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 上野山さんからのリポート
 「二木島合宿、1日目

  二木島 (三重県)
   2010/02/13

 


今シーズンは「ぐれねっとメンバー」による二木島通いが続いておりますが、その総集編とも言うべき、「二木島合宿2日釣行」が2月13,14日におこなわれました。
「ぐれねっとメンバー」といっても、今回は管理人の下山さんと、いつものゆたきちさん(以下Y君)と私の3人しかいませんので、2日釣行といっても、まあそう力むほどのことも無いのですが、Y君と私は子供が大学生ということで、人生のなかでもっともお金がかかる時なのです。
ただでさえ小遣いが少ないのに、デフレ状態の大不況のなか釣行費用3万円弱を捻出するというのは至難の業です。
ただ、高速が1000円というのは貧乏オヤジには救いです。
ここはY君と、お互いふだんの節約の成果を出すときだと、なんとか軍資金をひねり出して、ようやく泊りでの釣行が実現しました。
Y君などは、さらに来年からは、2人目が大学に行くということですので、小遣い大ピンチのはずですが「ウチの天使のかみさんが行っておいでというんです。ついでに散髪もいつもかみさんがやってくれるので、その分も釣行費にまわせます」ということです。
「節約オヤジ」に「天使のかみさん」というナイスな組み合わせでY君の家庭は円満に行っているようです。

さて、13日は急きょY君の知り合いの、かとちゃん(以下K君)も加わって4人での釣行となりました。
下山さんは大阪方面からK君と乗り合わせ、私は大津でY君と合流してエサ亀で待ち合わせることにしました。
我々は12時30分ごろにエサ亀に到着しましたが下山さんは少し遅れるということです。
1時過ぎに下山さんが到着し、見た目30代のK君とも挨拶します。
Y君の話ではK君は尾鷲方面でよく釣っていて、オモリ負荷0とかG3のウキを使う繊細な釣をする方ということです。
「スーパーどんぐり」や5Bのウキを用意している、昔の釣り方の私とは正反対の釣りですね。

エサ亀を出ますと尾鷲のコンビニに立ち寄り二木島には3時過ぎに着きました。
港には釣れているという情報のためか、車がかなり止まっています。
私はゆたきち号でY君の用意してくれた寝袋にくるまって仮眠を取りました。
Y君には、いつもお世話になってばかりですので、大津で出発前にY君の「天使のかみさん」に挨拶したついでに、私の地元でおいしいという評判のロールケーキを渡しておきました。
奥さんは「主人が一人で行くと心配なので、一緒に行っていただけるとありがたいですわ」と本当にゆたきち師匠の言葉通りに「天使のかみさん」でした。
ロールケーキは私が家を脱出するためにウチの分も買ってきておいて、ウチの鬼嫁がロールケーキに気を取られているスキにスルリと家を無事に脱出することが出来ました。

やがて、5時半になり携帯の目覚ましが鳴り、支度を始めます。
Y君の聞きつけた話では昨日はウネリが大きくて大変だったということです。
「人数も多いのですし、ウネリが取れていないかもしれないので競争の少ない湾内磯のほうがいいかもしれませんね。私は松の下でもいいですよ」といいます。
私もウネリが大きいのでしたら湾内磯のほうが釣りやすいと思いました。
6時前になり渡船場にいきますとかなりの人です。
天気は曇り空で風がなく寒さは感じませんでした。
釣れているという情報のためか、6時15分の出船の時には30人近い釣り人でした。
この人数では4人一緒は無理だろうということで、私とY君、下山さんとK君の2組に分かれようということになりました。
私はY君との間で湾内磯に下りようと決めましたので後のほうから船に乗り、前のほうで竿を持ったまま立っていました。

6時15分になり船は出ましたが、港を出ますとかなりウネリがあります。
まず「ガマノ口」に若い釣り人2名が下ります。
次に「ナガイシ」に1名下りました。
「日の丸」に2名下りたあと「次オイトケ、誰かおらんか」と船長が言いますが一瞬、誰もが見合わせるような雰囲気になりました。
すかさず「ハイ2名行きます」とY君が手を上げて、われわれは「オイトケ」に上がることになりました。
「松の下希望のはずがつい手を上げてしまいました。新聞の釣果報告でもオイトケは結構出ているんです」というY君です。

