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 上野山さんからのリポート
 「今回はボーズだった、この借りは必ず返すぞ

  御五神 (愛媛県)
   2011/01/27、28

 


1月27、28日は地元のサンスイ釣具店の若旦那と久し振りに四国に釣行しました。
若旦那(以下M君)は私より5歳下です。
M君は30年以上前から年に数回、親父さんと四国の御五神や鵜来島に釣行しています。
M君は尾長グレの60オーバーは釣っていませんが、55cmまでは何匹か釣っているということです。
最近はオヤジさんも年をとって、平日釣行できる相棒もいなくなったために、昨年は一人で御五神に釣行したということです。

今年になって竿袋と磯靴を新調しにサンスイ釣具店に行きましたら、M君が今年も一人で四国に行くといっていましたので、よかったら日程をあわせて一緒に行こうということになりました。
前の週に天気予報を見て26日の夕方に敦賀を出て、小潮周りの27、28日に1泊2日間の釣りに決定しました。
28日はこのところ続いています冬型も少し緩むようです。

26日は夜の7時30分に私の家までM君が迎えに来てくれました。
M君の車はボルボのワゴン車で、ジェットバックを積んでいますので、竿袋はジェットバッグに入れます。
さあ出発というときに「あれ、バッグが無い」とM君がいいます。
着替えの衣服を入れたバッグを家に忘れたということでサンスイ釣具まで戻ります。
バッグを抱えて店から出てきたM君を見て、私のバッグはどこに積んだかと車の中を見回しますと私のバッグもありません。
「私もバッグを忘れたわ」といって、また私の家まで戻ってもらいます。
家の鍵を開けに来た鬼嫁がM君に「今回は出発前にいろいろありますね」と話しています。
サンスイ釣具と私の家を往復してようやく出発です。

26日は冬型で敦賀でも20cmほど雪が積もっています。
滋賀県に抜ける161号線の峠では雪のために前が見にくくてゆっくりと走ります。
いつもは今津あたりで雪がやむのですが、今日は大津の手前まで雪が降りました。
車は161号線を走り京都東から名神に入り神戸淡路鳴門道を走り高松道を経由して朝の3時過ぎに宇和島の津島町の石橋渡船に着きました。
この間M君が一人で運転してくれました。
私はほとんど後部座席で寝ていました。
出船は6時30分ということですので2時間ほど仮眠することになります。

5時30分になり車を出て支度を始めます。
ここでトラブル発生です。
ジェットバッグに入れていたM君の磯靴が片方しかありません。
どこを探してみても無いのです。
「鳴門のあたりで、ものすごく風が強くて車が揺れたときに後ろのトラックからパッシングされました。
その後次のサービスエリアでジェットバッグを見たけれどもふたは閉まっていました。
もしかしてパッシングされたのはふたが開いて磯靴が飛んだのかもしれません」といいます。
「防寒服を袋にまとめて入れていましたが、かなり後ろのほうに寄っています。
もしかすると、ものすごい風でジェットバッグの上蓋3箇所のロックのうち、前のロックが外れて、前が開いて磯靴片方だけが飛んでいったのかもしれません」といいます。
もし、大鳴門橋の上でジェットバッグの真ん中のロックも外れていたら竿袋やらライフジャケットやらも飛んでいって今回は釣りをせずに帰らなくてはならないところでした。
まあ、磯靴だけですんだのは不幸中の幸いということでしょうか。

時刻は6時前です。
渡船屋で釣具店は近くにあるかと聞きますと車で3分ほどのところにあるということです。
さっそくコンビニの隣の釣具屋に行きますと、釣具屋は平日の朝でしたが開いていました。
オヤジさんに「磯靴は置いてありますか」と聞きますと、シマノのものならあるということですのでM君は2万円弱のシマノの磯靴を買いました。
こんなこともありますので、お金は多めに持っていなくてはいけませんね。

しかし、ジェットバッグのふたが開いてしまうとは、どんな風の力が加わったのでしょうか。
無理やり開こうと思ってもロックが掛かったふたは手ではビクリともしません。
釣具店から駐車場に戻りますと、車は8台ほどになりました。
あたふたして仕度を済ませて6時30分前に船に乗り込んだのは我々を入れて11人ほどです。
釣れているという情報のためか平日にもかかわらず釣人は予想よりいました。

船はスローで寝床の抽選場に向かいます。
御五神島の渡船のシステムは、渡船どうしでくじ引きをして、くじの番号によって渡船区域が決まるということです。
したがって釣り人はどこの磯に乗れるのかはまったく分かりません。
渡船区が割り振られた船での磯に上がる順番は、船長の「神の声」で名前を呼ばれる順番で上がることになります。
そういうシステムですので、釣り人同士の磯の取り合いがないのでなんとも平和な磯着けとなります。
そのためか船のスピードもスローですが。

