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 上野山さんからのリポート
 「なんでこんなことをしているのだろう

  若狭大島 (福井県)
   2020/03/08

 



若狭大島のビッグワン渡船は出船が朝の6時ということです。
Fさんとはサンスイ釣り具に朝4時に待ち合わせました。

前日は小さいほうのチヌを持って帰って刺身で食べたのですが、さすがに4時間ほど前まで生きていた魚ですのでコリコリしていておいしかったです。
日本酒も飲んで9時には寝ましたが、どうも目覚ましをかけますと早く目が覚めてしまいます。
1時ごろに目が覚めてしまい布団で横になっていました。
うつらうつらしましたら3時の目覚ましが鳴って布団から出ました。

朝ご飯を食べて着替えをします。
外は雨が落ちる音がしていますので、予報通り雨雲が接近しているのでしょう。

サンスイ釣具店に4時前に到着してマキエを作ります。
Fさんもしばらくして到着しました。

道具を車に乗せていると店が開きサンスイのご主人が顔を出します。
「2日前の予報よりは天気は悪くなったな。雨は昼頃まで残るし北風も吹くと思うよ」ということです。
雨の中支度をしながら、なぜにこんな日に釣りに行くことになったのかと思いましたが、昨日久しぶりにいい魚の引きを味わってその勢いだったと思います。
人生、上り調子の時は勢いで駆け上がるものですが、私はなにぶん60歳を過ぎていますので、もう人生の勢いは無いのではないでしょうか。
2日目の若狭大島の釣りは、天気を考えますと私には無謀な挑戦のようにも思えました。
若狭大島へは車で1時間半もかかりませんが、今まで一度も釣りをしたことがないので一度行ってみようという気持ちもありました。
まあ、初めてですのでボーズでも勉強という気持ちもありました。

例年若狭大島では3月に渡船が再開されます。
再開時には、大飯原発の温排水が流れる「かけうら」周辺の磯で良型のグレが釣れます。
Fさんも2年前に平日に「かけうら」で40pのグレを2枚釣りあげています。
その周辺以外の磯では3月は水温が低いためか、あまり良型のグレは出ないようです。
もちろん日曜日で20名も釣り人がいると、「かけうら」は常連さんが下りるので、我々はよくて沖の「モトドリ島」に下りられるかなと思いました。

4時過ぎにサンスイを出て、雨の中運転をしてビッグワンには5時半ごろに到着しました。
港のすぐ横に駐車場があるので荷物を運ばなくてよいのが楽ですね。

6時15分前頃から皆さん車を出て支度をはじめます。
Fさんとはこの天気では10人も釣り人はいないのではないのかと話していましたが、駐車場には10台近くの車が止まっていて、釣り人も20人ほどいるようです。
皆さんこの雨の中釣りに来るとはなかなか熱心な方ばかりですね。

出船の10分ほど前に荷物を船に積み込み6時過ぎに船は大島の港を出ました。

我々は船の後ろのほうにいたのですが、周りは福井のクラブの方が6人ほどで来ているようでした。
皆さんサンラインなどの黒のレインウエアーを着ています。

船はスローで港内を出ていき「赤礁崎」を出ますとウネリで揺れ始めます。
原発の吸水口を過ぎて排水口の近くまで来ますと「低いところはかぶっているな。今日は北風が強くなったら撤収やで」と船長が言います。

船は「かけうら」を通り越してまず「ヘラ岩」に3名を下ろし、ヘラ岩の5番にチヌ釣りの人を下ろし、ヘラの三角に2名下します。
その後、モトドリ島に向かい1番に3名下します。

「あんたら何狙いや」と船長にFさんが聞かれ「グレです」というと我々はモトドリ島の7番に下ろされましたが、この時はもうずいぶん北風が強くなってきました。
横から風を受けながら釣るような感じです。
船に残った福井のクラブの方たちは「かけうら」方面に下りるようです。
7番は足元が深そうで、何か釣れそうな感じの磯です。

マキエを混ぜて、タモを組み立て、竿を出して仕掛けを作っていますと船が近づいてきます。

「これから風が強くなるので、もう一つ裏側の磯に変わったほうが良い」と船長が言います。
これは、船長の言葉に従うほかはないので、水くみバケツやらマキエ杓をしまって道具を片付けます。

船はモトドリ島を左側に回って風裏につけてくれましたが、この磯は底が見えるような磯です。まあ、風に吹かれない分、釣れなくてもよいかもしれません。

 

雨の中モトドリの左側の磯で竿を出すFさん


我々の下りた磯は磯図でみましたら番号がないので、無名磯ということでしょうか。
場所は右手に1番が見えますので、8番といったところでしょうか。
B級磯ですが風が当たらないことを考えますと我々にはA級磯ですね。
この磯は足元から底がうっすらと見えますし、右前に大きな根が出ていてとてもやりにくい磯でした。
ただ、風が当たらないので釣り開始時はそう寒くはなかったです。

今日の仕掛けは昨日と同じです。
私は船付きでFさんと並んで竿を出しました。
ウキ下は3ヒロ半で始めました。

右側のシモリにあたった波がサラシになって左側に仕掛けを押しますので、ウキはすぐに左側に流れます。
付けエサは1投目からとられますがどうも釣れる感じはしません。
3投目にウキが入って10pほどのベラが釣れました。
Fさんはシモリの沖を釣っていますがどうもやりにくそうです。

