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 上野山さんからのリポート
 「クリスマス強行合宿はカラブリ

  二木島 (三重県)
   2010/12/25、26

 


12月25日はクリスマスです。
しかし、修行中の身には世間一般の行事にウツツをぬかしている暇などありません。
ぐれねっと、おじさん3人組はグレ釣り修行に精進すべく、すべてのしがらみを振り切って、24日のクリスマスイブから三重県に向けて今年度最後の合宿に向かいました。
ぐれねっとの掲示板でゆたきちさんから3日ほど前に(以下Y君)悪魔の三重県合宿の誘いがあり、なんとか都合をつけて、12月25日、26日に7月以来、久し振りに二木島に釣行するということになりました。
気になる天気ですが、予報では冬型なので、当地は雪ですが現地は晴れて北西風が吹きそうです。

私は23日の夜は舞鶴の海辺のレストランでサックスの演奏があり、家に帰ってきて寝たのは夜の12時ごろです。
明け方の4時ごろに雷が鳴り始め、隣の部屋で寝ていたイヌがおびえて騒ぎ出しました。
イヌが部屋の布団に入れてくれとドアをたたいてせがんだりして、4時以降は朝までほとんど眠れませんでした。
結局この日は、雷が鳴り止んでから私の枕元でイヌが寝ましたが、なんともタイミングの悪い雷です。
このような騒動があり、私は睡眠不足のまま夕方の7時には大津に向けて出発となりました。

今津に向かう途中の161号線の峠では雪が降り、前が見づらくて運転しにくかったですが、前回のタイヤが緩むといった車のトラブルはありませんでした。
雪は近江今津あたりまでチラつきました。
9時に大津につきY君と合流して、下山さんを迎えに大津駅に行きます。
下山さんとは7月に二木島に釣行して以来です。
そのときは私がチヌを釣って放流し、下山さんがウキを見ながらも4号ハリスを切られています。

いつものようにエサ亀で溶かしたボイルと翌日分のボイル計4枚を購入します。
レジにはいつものおばさんではなくて若い女性がいます。
話をしてみますと、息子さんの奥さんということでした。
隣の釣エサ市場は閉めていましたので、山の中にポツンと1件ある店によく嫁さんがきたなとY君と感心していました。
隣の釣りエサ市場は高速が伸びたので引越しをしたということですが、引っ越し先の店は行き返りには気がつきませんでした。

二木島には1時頃到着してY君の持ってきてくれた毛布やら寝袋にくるまって車の中で5時前まで熟睡いたしました。
5時過ぎにY君の携帯電話の目覚ましで起きて車の外に出ますと相当の冷え込みです。
6時前に渡船場にいてくれということですので5時30分には用意をして車を離れます。
私は、今回アウラの活かしバッカンの中にエサをいれて持っていくことにしました。
このスタイルですと磯渡しのときに荷物が軽くて楽です。
帰りにボーズですとホンマに軽いですが・・・・・

渡船場には先に待っている釣り人が6人ほどいました。
昨日はかなり風があり苦労したというようなことを話しています。
話している人のカッパを見ましたら、かなり塩をかぶって白くなっています。
渡船場では風が吹いていませんので、昨日は低い沖磯で向かい風の中で釣りをしたのかと思いました。
ああ、私にはシャーロックホームズのような観察眼はありませんでした。
昨日釣りをした人のカッパが何故に塩だらけだったかは、あとで沖に出てみたら分かりました。

6時過ぎになり、20人弱が集まったところで船に乗り込みます。
「昨日よりは風は少し楽かも知れんな」と船長が言っています。
私はほぼ無風の状態でしたので何のことを言っているのか理解できませんでした。
少し明るくなった6時10分頃に船は出ました。
船は「ガマノクチ」とその横の「ナガイソ」に一人ずつを下ろしますが後は誰も湾内磯を希望しません。
私が5月に大物を釣った「松の下」も通過していきます。
昨日からやっている二人組みは「寺島」に下りました。
我々は3人で「ホーロク」に上がりました。
ここでは、昨年下山さんが49.5cmというグレをあげています。

磯に上がってみると、横からかなり風が吹いてきます。
北西風なら後ろから吹いてほぼ無風になるのですが、風は西風のようです。
ジャンケンをして私は勝ちましたので左側のハナに一人で乗りました。
二人は船付きで竿を出します。

          夜明けのホーロク船着 このときはまだ風が横からでした。 奥は「タイラ」

下山さんに根の位置を聞いてから仕掛けを作りますが、手がかじかんでなかなかうまく糸が結べません。
そうこうしているうちに風がだんだん強くなってきます。
たまに足元を洗った波が、風に舞い上がってシブキになって降りかかってきます。
沖を見ますと西の風で白波が立っていますが、白波はまだこちらには来ません。
山のほうから、風が回って来るようです。
すぐにカッパがかぶったシブキでベタベタになってきました。

