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 上野山さんからのリポート 番外編
 「30.1cmの大鮎 両手でないと持てない」

   2011/09/07〜09

 


20年ほど前に九頭竜川で鮎釣りを教えてもらったHさんから、一度九州の球磨川に行かないかと誘いを受けました。
Hさんは、グレネットの釣行記の番外編に書きましたマイボートでの船釣でもお世話になっている人です。
私の都合に合わせますと9月の第2週が良いということになりましたので、あとは天気次第です。

9月になり、台風12号がやって来て近畿地方を直撃しましたが九州はそう影響は受けませんでした。
Hさんから電話があり「ホンマに仕事休んで九州に釣りに行くんやな」という確認と球磨川はあまり釣れていないので別の川に行くかもしれないということです。
Hさんは過去に5回ほど球磨川に鮎釣りに行っていますが、最高が29.9cmで30cmにあと1mm足りないということです。
Hさんは鮎釣りを始めてからまだ30cmを釣っていないので、是非とも今回は30cmオーバーの鮎を釣りたいということです。

私は平成11年に九頭竜川で29cmを釣ってからは、これよりも大きい鮎は釣っていませんので私も目標は30cmですが、初めての釣り場で釣るのは勝手が分からないのでなかなか難しいと思われます。
今回は様子見のような気持ちで九州に行こうと思いました。
今年は白山登山などでいろいろ忙しくて、鮎釣りはお盆が初日でまだ3回しか行っていません。
これでいきなり九州の知らない川で釣れるかどうか少し不安です。

7日の出発の前日になり、Hさんから九州に住む知り合いの助言で球磨川ではなく別の川にしたという連絡が入りました。
私は九州での鮎釣りは初めてですので、すべて段取りはHさんに任せました。

7日の朝2時30分にHさんのランドクルーザーに荷物を載せて敦賀を出発します。
4時までに高速に乗れば深夜割引で九州まで半額の高速料金で行けることになります。
小浜インターに3時30分ごろに着いて、舞鶴道、中国道と乗り継ぎます。
お昼前には九州の目的の川につきました。
Hさんが九州に住んでいる友人に電話をしていつも利用しているというオトリ屋の場所を聞きます。

オトリ屋さんは、道沿いのわかりやすい場所でした。
ここで3匹1000円のオトリを各自買います。
オトリ屋のおばさんに地図を出してもらってだいたいの釣り場所を決めました。
道路から川を見て、釣り人が入っていないことを確認して、川原に車を止めて早速支度をします。

私は10年ほど前に買ったダイワの6万円ほどの9mの鮎竿です。
Hさんはガマカツの18万ほどのパワースペシャルという赤い竿です。
仕掛けは金属ライン0.25号にハナカン回り1.2号、ハリス2号に3本イカリの改良トンボ8.5号です。
球磨川の情報を見ておりますと金属ライン0.3号に3本イカリの9号が標準のようです。
私は9号の3本イカリは使ったことがないので一番大きい8.5号にしました。
これで以前29cmを釣ったことも少し自信となっています。

時刻は1時過ぎです。
私は上流の瀬にはいりHさんが下に入ります。
買ったオトリは元気でよく泳ぎますが、なかなか鮎は掛かりません。
水中の石を見ても鮎がコケを食べたあとがあまり見られません。
瀬を上がったり下がったりして釣っていると下からHさんが呼びます。

Hさんのところまで行きますと「尺鮎を釣ったぞ。お前も下に来て釣れ」といいます。
釣りを開始してまだ1時間もたっていないのに目標の尺鮎を釣ってしまうとはちょっと拍子抜けの感じがしないでもありません。
Hさんが曳き船からタモに移したアユは、完全に30cmオーバーと28cmほどの2匹でした。
早速車からHさんが自作した計測台を取り出し、大きいほうを測りますと、この鮎は31.5cmでした。

「下の深い場所でオトリを入れたら連続で4回掛かって2匹獲れた」ということです。
私も下に移動してHさんの釣った場所にオトリを泳がせますが、追い気のあるアユは掛かってしまったのか私には掛かりません。

Hさんと話をしたりして休憩してオトリを休めて釣りますが4時ごろまでアタリはありません。
Hさんも少し下がって釣りますがアタリはありません。
Hさんは根掛かりで金属ラインを2回も切ってしまい、今日は30cmオーバーも釣ったということで竿をたたみました。

4時半頃になり、私が岩の前にオトリを泳がせていると、いきなり竿が持ち込まれました。
これは大きいと竿を立てて構えますが、掛かり鮎にどんどん下流に引っ張り込まれます。
「竿をもっと曲げて魚を寄せろ」というHさんのアドバイスで竿を陸側に向けて魚を寄せます。
なんとか寄ってきた鮎を見ますと、掛かった衝撃でハナカンが外れたのか、オトリ鮎はいません。
手元で走り回る背掛かりの鮎を、糸をつかんでタモで掬いますとやっとひと仕事終わった感じです。
タモの中には27cmの鮎が横たわっていました。

