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上野山さんからのリポート
「抜けるような小さいチヌが掛かってほしい」
音海 (福井県)
2004/03/28
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今年は暖冬のためか、桜が例年より1週間ほど早く開花するとの予想です。
若狭湾の水温も昨年よりは高いようで、3月半ばからチヌの釣果が所々で聞かれるようになってきました。
私も3月28日の日曜日には、久しぶりに磯に行ってチヌを釣ろうと思い立ちました。
前日の土曜日にいつものサンスイ釣具店に行きますと若旦那は外出中ということです。
奥さんにリールの糸を新しいものに巻き直してもらうように頼み、夕方取りに行くことにします。
私はいつもこの釣具店でリールの糸の巻き換えをしてもらっています。
20年以上のつき合いですので、折れたタモの柄を補強して直してもらったり、ガマの磯竿の穂先を改造してもらったりと色々無理を聞いてもらっています。
夕方、リールを取りに行きますと若旦那が私のリールを分解しています。
「糸を巻き直していてハンドルが重いので、開けてみたらベアリングが錆びていかれているわ。4個ほど変えなくてはいけないけど、部品はシマノからの取り寄せなので今日はCRCでサビを取って滑るようにだけしておくよ。これで少しはハンドルが軽くなると思うけど。相変わらず手入れが悪いな」と笑っています。
こういうとき、この店ではいつもお金を取らないので、私は「ウキパラソル」などの小物を買いエサも少し多めに買いました。
エサはオキアミ2枚にアミエビ1枚、チヌパワースペシャル1袋です。
家に帰ると鬼嫁が「あんた楽しそうやね。このところボーズが続いているけど明日は釣ってくるんか」と聞いてきます。
部屋にいた娘が「お父さんはボーズでも釣行記を書いているし、ストレス発散のために釣りに行っているからボーズでもいいのじゃないの」といいます。
「なんて人生が分かっている娘なのだろう」と私が娘の成長に目を細めていますと、「明日は知り合いの送別会が近くの小料理屋であるんよ。大阪から友達も来るし、おいしい刺身があるといいなと思ってね。刺身があればあんたも釣ったということで1杯飲みに来ればいいじゃないの。釣れないと、あんたは家に帰ってきても、1人でラーメンでも食べることになるで。それから月曜日届く生協の注文にサシミ用のシソ入れといたからね」と早口で言います。
なんと、今回は宴会用の魚と月曜日に食べる自家用の魚を釣ってこいと言う鬼嫁の依頼です。
遊びに行くのに、前日からプレッシャーをかけてくるとはなんという嫁でしょうか。
これを反面教師として、わが娘は心優しい女性に生長してほしいものです。
久しぶりに釣りに行くので海の状況が分かりません。
渡船屋さんやエサ店のホームページを見てどのへんが釣れているか事前に調査します。
インターネットが普及する前は、スポーツ新聞の釣り欄や、釣具店に電話するか直接渡船屋に電話するくらいしか情報を得る手だてはなかったのですが、インターネットの普及で様々な情報が得られますね。
どうも釣れているのは福井県でも南の方のようです。
小浜の泊や矢代、若狭大島の情報がよく出ています。
若狭大島では原発の温排水が当たる「センジョウ」「カケウラ」でのグレやヒラマサの情報が目立ちますが、かなり情報が出ているので日曜日ではなかなか乗れないかもしれません。
音海のウミックでチヌの情報が出ていますので電話をしてみると「チヌはボツボツ出ています」ということです。
「2月にカンダイを釣った者です」と言って予約を入れますと私のことを覚えていてくれました。
出船は5時30分という事です。
翌日は3時に起きてパンを食べてから音海のウミックに向かいます。
5時頃に駐車場に着き仕度をして、暖かい缶コーヒーを飲みます。
星空が広がり晴れています。
南風が少し吹いてさざ波が立っています。
5時半になり事務所に名前を書きに行きますと、磯は私1人のようです。
あとは筏でアオリイカ狙いや、かかり釣りのお客さんが総勢で10人ほどのようです。
船長に「1人ですがすぐ出ますか」と聞きますと「磯は昼まえから夕方狙いの人も来るようです。いまは定刻通りに出ます」ということで私1人のせて船は出ました。
港から一番遠い風島周辺でチヌが釣れているということで、船は「押回しの鼻」、「今戸の鼻」を越えて岬を回って風島に向かいます。
お客が1人でも一番遠いところに行ってくれるとは親切な渡船屋さんです。
また来てみようという気持ちになります。
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お世話になったウミックの渡船 今戸の鼻 断崖の下での釣りです |
天気予報では波高50cmでしたが前日のウネリが残っていて、1mから1.5m程のウネリがあります。
南の強い風も吹いて来ています。
船は風島の前の「男グリ」という大きな磯に着けてくれました。
磯の正面は打ち寄せる波でかなりサラシが広がっています。
船長は「4ヒロくらいやって」といっていましたが根ガカリがいやなので丸玉オモリを着けてまず深さを計ります。
正面は5ヒロほど、右側は4ヒロより浅いようです。
右側は3ヒロくらいのところに棚があるようですが流れがあればハリスは斜めになるので4ヒロで始めます。
今日の仕掛けです。
竿はいつものレイダム1.5号。
シマノのレバーのリールに道糸は2.5号を巻きました。
