TOP 釣行記index 次のページを読む

 上野山さんからのリポート
 「アドレナリンが吹き出すような強烈な引き」

  武者泊 (愛媛県)
   2012/05/04
  大津 (高知県)
   2012/05/05

 


ゴールデンウイークの前半4月28日はSさんと午後から若狭の泊に釣行し、37cmのチヌ1匹の釣果でした。
中1日おいて再びSさんと午後から泊に釣行して今度は37cmから43cmのチヌを3枚釣りました。
若狭のチヌ釣は細仕掛けでそれなりに面白いのですが、四国の磯釣りのように仕掛けをむしり取っていくような化けモンの引きには出会いません。

ぐれねっとの下山さんと5月の連休には四国に釣行しようということになり、5月4、5日と2日釣りで予定を決めました。
天候ですが4日は前日に太平洋を低気圧が通り、吹き返しの北西の風が強いようです。
この風では武者泊のいろは渡船しかないと思い、4日はいろは渡船で通し釣りの予約をいれました。

3日は連休の渋滞が予想されますので、明石までは京都方面ではなく、小浜回りの舞鶴道で行くことにします。
このルートでは渋滞に会うこともなく3日の夕方7時過ぎに明石に到着いたしました。
下山さんの車に荷物を積み込み、いざ四国に向けて出発です。
途中交代で運転をして、いろは渡船には2時頃に到着しました。
車から降りますとかなり強い北西の風が吹いております。
仮眠所は一人分の布団が空いておりましたので、私がそこで寝て下山さんは車で寝ました。
朝4時過ぎにどなたかのめざましで目が覚めました。

港に行きますと、今日の釣り人は14人ほどです。
「風が強いね」とやってきた船長が言いながら各自に弁当の注文を聞いています。
5時10分前に船に道具を積み込みますと、定刻の5時に船は港を出ます。
相変わらず強い北西の風が吹いています。

船はガマゴウラの辺に来ますがこのへんでもかなり風が当たります。
今日は風に吹かれての釣りとなりそうです。
船は地蔵鼻から着けるようです。
最初に2人組が地蔵鼻に下り、次の磯のムロバエに一人が下りました、同じ磯の右側に二人で降りろということで私と下山さんが3番目に下りました。
ここは地蔵鼻の影になって比較的風裏の磯です。
5時20分が満潮ですので、丁度潮が一番高い時刻です。
下りた磯は狭い場所ですが、潮が引けば左手の広い磯から釣れそうです。

今日の仕掛けです。
竿はいつものグレスペシャル2号に、道糸4号、ハリス4号を直結して赤い0ウキをヨウジで止めます
ハリはグレバリ9号で、ウキ下は3ヒロ弱でスタートです。
下山さんに聞きますとハリス5号で始めるということです。
磯の高いところから下山さんが竿を出し、すぐ横の左手の低いところから私が竿を出します。
潮はゆっくり右に流れます。
しばらくして仕掛けを上げますと付け餌の頭がかじられています。
その後はたまに餌がかじられる程度で、ウキは入りません。

北西の風がたまに回り込んできますし、かなり寒いのでカッパを着ていてちょうど良かったです。
9時ごろになり潮が引いてきましたので、下山さんは左手の磯から竿を出します。
左手の磯の前は根が張り出していますので、かなり浅そうです。
その横は水道になっていて深そうです。
しばらくして私も同じ場所でやっているのに飽きてきましたので、下山さんの左側に移動します。
この場所では3ヒロでは足元の根に引っかかってしまいます。
なんにも釣れないまま9時30分の弁当船がきました。
通し釣りのシステムを聞きますと、一度道具を片付けて12時30分に迎えの船に乗ってくださいということです。

「こう釣れないと、弁当は数少ない楽しみの一つですな」と言いながら二人で早速弁当を食べます。
弁当を食べると、あまりにアタリがないので眠くなってきましたので私は磯の上で30分ほど寝てしまいました。
目が覚めて下山さんに「どうですか」と聞きますと相変わらずアタリはないということです。
時刻は11時ごろでしょうか、下山さんは船着に戻って釣りをしています。
しばらくして下山さんが魚をかけましたがあまり引かないようです。
やがて海面に顔を出しましたのは大きなウツボです。
これは、下山さんがタモを入れました。
初めて釣れたのがウツボということで暗雲が立ち込めます。