渡ってみるとオイトケは大きな磯ですが正面向きにはサラシがきついうえ、波も上がってきますのでとても竿を出せそうにありません。
しばらくどこで竿を出そうかと磯を見て回りました。
時折びっくりするような大きな波が上がってきます。
6時過ぎが満潮ということもあり、湾内でも思ったよりもウネリがあり、磯の中ほどでもサラシでまっ白になりますが、沖に向かって右側が比較的サラシも落ち着くときがありますので、荷物を右側に移動して釣る場所を考えます。
大きな岩の下のテラスになっているところからですと釣りやすそうですが、波が上がってきそうですのでしばらく観察します。
5分ほど見て、波が上がってこないことを確認して荷物は高いところにおき、タモと竿とバッカンだけ持ってテラスに下ります。
ここまでで磯に上がってから15分ほどたっています。

 オイトケ 先端は波があって釣りは出来なかった           先端を後ろから見る

Y君は釣る場所に迷って私の一段上の高いところから釣ろうと考えたりして、磯をうろうろしていましたが、結局私から20mほど陸よりの大きな岩の上から釣ることにしました。
Y君が荷物を移動している最中に私は用意が出来ましたので、第1投です。
竿はいつものグレスペシャル2号に、道糸3号、ハリス3号です。
ウキは釣研の円錐ウキ5BにJクッションを付けサルカンで道糸とハリスを結びます。
サルカンの下に3Bのオモリを付けます。
針はスーパーボイルグレ8号です。
タナは3ヒロ半でスタートです。

サラシが落ち着いたところを見計らって仕掛を投入します。
次の波が来るまでに仕掛がなじむようにと道糸をウキの真上から落とすようにします。
仕掛がなじんだころに次のサラシが来てウキが沖に引っ張られますが、ここはウキを出さないようにします。
ウキは両側から当たるサラシにおされて真正面に出て行きます。
仕掛を上げますとエサが付いています。
エサを付け直して、ついでにウキ下を半ヒロ深くして4ヒロにして2投目です。
同じようにサラシに押されてウキは沖に出て行きますが、竿2本ほど沖でゆっくり沈みます。
アタリだと軽く合わせますと魚が掛かっています。
これはたいしたことは無いと思い強引にやり取りします。
波を見てテラスから60cmほど下に飛び降りて魚を寄せて抜き上げます。
これは30cmほどのグレでした。

「いつもすぐに釣りますね」と仕掛を作っているY君が声を掛けます。
私は活かしバッカンは買っていなかったのですが、アユ釣に使っているブクブクがありましたので、磯クーラーに海水を入れてブクブクを取り付けました。
その後Y君にも30cmほどのグレが掛かります。
いつものように、これはいったい何匹釣れるのだろうと思いますが、いつものようにお互い1匹ずつ釣った後はエサが取られるばかりで沈黙が続きます。
タナを浅くしたり深くしたり、手前をやったり沖を流したりいろいろやって見ますが、10時過ぎまで、手前で私に30cmのグレとカワハギが1匹ずつ釣れたきりです。

      私の釣り場 魚が掛かるとピトンを打ったテラスから下に飛び降りなくてはならない

10時を過ぎて潮が大分引いてきましたので我々は一段低い場所で釣り始めました。
横で釣っていたY君が竿を上げて切れたと言っておりますので根掛かりかと思いましたら「魚が掛かりました、強引にやり取りしましたら根ズレで切れました」ということです。
私がチラッと見た限りでは竿を上に上げて根掛かりをはずしているように見えましたので、もっとゆっくり丁寧にやり取りすればと思うのですが、Y君は大きな魚が掛かると頭が真っ白になって、つい強引にやり取りしてしまうのでしょうね。

その後私のウキが足元で沈みましたので軽く合わせますと掛かった魚はかなり引きます。
ブレーキを解除するほどではありませんでしたが、体を低くして引きに耐えます。
グレなら40オーバーだと思いましたが、竿をたたきます。
「こりゃ大きいですね」とY君が言いますが「グレではないと思いますよ」とやり取りしながら私は言いました。
しばらくして浮いてきましたのは40cmほどのアイゴでした。
「私のバラしたやつも竿をたたいたのでこれかもしれません」とY君が言います。
アイゴが釣れた後もエサが取られるばかりです。

