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 上野山さんからのリポート
 「借りは充分返してお釣りが来た、2日目

  御五神 (愛媛県)
   2011/02/24

 


御五神島の2日目です。
朝5時に朝食ということですので4時40分頃に布団から出ました。
昨夜は7時に寝てしまいましたので、さすがに夜中に目が覚めてしまいました。
その後は、うつらうつらしているうちに朝になってしまいました。
今日もわりと暖かいようです。
布団から出るのがそう苦痛ではありません。

服を着替えて食堂に行きますと我々以外にも3人組が朝食を食べるようです。
その3人組のうちの恰幅のいい60前くらいの人が私を覚えていて、「あんた先月も来たでしょう。福井の雪はどうやった」と話しかけてきます。
「先月はボーズでしたが昨日は3枚釣りました。雪はここから帰った後すごくて、1月末は2日間、鉄道も高速も国道も止まってしまい大変でした」と答えました。
この人は先月も平日に来ていたので、きっと平日が休みの仕事の方なのでしょう。
それにしても、平日に18人も釣り人が来るとは四国は釣りが盛んですね。

食事を終えて「今日は2隻船が出るということですがどっちの船に乗るのですか」と船長に聞きますと「Mさんたちはオヤジの船に乗ってください」といわれました。
今日は6時15分前には、古いほうの船に荷物を積み出船を待ちます。
この船には我々以外に4人乗りました。
やがて6時になり出船となります。
風は無く穏やかな天候です。
やがて船は竹ヶ島に向かいます。
ここで抽選をして我々以外の釣り人は竹ヶ島の磯に下りてしまいました。
「この船には我々3人しかいないので、これは一級磯に乗れますね。やはり泊り客は優遇されますね」とM君と話ました。

寝床の抽選では先に息子さんの船がこの船の分もクジを引いてくれたそうです。
波が無いので船は楽に寝床の1番に着けます。
「船着きで二人と裏側の割れたところで一人に分かれてやってください」と船長が言います。
M君もFさんもこの磯は、はじめて乗るということで勝手が分かりませんが、船着きは早い潮が流れているようです。

                       御五神島 寝床方面を見る

私は磯に荷物を上げて裏を見に行きました。
裏はV字型に切れた磯で足元を釣るようです。
足場は高くタモは少し磯を下りないと届きません。
「どちらで釣ります」とM君いいわれ、私は裏で釣ることにしました。
タモを出して組み立てて、ボイルのオキアミの入ったバッカンに海水を注ぎます。
今日は昨日釣ったこともあり、少し余裕があります。

                         釣り支度をするM君

     釣り開始前の私 前日釣っているので余裕があった  後ろが最初に竿を出した「割れ」

仕掛けは昨日同じで、竿はグレスペシャル2号、4号のハリスにボイルグレ9号を結んで4ヒロからはじめました。

オキアミを足元に落としてしばらくしてウキを落とします。
ウキはV字型の割れの中を回ります。
何回かに1回はもぐり潮にウキが引き込まれて見えなくなります。
しばらくして仕掛けを上げてもエサが付いたままです。
少し沖に仕掛けを入れますと早い流れで左側に持っていかれて根にこすれてしまいますので、ずっとV字の割れの中でウキを操作するしかありません。
私は30分ほど下を向いた状態でずっと同じ動きを続けていて、少し飽きてきて表の様子を見に行きました。

表は速い潮が竹ヶ島方面に向かって流れています。
「どうですか」と聞きますと、M君が「2回流したけれども流れの中ではエサはとられるよ」ということです。
話しているうちにFさんの竿が曲がります。
「結構沖で掛かっているので潮の抵抗で重いわ」といいながらリールを巻いています。
表側は20mほど沖に横に根が張り出しているので、そこに魚が引っかかりそうです。
Fさんは磯の右端によってなるべく根に当たらないように竿を操作しています。
やがて根の際から姿を見せたのはマダイでした。
M君がタモを入れます。
これは50cmほどのきれいなマダイでした。

