TOP 釣行記index 次のページを読む
上野山さんからのリポート
「ドラグからドンドン糸が出て行く引き」
泊 (福井県)
2015/05/06
|
|
ゴールデンウイークの連休最終日の5月6日に、Sさんと二人でまたもや泊に釣行いたしました。
5日は北風が強く渡船は出なかったということです。
6日は風が南に変わって海は凪ぐようです。
私は5日の夕方に大谷渡船に電話を入れて、いつものように11時30分の見回り船の予約を入れました。
6日の朝10時ごろにサンスイ釣具店でエサを購入して、11時20分ごろに渡船屋に到着いたしますと駐車場はいっぱいです。
連休最後の日ですのでお客さんは少ないのかと思いましたら、意外に多いようです。
船頭に今日は何人くらいですかと聞きましたら、すでに10人ほど磯に渡っているということです。
用意を済ませて軽トラックに道具を積み込み桟橋まで歩いていきます。
前日の5日は快晴で北風が吹くさわやかな日でしたが、今日は南風の薄曇りです。
前日の波も南風で収まったかと思いましたら
「今日の朝はまだ波が残っていて、乗れない磯もありました。長崎も磯着けできませんでした。凪いできましたのでよかったら長崎まで行きますか」という船頭の話です。
「長崎」は大グレの実績のある磯です。
ここに乗れるということで、今日の獲物はチヌではなくて大グレだというふうに勝手に思い込んでしまいました。
港を出ますと、チヌ狙いの釣り人でしょうか、いつもは人がいない「三つ岩」、「コウモリ」、「小山」、「水頭」に釣り人がいます。
「コウモリ」の釣り人が大谷渡船のお客さんでしたので船頭が釣果を聞きましたら、チヌを4枚釣っているということでした。
チヌ狙いならそろそろ港の近くがよくなってきているのかもしれません。
船は釣り客の帰りの時間、釣果などを聞きながら奥の磯に向かいます。
やがて、泊でもっとも大グレが釣れている「ヒナダン」に到着しますと釣り客が磯変わりしたいということです。
どうして、このA級磯から変わりたいのかと思いましたら「小アジがわいてしまって、釣りになりません。横のチョボに変わらせてください」ということです。
小アジとはこれは大変なエサトリだということでSさんと顔を見合わせます。
「千畳」にも大谷渡船のお客さんが一人いました。
サングラスで分かりませんでしたが、どうやら彼は依然話をしたことがある滋賀県のY君です。(ゆたきちさんではありません)
Y君に船から「アジはいますか」と聞きますと、「アジはいないし、スズメダイもそれほど気になりませんがフグが厄介です」ということです。
アジがいないということで我々は「千畳」の横の「長崎」に上がることにしました。
|
「長崎」からみた「千畳」、中央の波が上がっているところです。
|
「長崎」は昨年の10月にグレの数釣りをした磯です。
ここに上がるのは3度目です。
Sさんが船着きで竿を出し、私は少し右手で竿を出しました。
仕掛けは前回と同じです。
竿はガマカツのレイダム1.5号で、3Bのウキを遊動にしてハリス2号、グレバリ7号、ウキ下4ヒロで始めます。
足元にマキエを打ちますとさっそくスズメダイが出てきますが、泳ぎにスピードがあります。前回の「門の鼻」のスズメダイよりも活性が高そうです。
足元に打ったマキエに数十匹のスズメダイが群がります。
これでは足元を釣るのは難しいかなと思います。
いつも開始早々チヌを釣るSさんも今日は苦戦のようです。
潮はゆっくりと右手に流れます。
足元にマキエを撒きますと流れるマキエと一緒にスズメダイも右に移動していきます。
お互いに竿4本ほど沖にウキを投入しますが、沖に投げますとエサは残ってきますがマキエが効いていないような感じです。
足元にマキエを打ってスズメダイを集めてから沖にウキを投げ、仕掛けが馴染んだころにこんどは沖にマキエを打つというような釣り方をしますが、釣れてくるのはフグばかりです。
仕掛けを上げるとハリが無いこともありました。
2時半ごろにSさんが38cmほどのチヌを釣り上げました。
どこで掛かったのかと聞きましたら足元の根の際ということです。
マキエでスズメダイを一か所に集めて、足元にウキを落としていたら何回目かでウキが入ったということです。
やはり、魚は沖よりも足元にいるのでしょうか。
私も足元狙いだと思い、マキエをなんどか同じところに打ち、スズメダイが集まったのを確認してから、潮下のスズメダイがいないところにそっとウキを投入します。
