TOP 釣行記index 次のページを読む

 上野山さんからのリポート
 「終了間近に3回もバケモノの引き

  武者泊 (愛媛県)
   2016/01/27

 

1月27,28日と2日間、今シーズン初めて四国の愛媛県武者泊に釣行いたしました。

同行者はサンスイ釣具店のご主人のM君、それにぐれねっとの釣行記NO199「またもや、くだんの波止場に」で私の隣で竿を出したT君、もう一人今は金沢にお住まいですが、以前敦賀に住んでいた時にはサンスイ釣具店の常連で、店のチヌ釣り大会で2回優勝をしたこともあるTさんです。

Tさんは今年75歳ということですが、魚釣りが好きで、一人でも金沢から四国に行くということです。
ただ高齢ですので運転が疲れるということで、できることなら誰かと一緒に行きたいということです。
M君が連絡を入れましたらいつでも一緒に行くということでした。 

最初は1月25日の夜に出て、26日から釣ろうという計画でしたが、24日は沖縄で初めて雪を観測、奄美大島で115年ぶりに雪が降るという大寒波が西日本に来襲して、四国も雪のために高速道が通行止めになりました。
愛媛県の国道では、雪道で動けないトラックに食料を差し入れする映像が全国ニュースでも取り上げられました。
これでは明日も途中の道が止まっているかもしれないということで、出発を1日遅らせました。 

1月26日の6時過ぎにM君がいつものボルボのワゴンにジェットバックを2個積んでやってきました。
ワゴン車1台に4人乗りますので、皆さん極力荷物は少なくしての釣行です。
片方のジェットバッグに私の竿とカッパ、磯靴を積み込んでいざ四国に向かって出発です。 

今回は舞鶴道から瀬戸大橋を通って四国に入るということです。
車の運転はM君とT君がしてくれるということですので、私とTさんは後部座席で世間話などしていました。
車に乗っているだけで四国に到着できるとは、ありがたいことですね。 

武者泊のいろは渡船の駐車場には午前2時過ぎに到着して、3時頃には仮眠所の布団に入りました。
仮眠所には我々4人しか泊まらないようです。
お互い、いびきがうるさいので我々は4隅に離れて寝ました。 

朝6時前に起きて着替えをして港に向かいます。
寝る前にM君がエサを溶かし網に入れて海水に浸けてくれていましたので、各人溶けたボイルのオキアミを受け取ります。
「これはなんという親切な釣具屋や。釣具屋の鏡やな」と私はその場限りのお世辞を言いました。 

6時40分にいろは渡船に乗り込んだのは、我々4名以外にいろは渡船の常連のSさんの2人組だけです。
船はゆっくりと沖に進み、やがてガマゴウラまで来ます。

M君が船長と話をして「今日は、奥のほうの磯は風が当たるので手前に乗ってほしいということです」と言います。
Tさんは座って釣りをする場所がいいのでガマゴウラでいいと言います。
誰が一緒に下りるかということですが、M君は前回もここで釣っているので別の場所に上がりたいと言います。
では私が行きましょうということで、私は75歳の老釣り師のTさんとガマゴウラに上がりました。
私はTさんと釣りをするのは初めてです。

ガマゴウラで支度をするTさん 75歳の釣り師



私の今日の道具立てです。
竿はがまかつのアテンダーU1.5号、リールはシマノのブレーキ、ドラグタイプの4000番のものです。
道糸4号にハリス3号を2ヒロ直結しました。
ウキは釣研の小さい0ウキをヨウジで止め、ウキの30cmほど下に黄色の潮受けゴムを着けます。
ハリはオーナーのグレバリ、ザ・ROCK7号です。
ウキ下は3ヒロ弱としました。

何故に道糸4号にハリス3号にしたかと言いますと、アテンダー1.5号はハリス4号まで対応しているようですが、買ったばかりの竿でキバンドウやコロダイなどの怪力の魚を掛けて折ってしまってはかなわないので、ハリスから切れるようにと3号としました。
それなら2号の竿と4号のハリスを使えばいいのですが、前回音海で1日やってグレが釣れなかったので、今回はぜひともグレを釣りたいということで竿1.5号、ハリス3号としました。
ゆたきち師匠が二木島で50オーバーのグレを釣り上げたときに、「アテンダーUは60オーバーのオナガグレも獲れるそうですよ」と話していたことも頭の隅にありました。
ここはひとつ四国で1.5号の竿を使ってみようと思いました。 

磯に上がって支度を済ませましたら7時20分頃になりました。
今日は満潮が8時半です。
しばらく潮が満ちて、その後はお昼にかけて引いていくという潮回りです。

Tさんが船付の右側に座って釣りをして、私は少し離れて左側から竿を出します。
天候は曇りで北の微風です。
海は少しウネリがあるようです。
足元にマキエを打ちますとゆっくりと左前に流れます。


