで右のワンドでやり始めました。
私はサラシの弱まった時に足元にウキを落としてウキを磯際に引きつけました。
スットウキが沈みます。
あわせるとマアマアの手応えで上がってきたのは38cmのグレです。
魚をシメて同じように釣るとまたウキが入ります。
あわせますと今度はかなり強い引きです。
磯の前に下りてやりとりを開始しますがスット軽くなります。
5号のハリスが切れたのかと思いましたが、これは、針はずれでした。
その後、33cmほどのグレを釣りました。
二人組もアタリが出て30前後のグレを釣っているようです。
お昼になって時合が来たようです。
「ちょっとお願いします」と言う声で振り向くとI君がグレを抜こうとしていますが重くて抜けないようです。
下山さんがタモを入れたのは42cmのグレでした。
I君はサラシの中をズボでやって釣ったということです。
下山さんは完全フカセ、私はハリスにオモリの段打ち、I君はズボと三者三様の釣り方でグレを釣ることができました。
天気も晴れてきて夕方まで持ちそうです。
1時過ぎから3時前まで昼寝をして釣りを再開です。
午後は2人だけの貸し切りです。
5時の満潮に向かって潮も上がってきていますし、ウネリも幾分きつくなって来ているようです。
私は、朝よく釣れた場所で竿を出しますが、サンノジを1匹釣った後しばらくしてかぶりだしたので移動することにします。
I君が釣ったワンドむきか、2人組みがやっていた左手の地方よりです。
左手はサラシがきつくなさそうですが潮がそう流れていないように思いました。
下山さんは左手に入りました。
私も一緒に左に移動します。
高い所から釣るのでウキが見やすく、潮をかぶることもないので快適です。
足元は少しタナが出ています。
移動しての5投目くらいにウキが入り、合わせた瞬間一気に竿が絞りこまれます。
魚はタナぞいに右に移動します。
グレスペシャル2号が満月になりますが魚は強い力でしめこみます。
ハリス5号を頼りに強引にキワから離そうとしますが、なかなか離れません。
じわじわと手前に寄せ、何度かしめこみをかわすとウキが見えてきます。
このあたりで竿をたたくような引きになります。
「この引きは尾長が針を飲んだ時の引きであってくれ」と念じながらリールをまきますが上がってきたのは40cmくらいのサンチャンでした。
それにしてもよう引きますワ。
その後3投目くらいで同じようにウキが入ります。
今度はさらに力が強く、いきなり竿がのされたので少し糸を出します。
ちょっと糸を出すつもりが、魚の動きが速くて10mほど走られてしまいます。
力強い引きに今度こそ尾長であってくれとと念じますが、またしても途中から竿がたたかれます。
「あかん、またサンチャンですわ」と言いますと「50のグレに化けないかな」と下山さんが出したタモに入ったのは、さらに大きい45cmほどのサンノジです。
放流して針をくくろうとすると、力が入っていたので腕が震えます。
引きだけなら50cmのクチブトよりよっぽどサンノジのほうが面白いと思うのですが、だれもサンノジネットなんて立ち上げないですね。
「ア。来ました」という声に顔を上げますと下山さんの竿が曲がっています。
これもけっこう絞め込みます。
私はまたサンノジだろうとのんきにタモを構えていました。
やがてウキが見えて魚が反転します。
どうもグレに見えます。
慎重に掬ったグレは50cmありそうです。
「これは50cmあるのじゃないですか。私はサンノジ2連発、下山さんは50cmグレとは。この違いはなんやと海に向かった叫びたくなりますよ」と言うと、「こんなこともありますよ、いまが時合ですよ大きいの釣ってくださいよ」という下山さんです。
その後足元のキワでウキが入り39.5cmのグレが釣れましたが、さっき下山さんが釣ったグレを見ているので妙に小さく見えます。
また同じようなアタリですが今度は30cmほどで放流です。
下山さんにもアタリで38cmのグレが釣れました。
この間足もとのタナのキワでウキが入りましたが一気に走られて根ずれで5号の道糸が切れてしまいました。
いったい、なんだったのでしょうか。
6時過ぎてからは、アタリが少なくなり、また餌が取られだしました。
どうも、タカベやフグなどのエサトリはいつもいるようですが、大型の魚の活性が高まって浮いてくると少しおとなしくなるようです。
その時に釣れば軽い仕掛けでも釣れるようですが朝から晩まで、いつ来るともわからない時合めざして打ち返しつづけるのは大変な気力と体力が必要です。
6時30分になり道具をかたづけて帰りの船に乗りました。
結局6時から後は釣れませんでした。
渡船屋さんで下山さんのグレを計測したら49.7cmということでした。
「こりゃ生きとる時は50cmあったで。写真に撮りましょう」と船長に言われて下山さんは「もっと魚を前に突き出して。それから楽しそうな顔でね」などと冷やかされながら写真に収まっていました。
陸の上では面白そうな船長なんですがねえ。
帰りには温泉に入り、下山さんの運転で大台を越えて奈良方面から帰りました。
帰りの電車がなくなるという下山さんとは桜井で別れ、京阪奈道、京滋バイパスを通って少し仮眠をして家にたどり着いたのは朝の3時過ぎでした。
今回はほとんど寝ずに通し釣りをして車で中部、近畿地方を一回りしたような感じです。
中年オヤジにとってはものすごくハードな日程でしたが、釣果もあったし、久しぶりに強い引きを楽しむことができ、5号の道糸が切れるというハプニングもありで、楽しめましたのでそう疲れを感じることもありませんでした。
はじめて釣行した梶賀は、雄大でなかなかいい雰囲気の磯でした。
冬はもっと混み合うということですが、寒の時期にまた行ってみたいですね。
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