ウキの着水の音を聞いてウキのほうに行こうとするスズメダイを止めるために、さらにマキエをスズメダイの中に打ちます。
この釣り方ですとかなりマキエは使います。
しかしこの釣り方でやってみましたら、何度かに1回はエサがスズメダイにとられずに落ちます。
エサがよくとられますので私はウキ下を上げて3ヒロ半としました。
この釣り方をして30分ほどして、ようやくフグ以外のアタリがありました。
足元を流れていたウキがサラシに押されて潜り、見えなくなってから合わせますと魚が掛かりましたが、そう手ごたえもなくすぐに上がって来ました。
これは、30cmほどのカンダイの子供でした。
|
3時ごろ釣れたカンダイ
|
Sさんは4時ごろに30cmほどのチヌを1匹追加しましたが私にはカンダイ以降なにも釣れません。
4時半ごろになりカンダイの時と同じようにサラシに押されてウキが潜りました。
ウキが水中で見えなくなってから合わせますと魚が掛かりました。
これはかなり大きい手ごたえです。
頭を振る引きで竿にゴンゴンといった感じで魚の引きが伝わります。
「ハハーこれはチヌだな」と思い私は磯の前にもいかずにその場でリールを巻こうと竿を起こしました。
ところが竿を起こしている時に魚が足元に突っ込み竿が伸されます。
エッと思ってレバーを緩めて糸を出してやり取りをしようと思いましたら、魚は足元の根に沿って動きます。
これはチヌではない大物かと竿を沖側に出して糸を根から離そうとしましたが、動作が遅れてハリスが根に触れたのか竿が跳ね上がりました。
2号のハリスを見ましたら下のほう30cmほどがザラザラになっていて、切れたあたりは伸びてしまい細くフニャフニャになっています。
Sさんが「ようバラスなあ」と言いますので、Sさんに切れたハリスを見せましたら「ウーンこの切れ方ではチヌではないな」と感心しておりました。
12時から30cmのカンダイのアタリ1回しかなくて、4時半にいきなりの予想もしていない大物のアタリということで、何の心の準備もしていなかったのでこれは完全に体制が遅れてのバラシでした。
しかし若狭湾でこんなすごいアタリがあるものでしょうか。
掛かった時はゴンゴンという暴れる引きでしたので、一気に突っ走る引きではありませんでした。
我々の磯の手前にある「二つガメ」ではこのところ40cmほどの石鯛も上がっているということですので、こいつかもしれませんし、先ほど釣ったカンダイの親かもしれません。
釣り上げないことには何とも言えませんが、かなりの引きの魚でした。
私は気を取りなおして、ハリスを新しく張り替えました。
ハリスを替えていましたらSさんが何か掛かったと言って竿を曲げていますがすぐにウキが出てきます。
上がってきたのは30cmほどのシマダイです。
「これは抜けるのではないですか」と言いましたらSさんは魚を抜きあげていました。
私はもう一度来ないかと同じようにスズメダイをマキエで集めて、スズメダイのいない潮下にそっとウキを投入しました。
このやり方を30分ほど続けたでしょうか、投入したウキが5mほど流れたあとでシモッて行きますが、海の中でかすかに見えるところで止まっています。
根掛かりかと思ってそろりと竿を上げてみますと魚がついています。
合わせていないので合わせをいれますとこれも大物です。
今度は右側の根に沿って一気に沖に向かって走ります。
今度は大物に備えて準備しておりましたので、磯の前に行き竿を魚と反対側に倒しながら磯から糸を離す感じでやり取りをします。
ものすごい力の魚ですのでとても竿は立ちませんが、伸されない程度にブレーキを緩めて少しだけ糸を出します。
竿に角度がついていましたので、ブレーキを握って糸を出さずに魚を止めようと勝負しますと竿が引っ張り込まれて、ドラグからジージーと糸が引き出されます。
ここで、ブレーキを緩めて竿を立てる分だけ糸を出すか、ドラグ任せで耐えるか迷いますね。
でも糸を出せばどこまでも出してしまって根ずれで切れる確率は高くなりそうです。
ここはシマノのリールのメカを信頼してドラグ勝負だと、やや竿が伸され気味でしたがレバーを握りしめました。
こんなドラグからドンドン糸が出て行く引きは、とても若狭で体験できるとは思っていませんでしたのでビックリしました。
魚が掛かってからは、竿の角度や、体の態勢や足の位置、レバーブレーキの調整など、いろんなことを一瞬で決めなくてはいけないので頭もフル回転しています。
