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 上野山さんからのリポート
 「1投1匹でオナガグレが釣れる」

  神津島 (東京都)
   2022/04/09

 

4月5日は中1日で泊に釣りに行きました。
翌日の朝にFさんから「神津島に行かんか。今オナガグレが釣れとるよ」と電話がありました。
少し体が疲れているのと、ここ2年間、1泊2日の釣りは行っていないので、少し億劫(おっくう)な気もしました。
4月6日は、年に1回ポリープが大きくなっていないかどうかのエコー検査の日でしたので、私はその検査結果を見て行くかどうかを返事しようと思いました。

検査の結果は「ポリープは昨年と同じ大きさですので大丈夫です。1年たってまたエコーを撮ります。そのほかの内臓も大丈夫です。血圧もだいたい良いので、今と同じように山歩きや釣りをしてください」という主治医の言葉です。
検査の結果が良好でしたのと、主治医の「釣りに行ってください」というアドバイスを受けて、私はFさんに神津島に行くと連絡しました。

先週末から今週のスケジュールは土曜夜、京都で演奏、日曜、泊で釣り、火曜、泊で釣り、金曜夕方に下田に向けて出発、車中泊ののちに土曜、神津島で釣り、日曜行けたら銭洲で釣り、日曜深夜に敦賀に帰る、月曜通常に仕事というような過密な日程です。
65歳を超えてから若い時のように遊びまくれるものかどうか、自分でも少し心配ですが、釣りたいという気力があればなんとかなるでしょう。

Fさんが賀寿丸渡船に電話をしますと2人で行けるということです。
今日、水曜日に神津島に行くことになりましたが、中1日置いて金曜日の夕方にはもう出発しなくてはなりません。
私はサンスイ釣具店に行き、神津島に備えて4号の道糸をリールに巻いてもらったり、ハリス5号を買ったり、9号のグレバリを買ったりしました。

かなりウキウキしていたのでしょうか、サンスイ釣具店のご主人からは「妙に元気ですね。電池が切れた時が心配ですよ」と言われました。
ご主人は「土日は暑くなるそうですね」と言って日焼け止めまで貸してくれました。
このところタモなどを買っているためかご主人は妙に親切です。

木曜日には着替えや洗面道具をリュックサックに詰め込み、寝袋や大型クーラー、長年使っていない予備の2号の磯竿などを出してきました。
念のためにドラッグストアに行き、酔い止めのアンプルとバンテリンも買います。
傷バンやメンソレ、血圧の薬なども用意いたします。
本当に行く前の準備が大変です。

1泊2日の釣りは、荷物が多いので「ヨシ、神津島に行くぞ」という気持ちにならないと行けませんね。
「また、いつか神津島に行きたいな」というような気持では、いつまでたっても行けません。

4月8日の金曜日は午後4時にサンスイ釣具店を出ました。
今回のエサは生オキアミ4枚と、ボイル1枚、集魚剤はグレパワーを持ちました。
関が原から高速道路に乗り、新名神を通って10時半には下田に着きました。

車の荷物を車外に出して、車の中でFさんと寝袋で仮眠しました。
出船は4時ということですので3時半に目覚ましをかけます。
3時半に起きて着替えをいたします。

今回、下田から船に乗るのは15人ほどです。
一人が竿袋を入れて4個の荷物としますと、今回積み込む荷物だけでも60個ほどになります。
自分の荷物はわかるように名前を書いておかないと、紛れてしまいますともう分からなくなりそうです。

4時に渡船は港にやってきました。
15分ほどで荷物を積み込みますと、船は神津島に向かいます。
私は酔い止めのアンプルを持ってきましたが、Fさんが「凪なのでだいじょうぶだろう」というので、酔い止めは飲みませんでした。

船は6時前に神津島に到着して泊り客を乗せます。
船のカメから竿や磯クーラーなどを出しますと、船の上は道具だらけです。

 

3年ぶりの神津島 


船はスローで港を出て恩馳島(おんばせじま)に向かいます。
港を出てしばらくのところで船が止まりますと、他の渡船も横に並びます。
6時半になりますと一斉に船は出発いたします。

船は恩馳に到着いたしますと1番に「ヒラッタイ」に着けます。
「次にFさんたち2人は準備して」と船長に言われて、私とFさんは急いで揺れる船内を前に進みます。
道具を船に出したときに、自分の分はまとめて置いておきましたので、私はすぐに道具を前に持って行きました。

 