港を出た船は30分ほどもかけて寝床まで行きます。
時刻は7時過ぎになりここでくじ引きです。
こんなにのんびりしていて、貴重な朝の釣る時間はあるのかと焦ってしまいます。

                         くじを引く同船の釣り人

我々の船もくじを引きますが、くじを引いたあとも船はゆっくり寝床の3番から磯着けします。
今日はまだ冬型が強く北西の風で白波が立っています。
我々は船長に「風の当たらないところがよいでしょう」といわれて御五神島の本島の陰になる「ミズバエ」にあげてもらいました。
ここは大きな島の棚になったようなところで竿を出すことになります。
足元からかなり深そうな感じの磯でした。

荷物を置いて撒き餌の準備を済ませて、タモを組み立てて時間を見ましたらもう8時前でした。
磯上がりは2時ということですので実際に釣る時間は6時間ほどです。
これで渡船料金7000円は三重県の渡船に比べると高めですね。

               我々の乗ったミズバエ 後ろを向いているのはM君

今日の仕掛けです。
四国用ということで竿はグレスペシャル2号に道糸、ハリス4号、ウキは久し振りのツインセンサーです。
ハリはスパーボイルグレの8号とし、ウキ下は3ヒロから始めました。

ウキを足元に投入しますと手前によってきます。
よってきたウキがネガカリしたように動きませんので竿で聞いて見ますと何か掛かっています。
弱い引きで上がってきましたのは25cmほどのガシラでした。
これはうれしい外道ということで持ち帰ることにします。
次もウキが足元で沈みます。
これは35cmほどのイガミでした。
タモを使って取り込みます。
次もまた足元でイガミがかかります。
外道ですが魚が掛かるということは活性が高いのでしょうか。

                            釣れたイガミ

M君に聞いて見ますと「潮が当たってきて湧き上がるようで仕掛けがうまく入らない」といいます。
M君とは10mも離れていないのに潮が違うようです。
その後はアタリが無くなりたまにエサがかじられる程度でグレの気配はありません。
私もM君もグレも釣れませんしバラシもありません。
M君は重い仕掛けにして竿2本で25cmほどのメンカが1匹釣れたきりです。

やがて11頃になり船がやってきて、釣れないのなら磯替わりしないかといいます。
ここは気分転換に磯替わりをすることにします。
次の磯は「ミズバエ」をまわったところにある「イサキバエ」です。
ここに来ましたら、北西の風がまともに当たります。
風を背中にして竿を出しますがウキが風に押されますのでどうも釣れそうな気がしません。

4投目くらいでした。足元にウキを投入してマキエバケツに目を移したとたんに竿をひっぱられましたが、合わせる間もなくハリがすっぽ抜けました。
手ごたえはグレっぽかったです。

                  磯替りしたイサキバエ 右端で竿を出しました

強風の中、釣りを続けましたがその後はほとんどエサをとられることも無く2時の終了となりました。
3時前に渡船場に戻りましたが皆さん魚を出していないので、今日はほとんど釣れていないのではなかったでしょうか。

我々はそのまま渡船屋に泊まるということですが、風呂は公営の温泉に行ってくれということですので「津島安らぎの里」という温泉に行ってきました。
ここは昨年T君と中泊に来たときに帰りに寄った温泉です。
温泉に浸かりますと強風に吹かれて冷えたからだが内部から温まってくる感じがします。
指が異常なくらいふやけています。
明日は冬型が幾分緩むということで明日に期待です。

温泉を出て宿に戻りますと6時から夕飯です。
泊まるのは我々二人ということですがオカズの品数はたくさん作っていただきました。
なかでもイカナゴの刺身は新鮮でピカピカ光っていてとてもおいしかったです。
カワハギの煮付けに、貝柱の入った掻き揚げなども出ておいしくてつい食べ過ぎてしまいました。
まあ、釣れなくても1泊の釣りではこういう楽しみもありますね。

翌日は5時過ぎに朝食です。
朝食は我々のほかに2名増えて4人で食べました。
駐車場に出てみますと今日は10台ほど車がとまっています。
昨日と同じように道具を積み込みますと人数がそろったのか今日は6時20分頃に出船しました。

抽選が終わり昨日と同じように船は寝床の3番から着けます。
今日も我々は最後まで船に残りましたが、今日はミズバエを越えて寝床とは反対側の西側の磯に行くようです。
船は小さな磯の前に行きます。
「Mさん、ここは一級磯です。めったに乗れませんが今日は大丈夫です。少し風が強いですが、風の吹いてくる方向に向かってやってください。
積んであるチャランボウを出して磯にさしてください。
満潮になってもそのあたりでならやれます。それから大物に備えて仕掛けは太めですよ」と言って磯着けしてくれました。