「ボーズ逃れでよかったな」とHさんが声をかけますが、私は取り込みでひと汗かきましたので頷くだけでした。
27cmの大きさの鮎もこの10年ほどは釣っていないのではないかと思います。

久しぶりの大鮎の引きを味わうことができましたが、取り込みが大変です。
タモの中の鮎からハリを外しましたら、3本イカリの1本が無くなっていました。
大鮎釣りということで厳重にハリをくくってアロンアルファで止めた仕掛けですが、大鮎のかかった衝撃でハリが引きちぎられてしまったのだと思います。
さすがに九州の川は鮎の引きが一味違いますね。

この1匹を釣ったので釣りは終了して我々はホテルに向かいました。
釣った鮎はオトリ缶に入れて川に沈めておきました。
夜はHさんとお互いに大鮎を釣ったということで楽しくビールを飲んで反省会をしました。

2日目です。
今日はHさんの友人で九州に住んでいるKさんも合流して釣るということになりました。
昨日のオトリ屋でKさんと待ち合わせをして、今日は下流に向かいます。
下流のKさんおすすめの堰堤の下のポイントに入ります。
堰堤から流れ落ちる水が渦を巻いているのでかなり深そうです。
「ここは中にテトラが入っているので金属ラインでは擦れて切れるかもしれないのでナイロンでやったほうがいいですよ」とKさんのアドバイスで、私はナイロンの0.6号を使いました。

深いところに入ったHさんは早速24cmほどの鮎をかけます。
私は底までどれくらいの深さかがわからないので鮎がどこを泳いでいるのかよくわかりません。
渦に道糸が取られて釣りにくい場所です。
「鮎が入らないようでしたらオモリを付けてください。私とHさんは下に行きます」とKさんが言ってHさんと下流に移動しました。

私は堰堤でもくもくと養殖オトリを泳がせましたが3時間ほどしても掛かりません。
オトリが弱ったので昨日釣った27cmの鮎をオトリにして泳がせますとすぐにアタリが有りましたが逆バリが外れましたが鮎は掛からなかったようです。

やがてKさんがやってきて「どうですか」と声をかけます。
「難しい場所です。私にはよう釣れません」といいますと「ちょっとやってみましょう」とKさんが言ってオトリを泳がせます。
するとすぐに27cmほどの鮎が掛かりました。
そのあとも連続で2匹掛かりましたが、2匹目は大きくてこらえているうちに身切れしてオトリ鮎だけが飛んできました。
これで循環が悪くなりKさんも一休みになりました。
下で釣っていたHさんもしばらくして上がってきました。
浅い瀬で釣っていたので少し小型の22cmから25cm程を7匹釣ったということです。

やがて昼になり昼食を食べてまた川に入ります。
私はHさんが釣ったという浅い瀬に入り、Hさんは堰堤の下で釣ることにしました。
浅い瀬では5匹ほど掛かり23cmほどの鮎を2匹取りました。
しばらくしてHさんの様子を見に行きますとKさんも休憩していました。
Kさんに「どうですか」と聞きますと、「Hさんは1発バラしたよ」と言っています。
上がってきたHさんに聞きますと「大きいのが掛かって竿が伸びきってハナカン回りの1.5号が切れた」と言って悔しがっています。
「まあ、また九州に来なさいということだね」とKさんが笑って言います。
「今日はこのくらいにして、あなたたちはあすも釣るのですからポイントを紹介しましょうか」とKさんがいいます。
我々はKさんに甘えて、Kさんの車で上流に向かいいろいろな場所を見て回りました。
橋の上から覗くと明らかに30cmオーバーの鮎がコケを食べている様子が見えたりして心が踊りました。

Kさんとは5時ごろに分かれて我々は温泉付きのホテルに移動しました。
初日はビジネスホテルに泊まりましたが、2日目は温泉付きのホテルです。
Hさんがネットで探した1泊2食付きで一人6300円という格安のホテルでした。
ホテルの温泉にゆっくり浸かり、食事には焼酎のボトルを頼んで反省会をします。
「やっぱり九州の鮎は大きい、なんで1.5号が切れるのかな」という話を何度もしながらの反省会となりました。
宿の食事は刺身に天ぷらやら茶碗蒸しがついて豪華でした。
これで6300円とは、まさにデフレの世の中ですね。

3日目です。
今日は昨日Kさんに教わった学校裏のポイントに入ろうということになりました。
今日も8.5号の3本イカリです。
Hさんが上流で釣り、私は少し下がった流れのゆるい深い場所で竿を出しました。
釣りをしていると小学校の子供の声が聞こえてきますのでのどかです。