5秒くらいドラグ任せで強い引きに耐えていましたがフッと竿が軽くなります。
いつものバラシの後で緊張感が緩んでいく、フワーッとしたような虚脱感が今日もやってきました。
仕掛けを巻き上げますとなんだか軽い感じでリールが巻けます。
沖を見ますと私のウキが流れています。
今回は魚と引き合いをして道糸3号のサルカンの結び目から切れたようです。
ハリスは張り直したばかりですので切れなかったのですが、道糸3号は釣行4回目の使用でした。
チヌ釣りでしたら道糸を毎回10mほど切って使えば持つだろうと、変えなかったので切れたのかもしれません。
道糸の切断面を見てみましたらわりときれいに切れていました。
根ずれではないと思いますので引き合いで切れたのでしょうか。
竿はきれいに曲がっていましたので、竿の弾力もまだ十分ありました。
リールのドラグの機能もありましたので何とも不思議なバラシでした。
今回は一気に突っ走る魚でしたので、真鯛の大物か青物かもしれません。
ジージーとドラグから糸が引き出される音が耳に残りそうです。
ウキの付いていない風になびいてヒラヒラする道糸を手繰っておりましたら「千畳」に5時に迎えに来た船が磯に寄ってきました。
「釣れていますか? 40cmのグレは出ませんか」と船頭が言いますので「たった今バラシました。道糸から飛びました。チヌではないと思います。Sさんはチヌ2枚釣りました」と答えました。
「エッ、バラシタ・・・がんばってそいつを釣り上げてくださいよ」と船長は言って「千畳」の釣り人を迎えに行きました。
「ハリス2号では無理だったかな。でも若狭のチヌ釣りでは3号はよう使わないでしょ」と言いましたら、Sさんはバラシタ光景を横で見ていたということで「あの竿の曲りを見ていたら、4号のハリスでももたんような引きやったぞ。いちおうタモを用意しようと思ったけど、見ていてとても獲れそうに思えんかった。3連勝のあとはバラシの上野山復活でよかったんじゃない」と言っていました。
その後は終了の6時半までなにも釣れませんでした。
なぜか6時前からはウキが入るとガシラが釣れてきました。
しかし、2度もバラスとは悔しいものです。
2回目は大物に備えて心構えもできていましたし、竿もそれほど伸されなかったし、リールのドラグの調整もよくて限界近くで糸が出ましたので準備はよかったのですが、私の腕では獲れない魚だったのでしょう。
港に戻りましたら「コウモリ」に乗っていた釣り人が49cmを頭に10枚ほどのチヌを釣っていました。
やはり、チヌを釣るのでしたら港の近くがよくなって来たのでしょうね。
私は今シーズン4回の若狭の釣行で、3回もどうしようもない引きで魚に切られました。
千畳に乗っていたY君は以前話した時に「上野山さんの釣行記ではよく切られますが、私は泊ではそんな目にあいませんよ」と言っていましたが、なぜか私はよく切られます。
そういう運を持っているのでしょうか、ちなみに相棒のSさんは若狭で私と何十回となく一緒に磯に上がっていますが、私と釣りをしていて一度も糸を切られたことはありません。
今回のように、Sさんの横で釣っている私は高確率で切られています。
Sさんが若狭で釣りをしていて切られたのは、もう30年近く前に1回あるだけということです。
これも不思議なことです。
船頭に「長崎で切られる人は多くないですか。あそこは何か大物がいますよ」と聞きましたら、「この前にあそこでヒラマサの55cmが上がっているけれど、バラした話はそう聞かないね。それにしても上野山さんはよう切られるなー。今度は大物を釣りに来てくださいよ」と言われました。
渡船屋から出るときにサンスイ釣具の若旦那に「バラシ2回で1回はドラグ逆転しました。チヌ釣りしていてそんな引きの魚が掛かるとは思いませんでした。結局チヌは釣れずにボーズでした」と電話で報告しましたら、「そりゃ面白い目にあいましたね。チヌが釣れるよりよっぽど良かったんじゃないですか」と変に励まされてしまいました。
今回でSさんは4連勝しましたが私は3連勝で終わってボーズとなりました。
いつものボーズ釣行記、かつバラシ有で私らしい釣行記となったしょうか。
私の今までの3連勝はやはり仮の姿でありました。
次回も大物が掛かってバラスという、いつもの釣行記となってしまうでしょうか。
TOP 釣行記index 次のページを読む
|