               アイゴ40cm  よく引きました これは放流しました

10時30分ごろになり潮も大分引いてきたのとウネリも幾分収まってきましたので私はさらに下に降りて磯の先のほうに移動しました。
いちばん先端では大きなサラシが広がってとても出来そうにないので、先端からのサラシが切れるアタリで竿を出すことにしました。
たまに足元を波が通り過ぎますので、ピトンを打ってバッカンをぶら下げます。
ここは足元から深く切れ込んでいるようですので、タナを5ヒロにして、ハリスの中ほどにジンタンを打ち、磯際ギリギリを狙います。
サラシをやり過ごしてエサを落とし、しばらくしてウキを落とします。
サラシでウキが沖に出ないようにして、仕掛けがなじんだころにサソイをいれます。
しばらくして仕掛けを上げますとエサが付いています。

ウキ下を40cmほど深くしてマキエを打って、再度同じように仕掛けを投入します。
ウキは磯から10cmほどしか離しません。
仕掛けを上げますとエサは付いています。
魚がいればウキがなじんですぐにアタリが出て、竿の真下にいる魚とほとんど道糸が出ていない状態で引き合いになりますので、アタリを見逃さないように、ウキを磯際から離さないようにと集中して釣ります。

4投目でしょうか、磯際でなじんだウキがサラシに押されて沈んでいきますが、沈むスピードが速くなりました。
アワセを入れますとゴンと手ごたえがありました。
大型の魚のようです。
低い場所で竿を水平にして道糸を出さずに釣っていて、そこから引き込まれますので竿が海に突っ込みます。
のされた竿を起こす分だけブレーキレバーを緩めて少し糸を出します。
取っているタナは5ヒロ半ですのでこれ以上糸は出せません。
オーバーハングの中に入ろうと足元に突っ込む魚を沖側に引っ張り出すような感じで竿を操作して魚を少しずつ右側に誘導します。
竿は立てずに水平のままやり取りをします。
やがて魚は浮いてきましたが低い磯ですのでなかなか魚が海面に出ません。
最後はウキが穂先に当たる手前までリールを巻いて、バンザイをするようにしてY君の差し出したタモに魚を誘導しました。
釣ったグレはシメたあと、港で下山さんのメジャーで計りましたら40cmでした。
これは、足元を狙って釣りましたので嬉しい1匹でした。
「狙い通り釣りましたね」とY君に声を掛けられました。

その後同じ場所でウキが入りましたが、根掛りのような感じでアマリ引きません。
これはイガミかと思いましたがあがってきたのは35cmの大きなガシラでした。
これは大事にタモで掬います。
こんな大きなガシラを釣るのは生まれてから2度目ではないでしょうか。
ガシラが釣れるくらいですので、5ヒロ半では底に近いということですね。
私は、今日はもういいと思い、朝Y君が釣っていた高い場所から沖を竿2本のタナで流しましたがアタリはありませんでした。

                        ガシラ35cm

2時前になり道具をしまい、磯を「日の丸」側に移動して渡船を待ちます。
今日もいい天気のもと、楽しく磯釣りができて、その上釣果もあったということで私は満足感に浸っていました。
「今日も、いつものモーニングサービスの1匹です。やはり松の下のほうがよかったかな。私には大きいグレは釣れません」とY君がボヤキますので、「今日はまともに竿を出せただけでもいいのではないですか。このウネリでは表の磯では大変ですよ。私は40cmも釣れたので磯の選択はよかったですよ」といいますと、「そうですか、磯の選択はよかったのに私には大きいのがきません」とボヤキ続けるY君です。
Y君は誰かと携帯で「モーニング娘の1匹や。いつものように30cm」と話しています。
なぜかY君は、ボーズはなく、30cm前後のグレを毎回釣るという釣行になっているようです。
毎回グレを釣るというのは上達している証拠と思えますが、このところは大型のアタリはないようです。
大型をバラシたりするとまた熱くなりますが・・・

オット、Y君のバラシのシーンは想像できても、50cmを手にするシーンはなぜかよぎりませんでした。
ゆたきち師匠、いつの日か50cmのグレを手にしている写真をアップして天下に名を成さしめてください。
きっと、ぐれねっと愛読者みんなも願っていますよ。
でも、そうなるといつもの読者を喜ばすボヤキもなくなって、ただの人になってしまうか。
師匠にはやはり、「大グレがかかるもタモいれ寸前のところで、ウネリが来てハリが外れて惜しくもバラス」など読者の共感を得る「おいしい活躍」が期待されるのでしょうか。
などと勝手なことを想像して一人で笑ってしまいました。
まさに、ゆたきち師匠あってのぐれねっと釣行記ですね。