我々が乗ったのは「ニシキバエ」というA級磯です。
風が強いですが磯の高いところでも2mほどしかありませんので、今日は一日風に吹かれるなかでの釣りです。
道具はチャランボウにかけて飛ばないようにします。
冬型は緩んだといっても北風がまともに当たります。
今日も昨日と同じ仕掛けでウキ下も3ヒロから始めます。
船長の話ではすぐにでも大物がかかりそうですがエサはたまにかじられる程度でウキは入りません。
足元に投入したウキは少し左に流れて沈んでいってしまいます。
少し沖にウキを投入すると右側に流れます。
いったいどういう潮なのでしょうか。

ウキ下をあげたり下げたりしてもアタリは出ません。
磯の後ろを向いて風を背中にしてウキを投入するとすごい勢いで左に流れます。
50mほど沖では潮がものすごい速さで流れているようです。
足元が鏡のようになりますのでそこに仕掛けを入れて流してウキが見えなくなって5分ほどしてあげるとエサがありません。
しかしこの釣り方ではマキエがきいているのか仕掛けがどのへんを流れているのかさえ分かりません。
風を背にして、しばらく後ろ向きで仕掛けを入れますがアタリはありません。
そんなこんなで我々は磯の前でやったり後ろでやったりしましたがアタリは出ません。

11時ごろになりましたが私もM君もバラシもアタリもありません。
見回りに来た船から「釣れたか」と聞かれて「あきません」といいますと「ここは絶対釣れるから辛抱してやって」といわれます。

12時を過ぎて私が風を背中にして竿を出していると、風に向かって竿を出していたM君が「やっと釣れたよ」といって35cmほどのグレをぶら下げています。
「タナは3ヒロ半ほどです。竿1本半ほど沖できました」といいます。
これは風に向かってやるしかないと私もタナを3ヒロ半にしてウキを投入します。
昼になり風が強くなり、風向きも正面からとなりましたので、冷たい風が当たって涙が出てきます。
二人で並んで釣っていますとM君にアタリがあり40cmほどのグレがかかりました。
M君は寄せる波に乗せてグレを磯の上にぶり上げてハリスをつかんでいます。
「ハリス4号ですのでタモを使わなくてもこれで充分です」といってグレをぶら下げています。

ヨーシ次は私の番だと目を皿にしてウキを見つめます。
ウキがもぐっていって見えなくなりましたので道糸を見ますが向かい風ですのでよく分かりません。
でも、なんとなく道糸が張ったような気がしましたので念のために合わせてみました。
これはアタリでした。
合わせると同時にサカナの重みが竿に乗ります。
私は磯の一番高いチャランボウを打った場所から竿を出していましたので、掛かったときの頭の中のイメージどおりの動きで磯の低いところにむかって走っていきました。
磯際まで行ったときに竿が伸されましたので、ブレーキを緩めて糸を出そうとしましたが竿は無常にも上を向きました。
ハリはずれのようです。
見ていたM君から「ハリはずれか」と聞かれましたので「ハリはずれです。30cmのサカナではないと思いますが」と答えました。

このバラシのあとは二人ともアタリもありませんでした。
結局朝からやってM君と二人でアタリは3回だけでした。
M君は2回のアタリをモノにしたということです。
私はA級磯でもようグレを釣ることはできませんでした。
2時に迎えが来て港に戻りますと、我々と一緒に朝ごはんを食べていた二人組が、寝床の3番で52cmのクチブトを釣っていました。
そのほかに46cmのクチブトも上がっていましたので単発ではあるものの今日は大型グレが釣れたようです。

船長に釣果を聞かれて「40までを2匹」とM君が言いますと船長は少し気の毒そうな顔でした。
泊まりということで、せっかくいいところにあげてもらったのに釣れなくて恐縮してしまいました。
我々は道具を片付けて3時に港を後にしました。
帰りにはまた温泉に浸かり生きた心地になり、高速のサービスエリアで食事をしました。
私は高松を過ぎたあたりまで運転をしましたがボルボは右ハンドル車でしたがウインカーとワイパーが逆でしたので、最後まで指示器とワイパーを間違いながら運転しました。
敦賀には12時前に着きました。
お世話になったM君とはまた近いうちに四国に行く約束をして家の前で分かれました。

家に帰って鬼嫁に「今回はボーズだった。二日とも北風が強くて涙が出るほどやった」と言いましたら「泣きながら釣りをしたのに釣れんかったとは残念やったね」と憎まれ口を返されました。
道具を片付けながら「この借りは必ず返すぞ」とたしか前にも言ったようなセリフを胸の中で叫ぶ私でした。


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