私はゼロウキのヨウジを外してスルスルにして、左の磯の水道側の深くなったところに仕掛けを投入します。
私は1回もアタリがないので疲れてきて磯に座って釣りをしていました。
投入した餌は1回も取られません。

5投目か6投目だと思います。
いきなりウキが入りました。
トッサに合わせるとものすごい引きで竿が伸されます。
リールのレバーを緩めて少し道糸を出して竿を立てますが、魚は右手の根の方に走ります。
竿を左に倒して魚が根に入らないように引っ張ります。
しかし魚はものすごい力で突っ込みます。
リールのドラグが逆転してジージーと音を立てて糸が出ます。
あまり糸が出てはいかんと、リースのスプールをつかんで逆転を止めます。
魚と力比べのようになりましたが、結局魚は根に入りこむことはできなかったようです。

今度は足元深くに潜ろうとしますので、これも耐えますがまたしてもリールが逆転して糸が出ます。
魚の引きが緩んだ時にリールを巻きますが、すぐに同じだけ出されてしまいます。
「とれそうですか、なんとか魚の顔をみたいですね」と下山さんがタモをもってやってきますが「これはとても大きい魚です。とれるかどうか分かりません」と答えます。
この魚の引きはもちろんグレではありません。
2号の竿に4号通しの仕掛けの限界点に近い引きです。
ハリはアタリがないので8号に落としましたが、このやりとりで外れないところを見ますといいところに掛かっているのでしょう。

やがてぼんやりと赤いウキが見えてきました。
魚を見たい気持ちで焦ってやりとりが早くなってしまわないようにと、気を落ち着かせて魚の引きに耐えます。
ウキが海面に出ましたが、ここからまた強烈に底に潜られて糸を出します。
なかなか一筋縄で行く相手ではありません。
2度目にウキが出ましたときに、水中で青い魚が見えましたので「これはアオブダイだと思います」と下山さんに言います。

なんとか浮かせて下山さんにタモを入れてもらったのは大きなアオブダイでした。
掛かってから取り込みまで5分ほどかかったでしょうか。
掛かったアオブダイを下山さんのスケールで測りましたら67cmでした。
アオブダイを釣り上げるのは2回目です。
1回目は20年ほど前に鵜来島で釣り上げたのが最初ですので、実に20年ぶりにアオブダイを釣り上げました。

 
                アオブダイ 67cm 化けモンでは小結クラスか

ここでは前回から化けモンになんども仕掛けを切られていますが、ようやく1匹退治した感じです。
アオブダイ67cm、化けモンのなかではまだ小結くらいでしょうか。
まだまだ大関、横綱クラスはいると思います。
釣り上げましたアオブダイは計測してリリースしました。

私は疲れましたので飲み物を飲んで、チョコレートを食べました。
そのあとは私も下山さんも何も当たりもなく12時半の磯変わりの時間となりました。
12時半になりますと各渡船とも釣り人を回収しています。

船はガマゴウラに戻り3人を下ろして猛スピードで野地島に向かいます。
野地島にもう一人の釣り人と3人で下りることになりました。
野地島では朝からやっていた釣り人が帰る支度をして船を待っていました。
「どうでしたか」と聞きますと「朝からカワハギ2匹です。ここはなんにもおらんです」という絶望的な話です。
ここは前回いとうさんと3人で来て初日にボーズを食らった不吉な磯です。
私は前回と同じ場所で釣りますが、下山さんは前回とは場所を変えて磯の左側で竿を出します。

1時間ほどやって、たまに餌の頭が取られる程度でウキにアタリは出ませんので、私はまた眠くなって磯の上で寝てしまいました。
目が覚めましたらもう時刻は3時半でした。
30分ほど寝るつもりが2時間ほども寝てしまったことになります。
これはもうすぐゴールデンタイムということで、いそいで釣りを開始します。

下山さんは私の隣に引っ越してきました。
5時前でしょうか、下山さんにアタリがあり魚が乗りましたが針ハズレでバラシました。
竿が立っていましたので、グレとすれば40cmまででしょう。
「明日もここでやりますか。できれば大津にいきませんか」と下山さんが言います。
「大津は前回一人で行ってグレを釣った釣行記がありましたね」といいますと下山さんが「そうです。北西の風が強くて地元のおっちゃんはみんな風裏の磯に」とそこまで下山さんが話したところで足元の私のウキが入りました。
合わせると、これもとんでもない引きです。