磯の夜明け やはり磯釣りは非日常の世界ですね


この磯は昨年2月にM君と上がった時も引き潮でした。
その時は当てて来て左に流れる潮でしたので、ウキが入ったのはツバメ魚の1回だけという残念な結果となりましたが、今日は左沖に潮が出ますので釣れそうな感じです。 

ウキを足元に投入しますが、1投目から着けエサが取られます。
先に釣りをしていたTさんにどうですかと聞きますと、やはりエサが取られるということです。
足元ではエサが取られ続けますので竿1本ほど沖にもウキを投入しますがエサは残りません。
ハゲ系の魚でしょうか、エサが頭だけ取られてボロボロになって上がって来ます。
船長が「寒波が来たけれどもそう水温は下がっていないよ」と言っていたことを思い出しました。
エサ取りはすごく活発です。
私は少しウキ下を上げて2ヒロ半ほどにしました。 

8時過ぎになり「オ、来ました」というTさんの声で横を見ましたら竿が満月になっています。
Tさんは座ったまま引きに堪えています。
竿が伸されそうになりますとブレーキを緩めて糸を出しているようです。
竿の穂先は海につかりそうです。
魚は徐々に寄ってきますが、寄せている途中で何度か鋭く引き込みます。
これはグレではないような引きでした。
やがて足元に魚は寄ってきましたが、足元の根沿いに潜ろうとします。
これは磯の前に出てやり取りをしないと足元でこすれて切れるのではと思いましたが、Tさんは座ったままで、魚が引き込むと竿を前に倒してうまい具合に道糸が磯に当たらないようにしています。
やがて魚は力尽きて海面に上がって来ました。
上がって来ましたのは、見た目40センチはある石鯛と言ってもいいようなきれいな縞目の魚でした。
私がタモを出して掬いました。
Tさんは石鯛が釣れたというのに、特別に喜びを爆発させるわけでもなく「この魚はよく引きましたわ」と言って淡々としています。
この魚は港で測りましたら44cmでした。
氷で締めていましたので、釣り上げたときは45cmほどではないでしょうか。


44cmの石鯛を釣り上げたTさん


Tさんにウキ下を聞きましたら3ヒロ弱ということです。
よし今が時合だ、次は私の番だと意気込んでウキを投入しますがエサが取られるばかりです。

その後は10時ごろまで二人とも釣れない時間が続きます。
潮は引き潮となり、だんだんと早く左に流れだしました。
私は、足元はエサトリだらけでアカンと思い沖に仕掛けを投げようと思いました。 

ウキを3Bに替えてサルカンの上に3Bのオモリを噛みつけ、ハリスにジンタンを2個打ちます。
ウキ下は少し下げて3ヒロにしました。
マキエを足元と竿2本ほど沖に打ちウキを竿3本ほど沖に投入します。
仕掛けが着水しますと、仕掛けを止めてハリスを張り、着けエサが先行するように仕掛けを流します。
5回ほど流したときでしょうか、サラシに押されて少しシモッたウキが速度を上げて入ります。
合わせますとゆっくりとしたグレの引きです。
大事に寄せてタモで掬いましたのは38cmのグレでした。
私は10時半ごろになりようやく1匹目のグレが釣れました。

 

私に釣れた1匹目のグレ38cm


その後、同じ釣り方で沖を流して44cmまでのグレを3匹追加しました。
ウキ下は2ヒロ半から3ヒロ半までいろいろ変えてみました。
Tさんも左側のサラシの向こう側で40cmほどのグレを1匹釣りあげました。
私にはサンノジやアイゴも掛かりました。
Tさんもアイゴが掛かり退屈しない程度に魚が竿を絞ってくれました。
アテンダーUでは今まで30cmほどのグレしか釣っていませんでしたが、40cmのグレやサンノジを釣り上げても穂先はよく曲がりますが胴で受け止めて、しっかり耐える竿という感じがいたしました。

 
 釣り上げたサンノジ40cm

1時頃でしょうか、竿2本ほど沖に投げたウキがバシュと入り、これは怪力の魚が来たかと合わせますとものすごい引きです。
竿は一気に水面に向かって引き込まれます。
リールのドラグが滑ってジャーという音を立てて道糸が出ます。
魚は右手のTさんの足元に向かって走りアッという間にハリスの中ほどから切れました。
とても竿は立ちませんでした。
良く竿が折れなかったものだと思いましたが、最初のもくろみ通りハリス3号から切れました。
「これはとても獲れる魚ではありませんわ。でも横に走ったので2秒ほど持ちました」と言って私はTさんと顔を見合わせて笑いました。
「こんな時は笑うしかありませんな」とTさんも言って笑っています。

その後左に流れたウキがサラシに押されて沈んでいき、赤いウキが沈んで滲んで行って見えなくなったと思った瞬間に竿が引き込まれて、竿に魚がのったと思った瞬間に4号道糸が切れてしまいました。
これは竿が充分に曲がる前に切れたという感じでした。
ヒラヒラする道糸を見てTさんが「ここは大きい魚がいますな」と感心しています。
飛んだウキは早い潮の流れに乗ってすぐに遠ざかってしまいます。
気を取り直して仕掛けを作り直して沖にウキを投入しますと、またもウキが潜って消えた瞬間に道糸が飛びます。
そして、またウキを流してしまいました。

