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上野山さんからのリポート
「大晦日の釣りはパーフェクトボーズ」
神前浦 (三重県)
2011/12/31
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今年最後の釣行は久しぶりにグレネット管理人の下山さんと行くことになりました。
12月23日に46cmのグレを釣り上げたゆたきちさんは所用があっていけないということでしたので、今回は二人での釣行です。
12月28日に下山さんにメールを送って31日はどうですかと聞きますとすぐに「私はいいですよ」という返事です。
さっそく、私は鬼嫁に31日に釣りに行く宣言をして、買い物やらの用事はなるべく29日中にしか付き合わないと言いおきました。
後で聞いた話では下山さんは奥さんの都合を聞かずに、ルアーに食いつくブラックバスのように反射的に行くといったらしく、奥さんの許可を得て、ホンマに行きますという返事が来たのは夜の8時ごろでした。
それから釣り場所はいつもの二木島か解禁磯の神前浦かで悩んで、行ったことがないという神前浦も面白いと思い、ゆたきち師匠が46cmを釣り上げた神前浦としました。
山王丸渡船に30日に予約の電話を入れますと、奥さんが「人が多いので2番船になりますがいいですか」ということです。
「2番船でも乗る磯はありますか」と聞きましたら「磯は十分あります」ということですので二人分の予約をいれました。
2番船ですので出船は7時前頃になるということです。
30日は夜10時すぎに草津で下山さんと待ち合わせをして栗東から高速に乗ります。
少しゆっくり目に運転をして12時を少し過ぎて大宮大台のインターを降りて餌ガメによって餌を受け取ります。
今回は4時半までと長いので各自ボイルのオキアミを3枚ずつ購入します。
私は餌取りがいないようなら2枚でもいいかもしれないと思いましたが、下山さんが前回も3枚持っていったというので3枚にしました。
餌ガメをすぎて錦方面に曲がり30分も行くと神前浦です。
「確かどこかを右に曲がるんです」と下山さんがいいますが曲がるところを覚えていないようです。
川まで来て「川はわたっていないと思います。ここを曲がってみましょう」といって川の手前を右に曲がりましたらすぐに渡船場に着きました。
時刻は1時頃でしたので、草津を出てから3時間弱です。
ここは近くていいですが、その分解禁したてで人も多いということですね。
私は寝袋にくるまり、下山さんは毛布にくるまって寝たのですが5時ごろに寒さで目が覚め車のエンジンをかけました。
後で聞きましたら下山さんは寒くてなかなか眠れなかったということです。
朝6時過ぎに1番船の釣り人が出ていきます。
船が小さいので乗っているのは20人弱のようです。
我々も車から出てしたくを始めます。
2番船に乗るのは7名ほどのようです。
したくを終えて奥さんが入れてくれた暖かいコーヒーをいただきます。
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神前浦の渡船場の駐車場 この日も80名近くの釣り人が来ていた |
ほどなくして船が戻ってきます。
我々は7時前に港をでました。
港をでますとすぐに大きな島があり、これが弁天です。
前回、このハナレに下山さんとゆたきちさんは乗ったそうですが今日は人が2人乗っています。
「弁天誰かいきませんか」と船長がいいますがハナレには人が乗っています。
「壁があいているで」と船長がいいますと下山さんが「ここにおりましょう」と言って船長に降りる旨を伝えます。
我々は弁天の壁に渡してもらいました。
若い釣り人が荷物を渡すのを手伝ってくれました。
弁天の壁は前回下山さんが釣行したときに、ハナレから釣り上げる姿を見ていたし風が当たらなくていいということでした。
実際ここでは結構いいグレが上がっているようでした。
下山さんは水汲みバケツで水を汲みながら「2番船なのでここが空いているとは思いませんでした。ラッキーです。ここに乗れたらもう釣ったのも同然です」と明るい発言が出ます。
私はこれほど明るい下山さんは久しぶりだと思いましたが、内心物事はそう上手くはいかないと思ってもいました。
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壁で水を汲む下山さん この時は「ここに乗れば釣ったのも同然」宣言が出ていた |
今日の仕掛けです。
四国と同じで竿は2号、道糸4号にハリス4号、ウキはサンスイ釣具M君手作りの5B相当の発泡ウキに針はボイルグレ9号、サルカンでハリスと道糸をつなぎました。
ウキ下は3ヒロからスタートです。
磯の正面の足元は切れているようです。
私の右側に下山さんが入ります。
右側は根が落ち込んでいるような感じです。
「前回は右を向いて釣っていましたよ」という下山さんですが潮はゆっくり右から左に流れます。
右沖に投入した下山さんのウキが足元に流れてきます。
「おかしいなあこれでは右向きに釣れませんね」と下山さんが言います。
前回とは潮が逆向きに流れているのではないでしょうか。
私は足元に落としたウキが左沖に出るのでいい感じです。
1投目は餌がついてきます。
2投目も餌がついてきますので少しウキ下を下げます。
下山さんは3ヒロのウキ固定でやっていますが餌が取られないと言っています。
ウキ下を4ヒロまで落として、ようやく餌がかじられましたが餌が吸われているような食べられ方です。