                         マダイを釣ったFさん

「私も流させてください。Fさんどんな仕掛けですか」といって仕掛けを見せてもらうと、Fさんは6Bのウキにサルカン近くに6Bのガンダマをうち、ハリスに3Bを3個打っているということです。
私もハリスに3Bを3個打ち仕掛けを流れに入れさせていただきました。
道糸は流れに乗ってどんどん出て行きます。
スプールが見え初めて、ほとんど糸が出尽くしましたので、ベールを起こして巻き取りにかかります。
フカセの軽い仕掛けですが、潮の抵抗でかなり巻き始めは重く感じます。
道糸を全部巻き上げますとエサが付いていました。
仕掛けを流れに入れて流しきってから、全部出た道糸を巻取るまでに10分ほどかかりますので1時間に5、6投しかできない釣りです。
仕掛けを流している途中、エサが付いているか不安になります。

「ちゃんと仕掛けが入っていないとエサが残りますよ。最初にハリスを流れの手前に落としてなじませてから潮に乗せたほうがいいです」とM君がいいます。
私はエサを付け替えて再度投入しようと思いましたが、道糸が強烈にヨレていてリールのベールを起こしたとたんに絡み合ってしまいました。
グチャグチャに絡んだ部分を切ろうかとも思いましたが、かなり流しての釣りですので道糸は長いほうがいいだろうということで私は磯に座って道糸をほどきました。
M君が「道糸をほどいている姿を写真に取りましょうか」と冷やかします。

ヨリが掛かった道糸はこっちをほどくと反対側が絡むといった感じで手に負えません。
ここでFさんから「スプールをはずして糸をスプールに固定してスプールの回転するほうに回せば近くのヨリはとれる」といわれてその通りやってみました。
これですこしずつ、ヨリはとれてきました。

20分ほどかけて何とか道糸をほぐします。
M君からは、「2回ほどウキをはずして、道糸だけで流して糸をしごきながら巻き取ると、ヨリは幾分か取れますよ」と言われて道糸だけを2回流します。
これで2回パスです。

こんなことをしていては、今日は釣れないかもしれないと思います。
仕掛けを上げるときにウキが回ってしまってヨリがかかったかもしれないと思い、ウキをM君作成の小ぶりのものに変えて、さっきの仕掛けにさらにハリの上20cmほどのところに2Bのオモリをかみつけます。

マキエを足元と少し沖を流れる潮に打ち、今度は仕掛けを充分沈めようと流れの手前の渦をまいているアタリに仕掛けを投入します。
ハリスの重みのためかウキがすぐに沈んでいきます。
さっきはすぐに道糸が出て行ったのに今度はなかなか道糸が出ません。
さては、ハリスにかみつけたオモリのためにネガカリしたのかも知れないと思い、しばらくして仕掛けを上げますと何か魚が掛かっています。
前の根の手前から結構抵抗しながら上がってきたのはなんと良型のグレです。
これはFさんにタモを入れていただきました。
まあ、釣ったというより釣れたといった感じですね。
グレは足元深くにいたのですね。
釣り上げたグレは40cmほどでした。

                      マグレで私に釣れてしまったグレ

私が道糸のヨリを取っている間Fさんは何度か仕掛けを流しましたがアタリは無いようです。
私はFさんにグレを釣った写真を撮ってもらい、グレをシメて飲み物を飲みました。

M君は私のやっていた割れでやってみるといい、引っ越していきました。
グレを釣り上げた後、今度は沖の流れに直接仕掛けを投入します。
道糸をハリ気味にしてサシエが先行するイメージです。
日本海の船からのマダイのフカセ釣りのような感じです。
今度は道糸が半分くらい出たあたりでスプールからバチバチと道糸が出ます。
これはアタリと思い合わせます。
何か魚が掛かりましたが潮の抵抗で重いだけです。
前の根にすれないように右側に移動してあげたのは、50cmほどのマダイでした。

                     グレ、マダイと続けて釣り上げました

私は2匹連続で釣りましたので少し余裕が出ました。
マダイをシメてから、また飲み物を飲みパンを食べました。
暑くなってきましたのでカッパの上を脱ぎました。

エサを付けて同じように潮に仕掛けを入れて流しますと、今度も道糸が3分の2ほど出たあたりでバチバチと出ます。
合わせますと今度は先ほどよりも手ごたえがあります。
私はゆっくりと魚を寄せました。