竿でためようと思いましたが、竿が海に突っ込むのをこらえきれずにレバーを緩めて糸を出しました。
竿を伸されて2回ほど糸を出したところでハリスが切れました。
この間3秒ほどだったでしょうか。
これは午前中のアオブダイよりも強烈な引きでした。
こらえても止まるような引きではありませんでした。
「やはり、大きいのは夕方に来ますね。午前、午後1回ずつ化けモンのアタリがありましたね」と下山さんがいいます。
「今日の釣りはまだ終了していなかったということですね」と私は答えました。

午後の部のはじめてのアタリがまたもや化けモンのアタリでした。
ようやく化けモンを1匹退治したと思いましたら、また次の試練です。
次から次に化けモンが出てくれるので、退屈しないでよいといえばいいのですが、毎回予兆もなく、いきなりのアタリが来ますので、構える間がなくいきなりのものすごい引き合いとなってしまいます。
「今の引きを横で見ていましたが、竿5号、ハリス10号くらいで引っ張り合いをしてもどうかというような感じでしたよ」と下山さんが言います。
ここにはまだまだ、化けモンの大関、横綱クラスが控えているようです。
もしかするとアオブダイ67cmではまだ序の口あたりかもしれません。

その後は何のアタリもなく6時30分の迎えの船に乗りました。
同じ磯に一人で上がった釣り人に聞きましたら、35cmほどのグレを1匹釣ったという事です。
夕方下山さんに来たのもそのくらいのグレではなかったでしょうか。
とりあえず今日は化けモンとの対決は1勝1敗という結果でした。
「それにしても、35cmほどのグレが釣れてほしいというささやかな願いは聞き入れてもらえませんね。なんであんな化けモンのような魚ばかり来るのでしょうか。50cmほどの魚がアタッテほしいですわ」と私が言いますと「普通四国に来て3日やってどうしようもないアタリが1回くらいのものです。毎回すごいアタリがあるということは恵まれていますよ」と下山さんはいいます。
「私もホームページの掲示板でグレの顔を見たいですとささやかな願いを書いておいたのですが、なかなか願いは聞き入れてもらえません」と下山さんはいいます。

 
                          夕方、野地島を後にして 

船が港につきますと我々は船長と長話をすることもなく、すぐにお金を払っていろは渡船を後にしました。
ちなみに料金は通し釣りで11000円プラス弁当500円でした。
道中にある一本松温泉で汗を流し、宿毛にある片島磯釣りセンターで泊まることにしました。
宿毛に9時前に到着しますと、港の付近は車がいっぱいです。
なんとか空いたスペースを見つけて、車を止めて歩いて焼肉金沢に食事に行きます。
ここは以前、鵜来島に釣りに行ったときに泊まった旅館がやっている焼肉屋です。
焼肉屋はお客さんの半分以上が釣り人のようです。
我々も帰りにお金を払うときに「釣りのお客さんですね」と当てられてしまいました。

片島磯釣りセンターでは個室は満室でしたので、700円の雑魚寝スペースに300円の布団を借りて寝ることにしました。
あまり眠らずに釣りをして疲れていた上に、焼肉屋でビールを飲みましたので、横になりますとあっという間に眠ってしまいました。

下山さんの「4時過ぎましたよ。起きてください」という声で起きます。
よろよろと寝ぼけ顔で起きて、顔を洗って宿を後にします。
大津の宮本渡船までは車で40分ほどです。
5時過ぎに大津に着きますと、先に車が2台止まっていました。
支度をして船の前に荷物を持っていきます。
今日の釣り人は我々二人を入れて9名のようです。
5時20分過ぎになり、もう1艘の船はエンジンをかけました。
少し遅れて船長がやってきました。
早速、道具を船に積み込みます。
船は煙突がついている懐かしいつくりです。

 
                大津 宮本渡船 のんびりした出船風景 

やがて5時半になり船は港を離れます。
船は港を出て右側に行き底物狙いの4人組を下ろし、次に上物狙いの3人組を下ろします。
時折ウネリが押し寄せますので3人組はチャランボウを持って磯に上がりました。

残った我々は戻って港の左側の沖磯に下りました。
これはコバエという磯です。
ここは割合に低くて足場が平で釣りやすい磯です。
今日は晴れて風がないので釣りやすいコンディションです。
波もそうありません。
「足摺岬方面を向いてやるといいよ」と船長がアドバイスします。
足元を見ますと40cmほどのイラが泳いでいます。
磯の感じは日本海のチヌ釣り場のような感じですが、足元からすごく深そうです。
右側の沖には大きな根が見えています。