この後も餌が付いたり残ったりしますがウキは1回も入りません。
一度足元で根掛かりしたのかと思い、道糸を持って引っ張りましたら、ずるずると糸がたぐれます。
上がってきたのは25cmほどのガシラでした。
これは釣ったとは言えませんね。
下山さんが「それはスーパーで買えば1000円はしますよ」といいますが私はガシラを放流しました。
2時間ほどして下山さんは餌が取られないので遊動の仕掛けにしました。
10時の満潮になってからは本当に潮が動かなくなりました。
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右隣のチョボの釣り人 ここも前回釣れていたという 満潮ですが今日は乗っています |
私は潮が動かないので休憩にしてパンを食べました。
今日は時間が長いので休憩用にとパンを3個ほど買ってきました。
やがてお昼になりました。
「満潮が過ぎれば潮が変わりますよ。反対の右側に流れ出せば、それからがチャンスです」と、どこまでも前向きな下山さんです。
私たちの釣り場から見えるハナレもチョボも竿が曲がりません。
私はこの辺一帯にはグレは居ないのではないかと思ってしまいました。
満潮をすぎてから、一瞬、潮はゆっくり右に流れましたがあとは朝よりもゆるく左に流れます。
足元や沖にウキを投入しますが、流ないので2、3m流して上げて餌をチェックしてまた投入するという淡々とした釣りです。
サラシも出ませんので春の日本海のチヌ釣のような釣りです。
「これでゆたきち師匠がいればボヤキ全開のところですね」と私がいいますと「前回は師匠のボヤキを私は3時まで聞かされました。しかも1対1です。」という下山さんです。
1時過ぎになり「ようやく半分ですね、ゴールデンタイムは3時からです。2時半になりましたら気合を入れてやりましょう」と言う、ここでも前向きな下山さんですが、私は劇的に潮の流れが変わりでもしない限りはアカンのではないかと思いました。
朝ハナレに乗った二人組は潮の引いたチョボに渡り、ハナレには沖から釣り人が一人替わってきました。
同じように餌を投入し、休憩を取りながら釣っていましたがふとハナレを見ますと替わってきた釣り人がタモを入れています。
釣れたのは40cm弱のグレのようです。
チョボでもチヌが釣れたようですがこれは放流しています。
ようやく時合い到来かとウキを投入しますが相変わらず潮はカタツムリのような速度で左に流れるばかりです。
足元、沖と交互にタナを変えてウキを投入しますがなんにも変化は起こりません。
「2時半からは気合を入れなくてはなりませんが、いま何時ですか」と聞かれて時計を見ますともう2時45分です。
「いま2時45分です」といいますと、初めて下山さんは焦ったような口調で「前回ゆたきちさんが釣ったのは3時です。もうゴールデタイムに入っています」と言いました。
上がりの時間は4時半ですのでもう後1時間半ほどしかありません。
朝磯に渡ったときには、夕方4時半までは長いと思っていましたが、あっという間になにも釣れずに終了1時間半前となりました。
まさに人生と同じですね、人生は決して長くはないのです。
子供の頃、永遠にあると思っていた時間は、この年になるともう少なくなっていることに気付かされます。
磯釣りもあと何年続けることができるでしょうか。
ああ、ボーズの時ほど人生を振り返ったりしてタメ息が出るものです。
これが釣れている時でしたら、釣りに忙しくてとても人生を考える余裕などありません。
ボーズもまた良しでしょうか。
下山さんは夕方になり3ヒロ固定に仕掛けを戻して足元やら目の前のシモリ根の際を攻めています。
やがて二人ともアタリのないまま4時になり磯が陰ってきました。
時間はあと30分です。
1便の釣り客を迎えに行った船が戻ってきます。
私の頭の中では、このときNHKの釣り番組「にっぽん釣り紀行」のエンディングで流れる岩崎宏美の歌う「同じ空の下」という曲が既に流れていました。
この番組はけっこうボーズの時も多くて、ボーズのまま釣りが終了するときなど、あたかも時間切れを伝えるかのように岩崎宏美の綺麗な歌声が釣りのシーン中に入ってきます。
ボーズの時などこれほど合う歌もないのではないかと思うくらいの番組の出来栄えです。
やがて何のドラマもなく終了の4時半となり我々は道具を片付けました。
下山さんはしきりに磯の選択を誤ったと謝りますが、今日はどこもあまり釣れていないことだと思います。
釣れる日もあれば、こんな日もあるから釣りは面白いのでしょう。
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夕方迎えに来た渡船 岩崎宏美の歌が似合いそうです |
港に帰りますと立崎のハナレで良型のグレが釣れていたということです。
前回下山さんが弁天のハナレに乗ったときに、壁で釣っていた釣り人が隣に駐車していましたので釣果を聞きましたら、立崎の地に乗ったけれどもアカンかったということです。
チヌしか釣れていなという人も多かったので、ここ数日で水温が下がっているのではないかと思いました。
これで大晦日の釣りはパーフェクトボーズで終わってしまいました。
数年前にゆたきち師匠とK君と大晦日に3人で古和浦に行って「珍道中の最後はボーズで締めましたなあ」という釣行記を書きましたが、その時以来の大晦日ボーズを食らってしまいました。
人生、悪いこともあれば良いこともあります。
新年の初釣りはいいことから始まるようにと祈願して帰途につきました。
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