M君が写真を撮ってあげるというので片手で竿を持ってライフジャケットのポケットからカメラを出して渡しました。
時間は10時過ぎで、ちょうど見回りの船が来たところです。
私は船長の目の前でやり取りをしていますので鼻高々です。
しかし好事魔多しとはよくいったもので、途中まで寄せてきた魚が根に入ったのか動かなくなってしまいました。

     マダイとやり取り中の私 このあと動かなくなってしまった  足元を速い潮が流れている

竿を右に倒しても左に倒しても魚は動きません。
あまり引っ張るとハリスがすれて切れそうです。
これは弱ったと思っていますと様子を見ていた渡船が近づいてきます。
「この船に乗って沖から引っ張ってみてください。あとタモを持った人も乗ってください」と船長が言って船を磯に着けてくれました。

これはまさに「渡りに船」でした。
私の人生の中で、私にとってこれ以上この言葉に合う状態は無いかもしれません。

私は竿を持ったまま船に乗り込み、続いてM君がタモを持って船に乗り込みました。
船は少し沖にバックしてくれます。
道糸がほぼ垂直になったあたりでリールを巻いて竿を立てます。
最初は根掛かりのように魚は動きませんでしたが、竿を引っ張り上げますと魚は動きました。
すぐにウキが見えて海底からマダイが浮き上がってきました。
M君が掬ってくれたのは60cmほどのマダイでした。
「イヤーマダイでしたか、取り込めてよかったですね」と船長が声を掛けます。
「おかげで釣り上げることができました」と私は恐縮してお礼を言いました。

船はマダイが根に入ったところまで、磯から30mほど沖までバックしてくれましたので、寝床の1番の沖はシモリだらけで、かなり浅いのではないかと思われます。

            渡船から釣り上げたマダイ60cm これは磯釣りとはいえないかな

強運も味方してくれて、相変わらずドタバタしましたが何とか60cmのマダイを取り込めました。
偶然に足元で釣れたグレといい、今日はツキがあるようです。
四国では4連敗中ですので、たまにはこんな日もないと釣りがイヤになりますね。
今回もボーズでは、それこそ「私は釣りやめます」宣言をしそうです。

さすがに根にすれてハリスがざらざらになっていましたのでハリスを交換します。
4号ハリスがなくなりましたので、私は予備の5号を結びました。
この間にFさんにアタリがあり今度は50cm弱のマダイを取り込みます。
割れでやっているM君に本流を流さないかと聞きましたが、彼は意地でも割れで1匹釣るといっています。

ハリスを張りなおしてエサを付けて投入します。
今度はスプールが見えるまで糸を流しましたがアタリはありません。
今回は空振りかと思っていましたら、あと5巻きくらいで糸がなくなるあたりでバチバチと糸が出ます。
今度は手前で根に入られないように、沖でゆっくりやり取りして弱らせてから取り込もうと思いました。
手ごたえの感じでは先ほどの60cmのマダイよりも大きい感じです。
ゆっくりと引っ張っていますと、今度は沖で動かなくなってしまいました。

今回は、船がいませんので磯の上を右から引っ張ったり左から引っ張ったり、しばらくおいてから引っ張ったりしましたが魚は動きません。
しょうがないので道糸をつかんで引っ張りますと仕掛けがそのまま上がってきました。
魚の口が切れたのでしょうか。
なんとも不思議です。
そのうちに潮が緩んできました。
その後は空振り1回のあとは25cmのイサキが1匹釣れて、あとは空振りが続きます。
潮目もなくなってきました。
Fさんとも仕掛けが絡んで仕掛けを作り直したり、流している途中で沖に見えている根に引っかかって仕掛けを切ったりしました。
潮が緩んできたので、仕掛けが重過ぎるのかもしれません。

それにしても最初にFさんのガンダマをたくさん打った仕掛けを見なかったら、今日はボーズだったかもしれません。
5Bのウキに5B1個と3B3個にハリの手前に2B1個の仕掛けを使って、連続で釣れましたので、磯釣りの引き出しが1個増えたような気持ちになりました。