2時過ぎに渡船が迎えに来て、港に戻りますと、やはり釣る人は釣りますね。
このウネリの中、寺島の高場に乗った方が50cmオーバーのグレを釣っていました。
ホーロクの先端に乗った下山さんは25cmほどのグレ1匹で放流、K君も30cmほどのグレが1匹ということでした。
やはり表の磯はサラシが強くて真っ白だったということです。
「ウネリが強くてウキは沖に出るのにハリスは足もとに寄せてくるという最悪の潮でした。私は根掛りでウキを3個無くしました、ただ朝はホーロクの船着きで43cmのグレが釣れていました。朝は活性が高かったようです」と下山さんがいいますと、二木島初めてのK君も「私もウキを4個無くしました。もう3Bのウキはありません。朝ウネリが来たのでバッカンを移動している最中、ウキから一瞬目を放したスキに竿を引っ張られてバラシました」ということです。
この日は、見えていた寺島ではよく竿が曲がっていたということですが、表の磯では大きなウネリと当て潮でそう釣れなかったようです。

「今日の宿泊ですが、一人2000円で公民館に泊まれるということですので、そこにしますよ」とY君が決めましたので、われわれは4人で二木島の公民館に泊まることになりました。
まさに二木島に合宿に来たような感じです。
公民館は渡船場から車で2分ほどでした。
公民館に荷物を置いて、熊野で銭湯に入り、お好み焼屋でビールを飲みました。
ビールを飲みながら明日はどこに乗るかという話の後で、Y君の強引な取り込み方や、Y君がやり取りでレバーブレーキを使ったことが無い話になり大笑いしながら盛り上がりました。
たまりかねたY君が「ワシはワシの釣り方でやるんです。ワシにはレバーブレーキは魚をタモに入れた後で糸を出して竿を起こすためにあるものなんです」と言った後で、私が「ゆたきち師匠はやり取りが強引なわりに、いつも使うハリス2.5号は細すぎますよ」という話をして再び盛り上がってお好み焼き屋で大騒ぎをしてしまいました。
ちなみに、お好み焼き屋では最初に店に入ったY君を見てすぐに奥の部屋に案内されて、我々は一般客と分離されましたので、一目見て大騒ぎしそうな客と思われたのかもしれませんね。

おなかが一段落した後は餌を買いに「ぐれねっと」にいつも情報をいただいているフィシングモリモトに寄りました。
店の前では5,60枚のオキアミが解凍されています。
まさに寒グレの最盛期といった風景ですね。
店で「寺島の高場は50m以上流さないと釣れないのですか」と森本さんに聞きましたら「あそこでは足元にマキエを打って100m近く流さないと釣れないね。20mほどで食ってきたら取り込んでいる最中に足元の根でバラシます。沖で食えば手前では魚は浮きますから取り込みの確率は高いです。棚は5ヒロ以上かな。ウキを沈めて釣る人もいますよ。竿も2号程度を使わないと取り込めませんよ。」ということです。
そんな場所で釣る人は、高場の釣り方をマスターした人なのでしょうね。われわれが急に乗っても釣れることはないのではないでしょうか。
私は寝不足で疲れているうえにビールの酔いもあって帰りの車の中で眠ってしまいました。
公民館に着きましたら私は9時前には布団をしいて眠りました。

港では「今日はたくさん釣れたので私は帰ってもいいですよ」と冗談を言っていたのですがホーロクに乗った2人は、今日は釣にならずにいたので「明日こそは釣るぞ」という強い思いがあったようです。
K君は公民館に到着するとボイルが解けやすいように、バッカンに海水と一緒にボイルを入れ、その後は道具の手入れをしていました。

釣れているという二木島ですが天候には勝てませんね。
今日は水温が上がったというのに、釣り人の3割ほどしかグレを釣っていないのではないでしょうか。
水温の上下、潮の流れ、ウネリ、風、さらには思っていなかったB級磯にのってしまう、などなどのいろんな条件の中で、釣り人はそのときにできる最善を尽くしてグレに出会うものだなと寝る前に思いました。

                    磯際を狙って釣ったグレ40cm


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