どうにか仕掛けを作って、円錐ウキ3Bを遊動にして、ウキ下3ヒロでウキを投げ込みますが、右からの横風にあおられてすぐにウキが左側前のシモリ付近に流れてしまいます。
左側には足元から大きなシモリが竿1本半ほど出ています。
シモリの先のほうもウキが流れますが道糸を風でとられるので仕掛けが素直に入っていきません。
風がたまに吹くのではなくて、ずっと吹き続けます。
これではダメだなと思っていますと下山さんが様子を見にやってきました。
「やりにくかったら替わりますよ。船着のほうはもう少し風が当たりません」といいます。
竿を置いて船着に様子を見に行きますとY君が少し高い岩の上から赤い竿を出しています。
Y君の赤い竿は、新調したガマカツ、アルマの1.5号ということです。
Y君は金欠といいながらも、3人の中で道具は一番買っているのではないでしょうか。

私は船着のほうが、風が当たらないので下山さんと替わってもらいました。
下山さんは朝に1匹きたけれどもハリが外れたということです。
その後30cmほどのグレを1匹釣ったということです。
Y君の左側に入りますと足元には根が出ていますが、このキワを釣らなくてはならないようです。
ウキ下を3ヒロ半ほどにして、ウキを根から2mほど沖に投入しますと、仕掛けがなじむまでに左に4mほども流れてしまいます。
私は仕掛けがなじみやすいようにとハリスにジンタンを打ってウキを投入しますが、やはり左に押されて仕掛けがなじみません。
Y君の前あたりに仕掛けを入れますと、ようやく私の前あたりで仕掛けがなじみます。
これではY君も投入しにくいということで、Y君とは観音回りで釣ることにしました。
仕掛けをY君の前から流しはじめて3投目くらいでしょうか、勢いよくウキが入ります。
弱い引きで上がってきたのは20cmほどのグレでした。

時合いが来たのかY君も30cmほどのグレを2匹釣ります。
私も今がチャンスと仕掛けを投入しますがアタリはありません。
しばらくして、下山さんが「向こうは風が吹き抜けていくので釣りになりません」といって引っ越してきます。
この後は、だんだん風が正面から当たるようになり、波シブキを頭から浴びて釣りにくくなります。

ふと、カッパのズボンを見ますと、今日の朝見た昨日からの釣り人のように、ズボンが潮をふいて白くまだらな模様になっていました。
Y君が2匹グレを釣った後はアタリも無くなりました。
朝から8時過ぎまでにグレを釣らなくてはこの日はボーズのようでした。
私は疲れと寝不足もありましたので、10時過ぎには磯の上の風の当たらないところで寝てしまいました。
私は12時前に起きて、磯の左側の湾内向きに風を背にして竿を出していた二人に合流しましたが、グレの気配はありませんでした。

Y君が1時前に道具をしまうというので、私も1時前には道具を片付けました。
下山さんは船着に戻って最後まで竿を出していました。

                    強風のなか最後まで釣りをする下山さん

やがて2時前になり船が迎えに来ました。
Y君、下山さんともに釣ったグレが30cm程度でしたので活かしバッカンから逃がしていました。
港に帰ると、昨日から釣っていて、今日寺島に渡った釣り人が49cmのグレを釣っていました。
これが、唯一の目立った釣果でした。

「これは,作戦失敗でしたね。これだけ西風が強いと湾内磯が正解でしたね」とY君が言いますが、渡船場では西風は山にさえぎられて、ほとんど当たらないのでこれは沖に出てみないと分からなかったことでした。
私は三重県でこれほど強い西風は初めてでしたので、これからは天気図を見てよく風向きを研究してから釣りに望もうと思いました。

釣り道具をしまった我々は、いつものように熊野に向かいますがいつもの風呂が満車で駐車できません。
「たしかもうひとつあったはずです」というY君がもう1件の風呂を探し出して無事に風呂に入れました。
風呂のあとは、よく行くお好み焼き屋によりましたらここも満員でした。
仕方が無いので、国道の手打ちウドン屋に入って、3人とも鍋焼きうどんを食べました。
これはかなりおいしかったです。
その後はスーパーで明日の朝食と昼食を買います。
節約オヤジのY君は、いつものように半額の値札の付いたパンをたくさん購入していました。
どこに行っても半額の商品には鼻がきくようです。

熊野で入浴と買い物を済ませた後は二木島の公民館に戻ります。
私は疲れていたこともあり、8時前には寝てしまいました。
体にカイロを貼り付けて、毛布をかぶっていたのにもかかわらず、朝5時前には寒くて布団の中で目が覚めました。
やがて5時になり、Y君の携帯の音で皆さん起きだします。
部屋の中でこれだけ寒いのですから、今日も外はかなり寒いのだろうと思われます。

