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 上野山さんからのリポート
 「番外編 釣れるまでやらしてくれる」

  越前白浜 (福井県)
   2012/07/29

 


6月にゆたきちさんとグレ釣に行こうと計画しましたが、2回とも悪天候で流れてしまい、とうとう梅雨グレを釣りに行くことができないまま梅雨が明けてしまいました。
私は、自分が主催して7月26日に地元の小さなホールでコンサートを行いました。
コンサートを主催するとなると、指に怪我をするのが怖いので7月の釣りはお休みにしました。
コンサートが無事に終わりましたら、重圧から解放されて無性に釣りに行きたくなりますが、外は35度以上の猛暑日でとても磯釣りをするという感じではありません。

そんな時タイミングよく、コンサート終了後の7月29日の土曜日に、いつも船釣にいくO君から電話があり、「明日なんだけど相棒のSさんが腰を悪くして船釣にいけないのでかわりに行きませんか」という誘いです。
私は釣りに行きたいですが、コンサート終了直後の疲れもあり、またこの暑い中釣りをするのかということもありどうしようかと考えました。
するとO君は「フカセのマダイだけでなく、よかったら夕方からイカ釣りもできますよ」といいます。私は昨年、越前白浜の船釣りでイカを釣ったことを思い出しました。
「まあ、イカやアジが釣れるんなら行きますわ」と返事します。
しかし、この暑いなか出船は午後1時ということです。

翌日、日曜日の11時にO君が家まで迎えにきてくれました。
O君は相変わらず大荷物で大きなクーラーを2個持っていくというので私のクーラーは置いていくことにします。
私は予備竿も持たずに手巻のリール1個と3.6mのフカセの竿1本だけにしました。
途中コンビニで食料を買い白浜には12時30分に到着しました。
暑くていい天気のためか途中の海水浴場はどこも満員でした。
暑い中、冷房の効いた車を出て服を着替えます。
私は鮎釣りの長袖シャツに鮎釣りの菅笠をかぶりました。
今日は長靴を履かずにサンダルで釣りをすることにしました。
O君は長袖の作業着に白い長靴を履いています。

道具を船に積み終えてしばらくすると船長がやって来ます。
挨拶をしますと「昨日は潮が早くて釣れんかった。イカは潮が早いとのらんよ。アジなら小さいのがサビキで釣れた。お客さんは、わしの釣ったアジを50匹ほどお土産に持って帰った」と言って生簀の蓋を開けますと15cmほどのアジが5,6匹泳いでいます。
これでは、今日の釣りは厳しいと思いました。

やがて1時になり船は港を出ます。
敦賀方面に20分ほどゆっくり走り水深35mほどのところでアンカーをいれます。
「以前潮が早いときにここで釣れたことがあるんで1回やってみてください」と船頭がいいます。
仕掛けを作って船からオキアミを撒きますとオキアミはかなりの速さで後ろに流れていきます。
私のフカセの仕掛けはいつもながらにシンプルです。
3.6mの竿にシマノの小型の手巻両軸リールで、道糸は8号、ハリス5号を4ヒロほど取り、サルカンで道糸とつなぎます。
ハリは1本でガマの小鯛バリ13号としました。
この仕掛けをリールをフリーにして潮の流れにのせて流していきます。
アタリはリールのスプールから勢い良く糸が飛び出しますのですぐにわかります。
いかに、船から撒くオキアミと同調するかがポイントです。

1投目はあっという間にリールから糸が200mほど出ます。
230mほど流してリールを巻きますとハリにエサが付いています。
これは仕掛けが沈んでいなかもしれないと思いサルカンを2個にしました。
O君は電動リールのフカセに使えるものを使用しています。
さすがに200m流して空振りで巻くのは電動リールの方が楽だと思いました。
O君もエサが残るのでサルカンを増やしています。
わたしは2投目もエサが残りましたのでサルカンのところに磯釣りで使うBのオモリを打ちました。
3投目もエサが残りBのオモリを追加します。

4回目は仕掛けを250mほど流して回収しますとようやくエサがとられました。
「この潮は今までで一番早いですわ。リールの表示では1分間で30m糸が出ています」と電動リールの表示を見てO君がいいます。
1分間で30mとなると250m流すには約8分かかります。
仕掛けを回収する時間も5分ほどかかりますので、これでは1時間に4回ほどしか仕掛けが流せません。
これでは効率の悪い釣りになります。

8投ほどした時でしょうか、O君が「何か釣れたみたい」と言って仕掛けを上げます。
上がってきたのは20cmほどのマダイです。
ハリを飲んでいましたのでこれはシメてクーラーに入れます。
「とりあえずボーズ逃れましたね」と言いますと「これは釣った内に入らんでしょう」とO君は言います。
時刻は4時になりますが二人ともいいアタリはありません。