9時ごろになり風が強くなったのか、時折横から吹き付けます。
私は雨で寒いだろうとネックウオーマーを2重にして、防寒のズボンをはいていましたが、やはり風が吹きつけると首筋が寒く感じられます。
「ヘラ岩」方面の吹きさらしの中で竿を出している釣り人も見えますので、あそこに比べればここは天国のような場所だと思いました。

 

モトドリ島からヘラ岩を見る ヘラ岩は中央の白く波が立っている場所です


私もFさんも何も釣れないまま10時頃になりました。
「もう撤収しても構わないな」とFさんが言います。
これには私も同感でした。

雨風の中釣りをして、アタリがないと、なんでこんなことをしているのだろうと自問してしまいます。
若い時なら「若狭大島に修行に行ってきました」と笑えますが、もうあと何回行けるかわかりませんので、できれば晴れの日に釣りをしたいものです。
昨日の晴天の下でのチヌ釣りとは大違いの釣りとなってしまいました。

私は横から巻いてくる風で寒いので、用意したカイロを背中に張りました。
カイロを使うのはこの冬になって初めてです。
この時期の雨の釣りは本当に寒いですね。
雨が弱くなった時を見て、急いでパンを食べたりしましたが、あまりにもアタリがないので疲れてきました。

私は沖を釣ろうと思いウキを重い5Bのものに変えました。
沖は右に流れていますのでウキはゆっくりと流れるのですが、右前のシモリが邪魔でうまく道糸が操作できません。
付けエサはたまに取られますので沖にもエサ取りはいるのでしょう。

時刻は11時を過ぎてアタリもないので、私はもう集中力が無くなっていました。
ふと海を見ますとウキがありません。
道糸が引っ張られることはないので、大きな魚が掛かっていることもないようです。
軽く合わせますと弱い手ごたえです。
上がってきたのはなんとグレです。
このグレは22pでしたので放流しました。
「このコンディションで釣れたグレは貴重やぞ」とFさんが言いますが、コッパグレですので持ち帰りようがありません。

 

11時ごろ釣れた貴重なコッパグレ 22cm

Fさんもやる気を出して沖を釣りますがその後は、Fさんにも私にもアタリはありません。
惰性で釣りを続けていましたが12時前になり「釣りは中止です」とマイクで言いながら渡船がやってきました。
私はようやくこの苦行から解放されると思うとほっとした気分になりました。
急いで道具を片付けて我々は船に乗り込みました。

今日はFさんも私も持って帰る魚は釣れませんでした。
帰りは高くなったウネリの中を船はスローで港に戻りました。
皆さん船がひっくり返らないか心配ではなかったでしょうか。

港に帰りますとやはりグレを釣っている釣り人がいました。
多分「かけうら」方面だろうと思いますが40p前後のグレを数枚出しておられました。
我々の隣の車の福井のクラブの方も40pのグレを釣られたようです。
この時期、やはり釣れる磯に下りないと釣果は望めませんね。

若狭大島のモトドリ島はなかなかいい雰囲気の釣り場所ですので、もう少し水温が上がって「かけうら」以外でもグレが釣れ始めたころにでも再挑戦したいと思いました。
早上がりしたので2時ごろにサンスイに到着しましたらご主人が「早いな。もう帰ってきたのか」といいます。

敦賀でそう風は吹かなかったようですが、大島では結構な風が吹いたことを話しました。
釣り人が20人近くいたことを話しますと「かけうらで釣ろうと思うと、平日でないと一般の釣り人は無理ではないかな。土日はクラブの常連客が押さえていると思うよ」とご主人が言います。

ご主人は昨年の今頃、平日に若狭大島に釣りに行ったのですが、その時は平日でも「かけうら」の希望者が5,6人いたのでモトドリ島で釣りをしたそうです。
その時はチヌを5,6枚釣ったけれどもグレは釣れなかったということでした。
その日は「かけうら」でもグレは釣れていなかったということですので、平日に「かけうら」に下りても40pのグレは保証されるわけではないようです。
ご主人の話では足もとにいた、見た目80cm以上の真鯛が浮いてきて、ハリにかかったが走られて切られたとのことです。
この話を聞いても、モトドリ島はなかなか面白そうな釣り場ですね。

サンスイで道具を洗って我々は自宅に戻りました。
Fさんと別れるときには、「やっぱり雨の日は釣れませんね」とぼやきました。
Fさんも「ま、釣れる場所に下りないと釣れないわな。今度平日に釣りに行こうか」と次回も若狭大島に行く気はあるようです。
ですが、3月は年度末でそこそこ忙しいのでなかなか平日は釣りに行けません。

自宅でシャワーを浴びてビールを飲んでいますと、風雨の中での釣り、大ウネリを突き切る帰りの船のことなどが思い出され、磯釣りは非日常な世界だなと思いました。

今回の反省点は2日前に見た天気予報で釣行を判断したことと、釣れた勢いで翌日も釣りをしたことでしょうか。
釣りに行くにはやはり綿密に天気や水温、釣り場所などを検討しないとといけませんね。
次回はいつものように、心眼で釣り情報と天気図を読んで釣行しなければならないと改めて思いました。


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