支度を済ませて6時前に渡船場に着きますと今日も20人弱の釣り人のようです。
風はそう変わらないだろうということで、今日は湾内の磯に下りよういうことにしました。
船が出ますとY君は「ヒノマル」に下り私と下山さんは「松の下」に下りました。
「松の下」は波が全然ないのでまるで池のようです。
これは場所を誤ったかと思いましたが、昨日は1日中風に吹かれましたので、昨日と比べると風に関しては天国のようでした。
下山さんは先端に行くというので私はそのまま船着で竿を出しました。
昨日は手がかじかんで、なかなか糸が結べなかったので今日は前日に竿にウキまで付けておきました。
竿を伸ばしてハリスをくくってすぐに仕掛けを投入します。
ウキ下は3ヒロから始めますが、1投目からエサがとられます。
ウキ下を1ヒロほど浅くしても深くしてもエサがとられます。
あたりが明るくなりますと、足元にはマキエに群がるエサトリが見えます。
竿2本ほど沖を探りますがやはりエサがとられます。
1時間ほどやってみてエサが残らないのでいっそスルスルにして浅いタナから探ってみようと思いました。
黄色の0号のウキにハリスを2ヒロ半とって直結し、あとは直結部にウキゴムを付けただけのシンプルな仕掛けにしました。

10時前ごろでしょうか、仕掛けを代えて3投ほどしたとき黄色の0ウキが沈みました。
久しぶりのアタリに一瞬、「なんでウキが沈んだんやろ」と思いましたが、おっとり刀で合わせますと魚が掛かっています。
私は座って釣っていたのですが、相手が小さかったためか、掛けてから立ち上がってやり取りをしても充分に間に合いました。
これは32cmのグレでしたが、昨日からの1匹目でしたので慎重にタモで掬いました。
私は早速買ったばかりの活かしバッカンに水を汲んで、グレを入れてブクブクのスイッチをいれました。

年末に活かしバッカンを使った時は、1時間ほどの釣りでしたのでブクブクを持っていきませんでした。
今回、初めて活かしバッカンでブクブクを使いました。

しばらくして先端では釣れないといって下山さんが戻ってきました。
「釣れましたよ」と私が言うと「何が?」と下山さんが言います。
二人ともあまりにもグレが釣れないために、釣る相手がグレということを忘れてしまったようなオトボケな会話となってしまいました。
「グレですよ。30cmチョイです」といいますと下山さんはやる気になったようです。
引っ越してきて高いところから竿を出すようです。

上で釣っている下山さんが「この磯は一日中日が当たりませんね。冷蔵庫の中のようです」といいます。
確かにこの磯には、日はあたりません。
私は船着の割れ目のあたりで釣っているので風は当たりませんが、上で釣っている下山さんは少し風に当たっているようです。
「風が当たるのでしたら下に降りてきて釣りませんか。向いの磯のY君は日の当たる中でぬくぬくと釣りをしているでしょうね」といいましたらしばらくして下山さんは下に降りてきました。

その後は二人ともアタリがありません。
12時過ぎでしょうかウキがシモッタので下山さんが合わせますと、ワンクッションおいて竿が曲がります。
魚がかかったのかと思いましたら、すぐに竿が上を向きました。
「いま何か掛かりましたがバラシました」と下山さんが言います。
下山さんのハリスの先で何かひらひらしますので見てみますと、どうもイガミのウロコのようです。
「下山さん。これは掛かったのじゃなくて、イガミのスレじゃないですか。イガミがエサを食べずに仕掛けの上に乗ったんですかね」といいましたら下山さんは苦笑いをしていました。
ハリにウロコが引っかからなかったら、これがこの日の下山さんの唯一の見せ場「オシイ大物のバラシ」となっていたかもしれません。

こんな爆笑するやり取りもあったりしながら時間は過ぎていきますが、最後までグレの気配はありませんでした。
「松の下」では木っ端グレも釣れませんでした。

やがて2時前になり迎えの渡船が沖を横切りましたので道具を片付けました。
結局、松の下では私の32cmのグレ1匹だけという貧果でした。
港に戻ってY君に聞きますと「朝から25,6cmのグレはよく釣れて結構放流しました。33cmのグレは終了間際に来ました」ということで、33cmほどのグレと28から30cmほどのグレを4枚ほど持っていました。

           アウラの活かしバッカンと私の釣った32cmのグレ。 グレが小さすぎる!!

ほかの釣り人の釣果を見ますと「タコブチ」に乗った釣り人が42cmほどを頭に5枚ほど釣っていましたし、「タイラ」に乗った釣り人も46cmともう一匹40cmオーバーを釣っていました。
沖磯に乗った釣り人のカッパを見てみましたが、昨日のように塩をかぶってはいませんでした。
今日も風はありましたが、沖磯でも釣りになったのでしょう。

「今日も作戦負けですね。今日は沖磯がよかったようですね。でも、昨日の風を考えると冒険はできませんでしたね」というY君です。
「まあ、天気には勝てません。他の釣り人もあまり釣れていないようですし、仕方がないでしょう。また来月にリベンジに来ましょう」ということで、おじさん3人組の、クリスマス包囲網突破の強行合宿は意気込みだけのカラブリとなってしまいました。

まあ、気心の知れた3人ですので釣れなくても楽しいですね。
2泊2日の旅と思えば楽しいものです。
しかし二木島で2日間やって誰も40cmオーバーが釣れなかったというのはあまりありませんね。
「この仕返しは1月にはするぞ」と3人で固く誓って、そそくさと道具をしまって、おじさん3人組は二木島を後にしました。


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