今日は終了間近に3回もバケモノの引きが来ましたが、2回は竿が曲がる前に4号道糸が一瞬で切れるというものすごいものでした。
今まで30cmのグレしか釣り上げていなかったアテンダーUもビックリしたのではないでしょうか。

やがて1時半になり我々は道具を片付けました。

 
初日の私の釣果 グレ38cm〜44cm 4匹

今日は野地に上がったS君とT君もグレを釣っていました。
野地の横のフタゴに上がったSさんたち2人組は、なんと見た目35cm〜45cmのグレを27枚も上げていました。
Sさんが磯から降りるときに荷物を受け取りましたら、いろは渡船のクーラーがありましたので聞きましたら、9時ごろにすでに持ってきたクーラーが一杯になってしまったので、渡船に頼んでクーラーを磯まで運んでもらって借りたということです。

これは、何ともすごい釣果です。

釣ったタナを聞きましたら2つから2つ半ということです。
9時頃と言えば私はまだ1匹もグレを釣っていませんでした。
M君も9時ごろにはグレは4枚ほど釣ったということでしたので、今日は手前の磯のほうがよく釣れたのではないでしょうか。
あるいは私が10時まで足元にこだわって釣りをしなければ、私ももっと釣れたのかもしれません。

我々の初日の釣果です。
私はグレ38cm〜44cm4枚
Tさん 石鯛44cm1枚、グレ40cm1枚
M君 グレ40cm〜51.5cm7枚 石鯛40cm 1匹
T君 グレ40cm〜45cm 4枚になぜかキバンドウを持って帰りたいということで、キバンドウ50cm1匹
4人でグレは16枚でした。

我々は着替えをして1本松温泉で汗を流しました。
私は温泉の帰りに松岡漁具に寄ってもらい、釣研の3Bのウキを補充しました。
ハリもなくなりましたのでオーナーのザ・ロック7号と、がまかつの口太グレ7号という少し細めの針を購入しました。

スーパーで食料とアルコールを買って仮眠所で反省会ならぬ祝勝会をしました。
船頭さんが昨日よりも水温が上がったといっておりましたので、今日は魚の活性が上がったのでしょう。
初日でM君の持ってきた大きめのハードクーラーが一杯になってしまいました。
明日、2日目は各自、自分の磯クーラーに入る分だけ釣ろうということになりました。
今日は何ともよく釣れた初日となりました。
4人で来て全員がグレを釣り上げるたことは今まで無かったかもしれない、という話なども出て反省会は盛り上がりました。

そのうち敦賀のU君からT君に電話がかかり、私は電話を代わって「怪物に切られてウキも2個流したし、リールから煙が出そうな引きが来たで」と自慢しました。

酒盛りの途中で私は「3回もどうしようもないアタリが来てアンナものはハリス5号でも、とても獲れないと思うので明日も竿1.5号、ハリス3号でやります。怪物の引きはもうたくさんです。ウキも2個流したのでもう掛かってほしくないですわ」と言いましたら
「だいたい1.5号の竿でハリス3号なんて四国をナメているわ。ここまで来たら怪物を仕留めることが面白いんじゃないの」とT君に言われました。

M君も「私も今日は1回だけですが、一気に竿を引き込まれてアットいう間に切られましたが、たまに魚が止まることがあります。そこから勝負すれば怪物も取れますよ」ということです。
実際M君は以前、60cmほどの大きなコロダイなどもここで上げています。
T君は狙っていたキバンドウが掛かって上げることもできたので、ひとまず満足ということでした。
明日はもっと大きいバンドウを獲りたいと言っております。
彼はグレ釣りというよりも大物の引きを味わいたいということのようです。

M君が「上野山さん明日も口太グレ狙いでハリス3号でしたら、道糸も3号で充分ですよ」と言いますので、明日は道糸ハリス共に3号の口太狙いの仕掛けで臨もうと思いました。
M君とT君は若狭湾では味わえない強烈な引きの魚を仕留めたいということで、明日も竿2号、道糸ハリスともに4号でやるようです。
私と上がりましたTさんはマニアックなハリス3.5号を使っています。

魚を釣り上げた後に飲むお酒はおいしいですね。
なんだかひと仕事終わったような充足感がいたします。
今日は魚も釣ったので、明日は釣れなくともよいので、今迄に上がったことのない磯に上がろうかという話となりました。

皆さん疲れていましたので8時ごろには布団に入りました。
布団に入ってから眠りに落ちる一瞬前、みなさん今日の釣りを振り返って、笑みを浮かべながら充実した眠りについたこと思います。


TOP 釣行記index 次のページを読む