仕掛けは前日と同じで0ウキの固定で始めます。
ハリス4号、ハリはオーナーのグレバリ8号です。
ウキは左向きの足摺岬方面に流れずに反対側に流れます。
潮の流れは結構早いです。
ウキは足元から右に流れて地方に向かっていきます。
エサは1回頭がかじられただけで、後はついてきます。
8時ごろになり私は同じ0ウキでも浮力の小さい尾崎ウキに換えました。
このウキですと、仕掛けがなじみますとエサの重さで沈んでいきます。
2投目くらいでしょうか、右に流れたウキが沈んでいき見えなくなったので糸を送っていますといきなり道糸をひったくるアタリです。
「おっ来た」といって合わせようとしますが合わせるまもなくアタリが来た瞬間に糸が切れました。
これはかなりすごいアタリでした。
仕掛けを回収しますとハリのチモトがねじ切れたようになっていました。
ウキゴムから60cmほど離してヨウジで固定していた尾崎ウキがウキゴムのところまで下がっています。
これは、一瞬にして伸された竿が戻った反動でウキが下にずれてウキゴムとぶつかったのではないかと思います。
深い磯で4ヒロほどでかかったと思いますので、ハリスが根で摺れたわけでも無いようです。
一瞬にして4号を切っていく魚はいったいどんな化けモンなのでしょうか。
ヒラマサの大型でしょうか。
こればかりは釣り上げてみないとなんともわかりませんね。
今回はリールのドラグがジとも言わずに、ギュンブチンという感じの一瞬のアタリでした。
大津でも私は初めてのアタリが化けモンのアタリでした。
まったく穏やかなチヌ釣り場のような磯ですさまじいアタリが来ます。

しばらくして潮が変わり左に流れ始めます。
潜っていくウキを流していると糸の出が早くなりましたのでアタリかと半信半疑でリールを巻きますと魚がついていますがそう引きません。
これは巻いている途中で軽くなりました。
またバラシたのか思って仕掛けを見ますとハリスが根擦れで切れていました。
これはもっと早くにアタリを見極めていれば捕れるようなサイズの魚でした。
どうも魚が食ってからしばらく流してからアタリに気がついたような感じでした。
やがて9時半を過ぎて弁当船が来ます。
下山さんと磯変わりしようと相談して、右手の磯に行ってもらうことにします。

次に我々が乗ったのは長ハエという磯です。
今度の磯は南紀のような感じの磯です。
名前通り長い磯で、釣るポイントは3箇所ほどあります。
私は前の磯と水道になっている場所を釣りました。
開始してしばらくして下山さんの竿が曲がりますがこれは40cmほどのキバンドウでした。
その後磯を移動した下山さんがサンノジを2匹釣り上げました。
私は1回アタリがありましたが根ズレで切れてしまいました。
これは、ウキが潮に押されて沈んでいって、しばらくして仕掛けを上げて見たら魚がかかっていて、引っ張ったときに切れましたので、そう大きい相手ではなかったと思います。
やがて3時になり迎えの船がやってきました。
今日は下山さんが外道を3匹釣り上げただけで、グレは不発でした。
私はマルボーズでした。

港につきましたら、我々の前の磯に乗っていた底物狙いの釣り人はキバンドウが2匹ということでした。
渡船料金は3時までで3500円で、弁当が500円ということで安かったです。
四国まで交通費は高いですが大津でしたら渡船料金は安く済みますね。

帰りは国道沿いの風呂に入り高知回りで帰ったのですが、淡路島で渋滞にあい明石には12時前につきました。
その時間でも、まだ宝塚方面は渋滞しているようなので、帰りも小浜回りで帰りましたが3時前に舞鶴あたりで眠くなりましたので、少し仮眠をして朝5時過ぎに敦賀に到着しました。

さて、今回の5月の連休釣行ではグレはよう釣れませんでしたが、化けモンの引きは味わえました。
化けモンとの対決、今回は1勝2敗でしたが、アドレナリンが吹き出すような強烈な引きです。
下山さんとは次回の釣りを約束して別れました。
化けモンの引きを味わおうと思えば次回もまた四国でしょうか。


TOP 釣行記index 次のページを読む