朝の恩馳島


「Fさんたち、すぐに着けるから準備早くして」と船長に言われますが、揺れる船で荷物を運ぶのは大変です。

我々は2番目に「ヒラッタイ」の30mほど横の「弁慶」という磯に下りることになりました。

船を磯に着けたときに「ホンマにここでやるんか。1日足腰が持つやろか」というような磯でした。

船長に指名されて船をつけたからには下りるほかありませんが、もう少し年齢と足場を考えてほしいと思いました。
磯にはほとんど平らな場所がありませんので、バッカンや磯クーラーを何とか斜めにして置きます。
足もとは海藻がついていてヌルヌルです。
8時半が満潮ですので、潮も高くて竿を出せる場所も限られます。
私は船に乗る前、船長に「65歳になりますので釣れなくても足場の良いところをお願いします」と言えば良かったと後悔しました。

今日の釣りは釣果よりも、岩で滑って転んでけがをしたり、転んで竿を折ったりしないで無事に迎えの船に乗ることだと、自分に言い聞かせました。
魚が掛かっても獲ることよりも、まずは転ばないように足場の確認が大切です。

この釣り場は海藻でヌルヌルですので、魚が掛かりますと竿とタモとで両手がふさがりますので、取り込みが非常に危険です。
私はバラしてもいいから、足場を確認してゆっくり取り込もうと思いました。

 

「弁慶」足場の悪いなか用意するFさん 後は3年前に下りた「ヒラッタイ」


「弁慶」は小さな磯でとんがっているので、とても並んで釣れないので、船着きでFさんが竿を出し、反対側の6mほど離れた低いところで私が竿を出すことにしました。

今日の天候ですが高気圧の端になり、晴れで南の風です。
満潮は8時半ごろです。
気温が25度ほどになるということでお昼は暑くなりますが、朝のうちはカッパを着ていても肌寒く感じました。

今日の仕掛です
竿はアテンダー2号、リールはレマーレ5000番、サンラインの道糸4号にハリス、シーガー5号1ヒロ半、ハリはザロックの9号としました。
ウキはキザクラの小さめの3Bで、ウキ下は3ヒロ弱としました。

このところ泊で使っているハリスは2号ですので、3年ぶりに使う5号はとても太く感じます。
こんな糸を切っていく魚はいるものかなと自分でも思ってしまいます。

足場の悪い場所でバランスを取りながら歩いてバッカンを移動し、タモを組み立ててマキエを混ぜます。
タモは少し高い岩に斜めに立てかけます。
荷物を運ぶのに慎重に歩きましたので時間がかかってしまい、「ヒラッタイ」ではもう竿を出しているのに、私はまだ仕掛けを作っています。

 
「弁慶」の私の釣り場 バッカンの手前、V字型のところに足を置いて釣りをした


私の釣り場所は海藻の生えている場所ですので、足元が定まりません。

V字型になった岩の割れ目につま先を突っ込み、反対の足を海藻の上に載せますが、脚の高さが違いますので、すぐに低いほうの足が疲れてきます。
これは修行のような釣り場です。

私が支度を済ませますと、先に釣りを始めていたFさんが33cmほどのオナガグレを引き抜きます。
「これは放流します」と言ってグレは逃がしています。

私もようやく用意ができて着けエサのボイルを着けて第1投です。
ここまででだいぶん疲れてしまいました。
足もとに打ったマキエには、エサ取りが寄ってくるのが見えます。
竿1本ほど先に投げたウキはゆっくりと沖に流れていきます。
これはいつでも来そうだと思い、リールをフリーにしてウキを見ますがウキは沈みません。

ふとFさんを見ますと竿が大きく曲がっています。
魚を少し寄せたときに動きが止まります。
「アア、根に入ってしまった」とFさんが言います。
魚が動かないので道糸を引っ張って、ハリスから切れたようです。
「グレですかね」と言いますと「手ごたえはグレだと思う」ということです。
グレとすれば50cmクラスの引きではなかったでしょうか。

私は4回ほど投げてもエサが残りますので、Fさんに着けエサは取られるかと聞きますと「オキアミの生を使っているので、エサは取られる。生に変えてみたら」と言われます。
私は着けエサをオキアミの生に替えました。

Fさんはイズスミなども釣っていてよく竿が曲がりますが、本命の40cmオーバーのオナガグレはまだ釣れません。
35cmほどのクチブトグレも放流しています。

ひときわFさんの竿が曲がり、今度は魚を足もとまで寄せてきました。
Fさんの入れたタモに入りましたのは茶色いグレです。
「オナガグレですか」と聞きますと「こりゃスカエース、いわゆるウシグレやな。45cmほどかな、よく引いたわ」といいます。
このグレも放流しています。
Fさんはもう5,6匹魚を釣っていますが、私にはまだ1匹も魚が釣れないので少し焦ります。