潮が緩んできましたので、これは足元でグレ狙いに切り替えたほうがよさそうだと思い、仕掛けのオモリをはずして5Bのウキに5Bのオモリだけの仕掛けとします。
竿2本で足元から流しますがエサがとられません。
潮の流れはかなり、遅くなっています。
ウキ下を少し下げて少し沖に投入しますと、仕掛けがなじんだと思われる頃にウキがゆっくり入ります。
根掛りかなと思いながらアワセますと魚がついています。
前の根に入ろうとするのを強引に寄せたのは44cmのグレでした。

             足元で釣ったグレ44cm  2月というのに暑いのでシャツ姿です

これ以降、潮が止まってしばらくして反対に流れだしてからは、アタリは出ませんでした。
1時過ぎになり割れでやっていたM君が「ついに釣ったぞ」といって40cmほどのグレを釣り上げました。
まさに執念で釣った1匹です。
M君は連続で来ないかと熱心に仕掛けを投入しますが後が続きません。
やがて2時になり迎えの船が来ました。

今日の寝床の1番での釣果ですが、私がマダイ60cm、50cm、バラシ1回、グレ40cm、44cm、イサキ25cm1匹、Fさんマダイ50cm前後2匹、M君グレ40cm1枚でした。
私は楽しくてアットいう間に時間が過ぎたように感じました。
激流の中の釣りは普段やりなれない釣りだったので、私にとっては新鮮な感じでした。

          荷物を片付けて迎えを待つ   なんとか全員釣ったのでよかったです

港に帰って着替えを済ませたあとで、船長にマダイの写真を撮ってもらいました。
今回は2日間とも釣れましたし、2日目は18人釣り人がいて、驚いたことに私が竿頭になりましたので前回の借りは充分返して、お釣りが来たのではないかと思いました。

                          2日間の釣果です

帰りはいつもの温泉でサットひと風呂浴びて高速に乗りました。
途中サービスエリヤでメモに書いてあったお土産のうち2個買って、敦賀には11時30分ごろ着きました。

マダイは料理が大変ということで、M君の知り合いの料理屋によってマダイを2匹とも渡してから家に帰りました。
翌日M君から電話があり、「料理屋の主人がマダイを食べにきてくれといっている」ということですので、私とM君と鬼嫁の3人で料理屋にご馳走になりに行きました。

料理屋の主人も釣りが大好きな人で過去には四国にも釣行しています。
料理屋ではマダイの刺身やらこぶ締め、兜煮などいろいろ料理を出していただきました。
カウンターに今回撮った写真をプリントアウトしたものを広げて、見回りに来た渡船に乗っての取り込みの話などで場はおおいに盛り上がりました。
そのうちFさんも顔を出して、また御五神島1日目からの釣りの話になりました。

釣り談義は楽しいですね、全員が釣れて、まして1日目は弁当を忘れ、2日目は渡船から取り込むなどという、おいしい酒の肴があるといっそう盛り上がりますね。
この不況の中、1泊2日で四国に釣りに行くことは大変ですが、何とかヤリクリしていけば楽しいこともありますね。

今回の軍資金ですが、最近信用金庫に口座を作らなくてはならなくなり、あったと思っていました通帳を紛失していたことに気がつきました。
信用金庫はもう二十年近くも使っていなかったので、窓口でわけを話しましたら、昔の通帳を紛失したことにして新しく口座を作ることにしました。
そうしましたら、窓口で口座が二つあり、ひとつの口座は二十年前から出し入れしていないが4万円の貯金があるということでした。
サンスイでウキをもらったことといい、信金の忘れていた貯金が出てきたことといい、今回は神様が釣りに行きなさいといったようなものでした。

居酒屋で大騒ぎをしたあとに帰りのタクシーの中でふと、四国まで一緒に行ける友人がいるというのも大きな財産かなと思いました。

この辺で私とM君のまさに珍道中の釣行記を終わりにしたいと思います。
ボーズが続いても懲りずに行けばいいこともありますね。
次回も楽しい釣りができますように。


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