オトリを見えている石の近くで泳がせているとすぐにアタリがありました。
これは25cm程の鮎でしたが、寄せて糸をつかんで取り込むときにハリが外れてしまいました。
「おい、取り込んでいるときに焦っているぞ。ゆっくり確実にやれ」と見ていたHさんからアドバイスされます。

オトリの逆バリを打ち直して泳がせますが、バラしで動きが悪くなったのでオトリから25cmほどのところに2号のオモリを付けます。
今日は最初からバラしたので、もうだめかなと思いながら少しずつ探りながら川を下がります。
Hさんは全然アタリがないようです。

バラしてから10分ほどしたでしょうか、竿を立て気味にしてオトリを対岸近くの石の間を泳がせていると、水面から50cmほどのところにある、10cm間隔で3つ付けた目印が一気に3つとも水中に引き込まれるすごいアタリがきました。

これは大鮎と思って竿を立てますが、すごい引きで竿が伸されそうになります。
幸い流れが緩かったので掛かり鮎について川を下がります。
「おい、そのままではどこまでも下がるぞ。竿を陸側に倒して竿を曲げて耐えろ」とHさんのアドバイスがあります。
なんとか竿の弾力で魚を寄せて糸をつかんでタモで掬いますとこれは30cmありそうな鮎です。
体高があるので小さな鱒のような魚体でした。
これを両手で掴んで曳き船に入れます。
オトリを換えて少し下に送り込みます。

今度は直ぐに掛かりました。
同じような強烈な引きでしたが2回目でしたので少しは要領がわかりました。
陸側に竿を倒して竿を曲げて魚を寄せます。
今度もタモで掬ったのは30cmほどの鮎です。

その後はHさんも私にもアタリはありません。
追い気のある鮎を釣ってしまうとあとはなかなか釣れないようなので、場所を移動することにします。
「おい念の為に測ろうか」とHさんが言いますので私は釣った鮎をタモに入れました。
Hさん作成の計測台に載せますと体高があるほうが29.5cmで、長いほうが30.1cmでした。
私は初めて来た九州で30cmオーバーの鮎を釣ってしまったので少し拍子抜けして「アラ釣れてしまった」という感じでした。

午後からは昨日切られた堰堤でやりたいとHさんが言いますので、我々は堰堤まで下がりました。
ナビに昨日の場所を登録してありましたので道に迷うことなく堰堤までたどり着けました。
ナビがあるとはじめての場所でも楽ですね。

堰堤ではHさんが渦を巻いている深場を釣り私は浅い瀬で竿を出しました。
私は1匹掛かってバラしたあとはもう掛かりません。
Hさんは6匹ほどかかったそうですが、曳き船の口が開いていたということで鮎が全部脱走してしまったということです。

昨日バラしたほどの大物は来なかったけれども30cm前後は掛かったということでした。
時刻は4時前でしたがお互いに、もう堪能したということで竿をしまいました。

ホテルに帰って温泉に浸かって、また焼酎を飲んで反省会をしましたが、来年も是非とも来ようということになりました。
Hさんが、Kさんにガイドをしてくれたお礼の電話をして、私に代わりますと「あんた九州に来たからといって、二人共に30cmオーバーが釣れるなんてよっぽどツキがあるのですよ。地元の人でもなかなか30cmオーバーは釣れんですよ」ということです。
私はKさんにガイドをしていただいたおかげで30cmが釣れたということで重ね重ねお礼を言っておきました。
Hさんの友人が九州に住んでいたということで、勧めてくれた川に場所を変更してお互いに30cmオーバーの鮎が釣れたようなものです。
あのまま予定通り球磨川に行っていたらどのような結果になっていたか分かりません。

我々は、一晩ゆっくり体を休めて翌日7時に朝食を食べてゆっくりと敦賀に帰りました。
敦賀に帰ってサンスイ釣具店で大鮎を見せて、体高がある29.5cmと長細い30.1cmとどちらを魚拓に取ればいいか聞きましたら、「2匹一緒に魚拓にとってやる。しかし今は忙しいのでもう少し先やな。鮎はうちで冷凍保存しておく」ということになりました。

私は残った27cmの鮎1匹をうちに持ち帰りました。
家では釣った鮎を刺身にして生姜で食べました。
鮎の刺身は清流の味がしてなんとも言えない歯ごたえでした。

さて、九州で釣った12年ぶりの記録更新の大鮎の引きはしばらく忘れることができないかもしれません。
来年も九州に行けるように日頃から体を鍛えて、鮎釣りも精進しなければいけないなと思いました。

                       鮎  29.5cmです。

                   30.1cmの大鮎 両手でないと持てない



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