ハリスは2号を3ヒロ弱、道糸とは小さいサルカンで結びます。
ウキは釣研の3Bの円錐ウキで1ヒロほど遊動にします。
ウキの下にキザクラのJクッションを入れます。
サルカンのすぐ下のハリスに2Bのオモリを打ちます。
ハリはグレメジナ7号です。
マキエを打ち仕掛けを入れますと、ウキはサラシにのって沖に行き右に流れます。
1投目はエサが付いてきます。
私は足元を狙おうとサラシとサラシの間を狙いました。
しばらくして仕掛けを上げますとオキアミの頭がナイフで切ったように無くなっています。
チヌがいるのかもしれません。
3投目も同じく足元に仕掛けを入れ、ウキがサラシで出ないように際に引きつけます。
ウキはゆっくり右側の浅い方に流れていきます。
黄色いJクッションがゆっくり沈んでいくのが見えます。
足下から10m程右に流れたところでネガカリのようにゆっくりウキが沈みます。
そのまま沈んでいきますので合わせを入れますと魚が掛かっています。
ググッと竿を引き込むのでエサ取りではないようです。
そのまま下に潜ろうとするのをこらえて寄せてきます。
頭を振るのでチヌのようです。
ウキが見えたのでタモを取ります。
浮いた魚はウネリで1mくらい上がり下がりします。
ウネリがきついのと南風が強くてタモがぶれるのでなかなか魚がタモに入りません。
掛かったチヌがタモの近くを行ったり来たりします。
4回ほどタモ入れをやり直して何とか取り込めました。
釣ったチヌは38cm程です。
魚をシメて、氷を入れた磯クーラーに入れます。
ハリをくくり直してマキエを打ち、また同じところに投入しますと同じようにウキが沈み40cm程のチヌが掛かります。
これも何度もタモ入れをやり直しながら取り込みます。
磯に波が駆け上がるので、タモの届くぎりぎりの高いところからタモを出します。
タモを5m全部伸ばして片手で持っているのでいいかげん腕がだるくなります。
一息ついてハリスを点検してハリをくくり直して振り込むと今度は少し沖でウキが沈みます。
連続でチヌが掛かります。
今度は41cmほどです。
抜けるような小さいチヌが掛かってほしいとぜいたくなことを思います。
今回もヒイコラ言いながらタモを伸ばして掬います。
波のあるときの1人でのタモ入れはくたびれます。
この後はアタリが遠のき付け餌がとられるようになります。
8時過ぎになり休憩もかねてパンを食べます。
家に電話をして鬼嫁に3匹釣れたことを連絡しますと「ああよかったわ。あんた念おしとくと釣るなー。
昨日料理屋さんに魚持ち込んでいいかどうか確認しといたから帰りに持っていって」という返事です。
私が釣りに行く前に魚の持ち込みを交渉するとはなんという鬼嫁でしょうか。
まあ、今日は釣ったので、しばらくは自由に釣りに行けることでしょう。
その後、日も射してきて風も弱くなってきます。
晴れてきて風が北に変わるようです。
9時前になり釣りを再開します。
エサを着けて足元に仕掛けを落としますと、朝と同じようにウキは右に流れます。
朝と同じようなところでまたウキが沈みます。
あわせるとチヌの引きで頭を振ります。
今度は36cmほどの少し小振りなチヌです。
これもタモを入れます。
普段ならこれだけ釣ったら放流しますが今回は宴会用の魚がいるので持ち帰ることにします。
月曜日はタモを持つ右腕が筋肉痛になっていると思います。
その後はまたエサ取りに餌がとられます。
偏光グラスごしにマキエに群がるスズメダイが見えます。
しばらく続けましたが遠投してもエサが取られ続けるので、風島との間の30mほどの水道を狙ってみようと思い場所を変えます。
オモリを着けて深さを測りますと、こちらは深くて6ヒロくらいあるようです。
ウキ止めを上げてタナを6ヒロとります。
3Bの仕掛けでは6ヒロ沈むまでかなり時間が掛かります。
マキエを手前に打ち仕掛けがなじむと1投目からウキが沈みます。
「こんな深いところで何が食ったんかいな」と合わせますとあまり引きませんが何かが掛かっています。
上がってきたのは23cmほどのメバルです。
その後3匹連続でメバルが釣れたあとは23cmほどのグレも釣れました。
もっとメバルが釣れないかと打ち返しますが、あとはベラが釣れたりサシエが取られたりします。
スズメダイも集まってきました。
昼前になり昼食を取り、暖かい春の日射しを受けて眠くなってきたので1時間ほど昼寝をしました。
春のいい天気の日に1人でのんびりと釣りができて、釣果もあったということで、うつらうつらしながら「こんな一日が人生の幸福なのかな」などと考えてしまいました。
2時頃から朝と同じ沖向きで釣りを再開しましたが遠投してもエサが残りません。
その後はアタリもないまま4時の迎えの時間となりました。
水温が低いので、お昼頃が時合と思っていましたが、早朝が時合いのようでした。
釣れたのは居着の黒いチヌばかりでしたが、活性は高く入れ食いになりました。
グレも深いタナでしたが食うようです。
桜と同じく磯釣りもいつもより早くシーズンインしたようです。
家に帰って道具を洗い、子供を連れて一足先に料理屋に行きビールを飲みました。
刺身になって出てきたチヌは、コリコリして淡泊でとてもおいしかったです。
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風島 向かって右前が男グリ 本日の釣果 チヌ4匹とメバルにグレ |
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