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 上野山さんからのリポート
 「引出しの数が物を言う

  泊 (福井県)
   2022/03/13

 


1月に泊で幸先よくマダイを釣り上げた後は、またもやコロナウイルスの蔓延で四国などの釣行を控えました。
2月の若狭湾は低水温となりグレ釣りは終了です。
今年は例年にない寒さもあってチヌ狙いの釣りにも行けません。
3月になり、ようやく暖かい日が続きましたので、12日の土曜日の午後に泊の大谷渡船に電話をしました。

3月10日ごろから船は出ているようで、釣果を聞きますと「上野山さん、アンマリ釣れていませんよ。今日12日は潮が悪いのかエサもとられんということです。まあ、明日はどうなることかわかりませんが、今のところは1番船の予約は6人ですので乗れますよ」ということです。

私は一度電話を切っていつものFさんに電話をしてみました。
Fさんは状況を聞いて、今回は見合わせるということになりました。
今回は私一人で釣りに行くことにしました。

サンスイ釣り具にエサを予約すると「釣れてなくても行くということは、通って常連になるためですか」とご主人がいいますので「まあ、今回は船長へのマキエですわ」と答えます
「お客にあまり釣れてないと言ってくれるとは良心的ですね」とご主人は感心しています。

朝6時半に出船ですので、サンスイ釣具店には4時半にエサを取りに行くことにしました。
今回は時間が長いのでオキアミ2枚と着けエサのボイルとします。

12日の土曜日は、地元の野坂山に雪の中を登りましたので、かなり疲れは残っています。
踏み固められている雪道ですので、私はがまかつの磯用のスパイク長靴を登山に利用しています。

ここ数年、春に雪の残る山を歩くことを楽しみにしています。
雪のためか山全体がシーンと静まり帰っていて、太陽が出ますと春の日差しが降り注ぎます。大自然の中に一人でいますと日頃のストレスを忘れますね。

朝早くですと雪も締まっていて、スパイクが良く効くので滑ることはありませんが、帰りは雪が緩んでいてよく滑って尻もちをついてしまいますが雪の上なのでけがをすることはありません。

 

雪の野坂山の山頂 山頂は1m以上の積雪

序盤に釣りと関係のない話が出てくるということは、皆さんお察しのとおり、久しぶりのボーズ釣行記です。

12日は4時間ほど雪の中を歩いて疲れていたので、できることなら2番船で釣りたかったのですが、せっかく1番船に乗れるということですので、朝3時半に目覚ましをかけました。
13日は予定通り4時30分にサンスイに到着して、6時には大谷渡船に着きました。

6時すぎにいつもの磯研の方がやって来て挨拶をします。
「あまり釣れていないようですね」と声を掛けますと「釣れていないからこそええんや。釣れた後ではつまらんわ」ということです。
まだ、シーズンに入って誰もグレを釣っていないので、自分が一番乗りという気持ちなのでしょう。

船は6人の釣り人を乗せて6時半に港を出ました。
波はなく天気は曇りで南風です。
気温は18度ほどになるようです。

今日はどこの磯にでも下りられそうです
一人の方が「今日はチヌ釣りをしますわ」と言って手前の「イグリ」に下りました。

船長が「今日上野山さんはHさんと長崎でやって」と言ってくれます。
「長崎」は泊でもA級磯ですのでこんな時しか下りられませんね。

長崎にはHさんと二人で下りました。
Hさんは小浜の方でまだ50前くらいです。
「どこか好きな場所でやってください」といいますので、私は足場の良い船付でやらせていただきました。
Hさんは私よりも10mほど先端よりの低いところから竿を出すようです。

今日の仕掛です
竿はアテンダー1.5号、道糸はサンラインの2号としました。
ハリスは2号2ヒロ、ウキは風が強いので5Bとします。
サルカンの上に4Bのオモリを付けてハリスにジンタンを打ちます。
ハリはフカセグレ7号、ウキ下は3ヒロ半からスタートです。

マキエの用意をして第1投です。
風は向かいから吹いてきますが、4Bのオモリがすぐに落ちますのでウキが手前に戻ってくることはありません。
仕掛がたちますとウキは右に流れますがかなりゆっくりです。
潮は当ててきて右に流れるようで、ウキも手前に寄ってきます。

仕掛を上げますとエサかじられていて、オキアミの頭がありません。
昨日はエサも残るということでしたので、今日は少しましかと思います。
時折強烈な南風が吹きますので、風が落ち着いたときに仕掛けを投入します。

5投目くらいでウキが少し沈み、合わせますとフグが釣れました。
エサが取られますし、フグが釣れますのでタナはこのまま3ヒロ半としました。
しかし、仕掛けが足元に寄ってくると、足元に張り出した棚で根がかりしてしまします。
私は根がかりでハリスを2回も切ってしまいました。

Hさんを見ますと風が強いのでウキを沈めて釣っているようです。
私もジンタンを追加してウキがぎりぎりで浮くようにしました。
道糸を2号にしましたので、いつもよりは操作しやすかったです。