わたしは暑い中、なにかの作業をするような感じで釣りをしました。
マキエのオキアミをシャクで撒いて、ハリスを張って仕掛けを流し始め、あとはリールの糸の出を見ながら250m流して、そこでしばらく止めて、今度は250mリールの糸を巻き取るということを繰り返しました。
これが仕事なら、かなりのハードワークです。
炎天下の中で時給800円ではとてもできません。
「あと1回やってダメなら場所を変わろう」と船頭がいいます。
時刻は5時前です。
私は場所を変わったほうが気分も変わると思いました。

場所を変えるためにアンカーを上げた船は、今度はかなり港の方に戻ります。
今回もかなり浅い場所で30mほどです。
オキアミを撒きますと浮くオキアミがあるのかカモメがやって来ます。
私が仕掛けを30mほど流したときに道糸が走ります。
「オ、来たけど30m程しか出とらん。青物かもしれん」とO君にいってリールを巻き始めますと手応えはあまりなく、糸が上に向かって引っ張られるような感じです。
船の後ろではカモメが暴れています。

アア、なんと私の初ヒットはカモメでした。
幸い餌を食べたのではなく羽に道糸が絡んだようでした。
カモメを寄せて来ますとO君が「前回もカモメが引っかかってきてはずそうとしたら手を嘴でつつかれて怪我をしました。タモでおさえます」と言ってタモを出してくれました。
私はO君がタモを頭からかぶせて抑えてくれたカモメから羽に絡んだ道糸を外しました。
ほかのカモメが「なにしとるんかな」といった感じで近くを飛んでいきます。
糸を外したカモメは元気に飛んでいきました。
「カモメでタモを使ったのが最初で最後にならんといいけど」とO君は笑っています。
私はカモメを外したときに、カモメの胴体に触りましたら妙に暖かかったことが、なにか昔の記憶にあった感触と似ているなと思いましたが、最後までどうしてこんなことを思い出したのか、わかりませんでした。

さて、夕方の6時前になっても状況は変わりません。
相変わらず、私はリールの糸を250m出して250m巻くという作業を続けていました。
我々の釣っている、はるか沖を北海道から敦賀に向かっていく大きなフェリーが通り過ぎていきます。
「釣れないけど海の上にいるとやはり気分転換になりますね」と私はフェリーを見ながらO君に言いました。
「全然アカン時は、フェリーが通る前に帰ることもありますがどうします」とO君が聞いてきます。
幸い夕方になり北風が吹いて過ごしやすくなってきましたので、私はもう少しやってみようという気になりました。
それに磯釣りでは太陽が水平線に隠れてからがゴールデンタイムです。

7時になり太陽が水平線に隠れました。
やがて、私のリールから200mほど道糸が出たときにブーンと勢い良く糸が引き出されます。
「ようやく来ました」と言って合わせますと、これは何か大きな魚がかかっています。
O君に「200mほどで来ました」といいます。
なんとかハリスがつかめるところまで魚を寄せますとこれは青物のようです。
バシャと海面で尾鰭が跳ねましたが、そのときにバレてしまいました。
これは70cmほどのハマチではなかったかと思います。

「さて時合が来ましたよ」と言ってマキエをして仕掛けを流します。
次も200mほど流して道糸が走ります。
今度かかったのはマダイで船から30mほど後ろで海面に浮いてしまいました。
これは62cmほどのサイズでした。
私がマダイを外していますとO君もアタリがあったということです。
O君は150mほど流してアタッタと言っています。
O君も同じく60cmほどのマダイです。
私も次に52cmほどのマダイが掛かりました。
O君と私と交互にマダイが3匹ずつ掛かりました。

その後は4回ほど流しましたがもうアタリはありません。
結局日没から1時間ほどが時合だったようです。
O君が試しに出したイカの仕掛けにはイカは乗りませんでした。
やがて、時刻は9時前になり船はアンカーを上げて港に戻りました。

港に帰りますと、いつもより長時間釣りをしたのにもかかわらず、船長はいつもと同じ料金でいいといいます。
まあ、顔なじみですので良くしてくれるのでしょう。
しかし、なぜか私はこの船では高確率で鯛が釣れます。
昨年もO君と来てマダイの入れ食いになったことが思い出されます。

暑さと長時間の船釣りで疲れていましたが、鯛を釣り上げて少し高揚した気分になった二人は「これが7時までで上がる船でしたらボーズでしたね。釣れるまでやらしてくれるからあの船はいいですね。秋も青物狙いでぜひどうです。どこかで時間をつくりませんか」などと、次回の釣行のことなど話しながら敦賀に帰りました。

 
                     自宅に持ち帰った52cmのマダイ



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