釣りを開始してから2時間ほどたちましたが、風はやまずにウキも流れません。
エサは毎回かじられますので、エサ取りは元気なようです。
たまに着けエサが残りますと、大きな魚が回ってきたかとタナを少し落としますがウキに変化はありません。
今日はチヌを釣るのも難しい日です。
潮は右に行ったり左に行ったり当ててきたりします。
ウキを足もとと沖に交互に投入しますがどこに投げてもオキアミの頭がかじられます。

風がやんだ時に30mほど遠投しますとエサは残ってきますが、そんな沖ではどうも釣れる気がしません。
昨日、山に登って疲れていますので私は休憩しながら釣りをしました。

休憩時には新しく買った活かしバッカンの竿立に竿を立てられますので便利です。
新しい道具を買うと釣れるというジンクスもありますので、今日は釣れると思うのですが魚の気配がしません。

磯研の方が帰りは4時半にするということで、皆さんそれに合わせましたので時間はたっぷりあります。
昼からは潮の流れが変わるかもしれないと期待して、体力温存で飲み物を飲んで休憩しながら釣りをします。

 

新調したシマノの活かしバッカン 竿立が便利です 


やがて12時になりましたが私にフグが2匹釣れただけです。

私にもHさんにも何も魚が釣れません。
Hさんは「ベラも釣れないとはどうなっているのかな」と言っています。

12時を過ぎて、Hさんがおにぎりを食べているので私は竿を出しながら世間話をしました。
Hさんも1月に私と一緒に釣りをした京都のNさんと同じで、今まで毛島や音海で釣りをしてけれども渡船が出なくなったので泊に来たということです。
Nさんと同じく音海や毛島でかなりの40cmオーバーのグレを釣っているそうです。
冠島では1日で40cmオーバーのグレを10匹以上釣ったこともあるという、夢のような釣りもしているそうです。

40cmオーバーを10匹以上釣ったら魚の処分が大変ではないですかと聞きますと、何匹かは同じ船に乗って釣れなかった人にあげたということです。
冠島の釣りでもやはり釣れない人はいるということです。
「それはどうして釣れないのですか」と聞きますと「釣る場所ではないですか」ということでした。
ただ泊ではまだ40cmオーバーのグレは釣ったことはないそうです。

時刻は1時になりました。
朝のうち4時半までは長いなと思っていましたが、片付ける時間を入れますと釣る時間はあと3時間ほどです。

この時間になってもまだフグ以外は釣れません。
私はタナを5ヒロほどにして少し沖を釣ってみましたがアタリは出ません。
軽いウキにして沈めてみようかと思いましたが風が強いので5Bのウキのままで釣ります。
こういう時に引出しがないと1匹の魚に出会えませんね。

ずっと立って釣りをしていたのでかなり足も疲れてきました。
向かい風で釣りをしていると、竿を振るのも大変で普段より疲れますね。
なにより、6時間以上も魚が釣れないのが疲れの原因です。

これはもしかして、何もいない海にエサを放り込んでいるという状態なのでしょうか。
まだ、エサがかじられるだけましです。
しかし、フグしかいない場所で釣り続けるというのは拷問のようです。

「40cmのグレが釣れないことはない」ということに一縷の望みをかける状態です。
「40cmが無理ならせめて30cmのグレで」とお願いのグレードを下げても、相変わらずウキは沈むことなく着けエサがかじられるばかりです。

これはもしかするとウキの浮力調整が間違っていて5Bではなくて1号のウキを使ってしまって、浮力が大きすぎて魚が食い込まないのか」などと余計な妄想が膨らみます。

「マキエをかき混ぜている途中でウキが入ることもあるかも」とウキを見ずにマキエをかき混ぜて、しばらくしてからウキを見ますと、ウキはほとんど流れずにチョコンと海の上に出ています。

3時ごろになり少し潮が沖に行くようになりました。
これはチャンス到来かとエサを付け直して投入しますがウキは入りません。

となりのHさんを見ますと棒ウキを使っています。
私はチヌを狙っているのかと思いました。

ふと横を見ますとHさんの竿が曲がっています。
「オッ掛かりましたか」と聞きますと「チヌだと思います」ということです。

魚が浮いてから「オッこれはグレでした」とHさんが言います。
タモに入ったのは36cmのグレでした。

「タナは8ヒロです。沖で深いところを狙いました」とHさんが言います。
8ヒロのタナで釣りをするという発想がすごいですね。
やはり引出しの数が物を言いました。

私も竿2本のウキ下で沖を釣りましたが、たまにエサを取られるだけでウキが沈むことなく終了の4時となりました。
今日はフグ3匹という、久々のボーズでした。

港に帰りますと、7人の釣り人のうちグレを釣ったのはHさんだけでした。
磯研の方がタモ入れ寸前でグレをバラしたといっておりましたので、グレはいるようです。

チヌは全体で3匹でした。
食いの渋い日でしたが釣る方は釣りますね。
久しぶりに次回に期待という釣りとなりました。


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