そのうち潮が当ててきて、反対方向に流れ出します。
私は磯の横を向いて釣をしましたが、潮は磯を巻いて完全に逆方向の「義経」に向かって流れ始めました。

私は「義経」方向を向いて釣ることにいたしました。
「義経」方向は向かい風になりますので、道糸があおられて釣りにくいです。

8時を過ぎてようやくウキが入り魚を釣りましたがこれは35cmほどのイズスミでした。

 

最初に釣れたのはイズスミ


やはり生オキアミでないと釣れないのかと思い、生を使い続けます。
Fさんにタナを聞きましたら、最初は3ヒロだったが今は2ヒロほどということです。
サラシが収まった時に海を見ますとうっすらと海底が見えます。
この浅い場所でオナガグレが釣れるのだろうかと思いましたが、私もタナを浅くして2ヒロと少しにしました。

エサが取られるようになりましたが、南風が強くなってきて正面からしぶきを浴びるようになりました。
バッカンの中も海水が入ってマキエがドボドボになりましたので、マキエのバッカンを少し上の岩の上に置きます。
ただ、海はサラシが出てウキが潜るようになりましたので、釣れそうな感じは致します。

8時半ごろです、サラシに押されたウキが潜り始めて消えました。
これは「アタリ」と合わせますとイズスミの引きではありません。
キーンと糸鳴りをして魚が走りますが、浅い場所なので糸を出せません。
魚が下にもぐるのをアテンダーの弾力だけで耐えます。

やがて魚は足元に寄ってきましたが、足元で右に左にと走り回ります。
これは久しぶりのオナガグレの引きです。
ハリス5号ですので、強引に上げますと魚は浮きました。
海面に浮いたのは45cmほどのオナガグレです。

足場を確かめてヨッコラショと岩に登りタモを出します。
タモの柄はサンスイ釣具店で買ったばかりの、がまかつの5.3mのものです。
魚は何とかタモに入りました。
この魚はメジャーで測りましたたが、平らなところがない磯ですので推定45cmでした。

 

8時半ごろに釣れたオナガグレ 45cm


40cm以上のオナガグレを釣るのは3年ぶりです。

久しぶりのオナガグレ釣りは面白いですね。

その後はサラシの切れ目でアタリが出るようになりました。
クチブトグレの35cmほどのものが掛かりましたが、この魚はハリを外して放流です。
今日は40cm以上のオナガグレだけを持って帰ることにしました。

その後は35~6cmのオナガグレが釣れてきます。
オナガグレも40cm無いものは放流します。

魚が釣れるようになりましたので着けエサをボイルに替えました。
ボイルでも同じように魚は釣れてきます。

私は40cmのグレを1匹釣りましたので少し休憩をしました。
休憩と言いましても磯に座る場所がないので、岩に持たれながらサンドイッチを食べてオレンジジュースを飲むくらいです。

休憩中に周りの「ヒラッタイ」や「義経」の釣り人を見ますと、皆さんよく釣れているようです。
魚が掛かりますと、35cm前後の魚は抜き上げています。
私は竿を折るのが嫌なのでいちいちタモで掬っていますが、足場が悪いので疲れてしまいます。

その後10時ごろに足もとでウキが入り、45cmのクチブトグレが釣れましたが、この魚もハリを外して放流します。

 

放流したクチブトグレ45cm


若狭では40cmオーバーのクチブトグレを釣るのに悪戦苦闘しますが、今回はオナガグレ釣りですので外道として放流です。

やはり神津島の釣りは別世界の釣りですね。
こんな簡単に35cm以上のグレが釣れてよいものかと思ってしまいます。

釣りをしていますとアタリのパターンのようなものがあり、ウキが潮のヨレに入って潜り始めますとアタリが出ます。
足もとのサラシの中などではなかなかアタリが出ません。

11時前にサラシでウキが潜り、糸を張っていると竿にアタリが来ました。
これは少し大きいと、やり取りをします。
Fさんの前まで突っ込んだ魚を強引に手前まで戻し、浮かせて掬ったのは44cmのオナガグレでした。

 
2匹目の40cmオーバーは11時前だった


昼前からいっそう風が強くなり、サラシが出だしますとますますグレの食いが良くなりました。

1投1匹でオナガグレが釣れます。
オナガグレは本当に魚体がきれいですね。
お昼過ぎには39cmまでのグレは10匹以上放流しています。
その後、納竿までに42,40cmのオナガグレを追加しました。

 

放流した39cmのオナガグレ きれいな魚体です


お昼頃にカメが出て来ました。

カメは2匹いてサラシの切れ目アタリをうろうろしています。
これを引っかけると糸を切るのが大変です。
私はカメの位置を確認しながら仕掛けを投入しました。
幸い釣りを終えるまでカメは引っ掛かりませんでした。
カメが出てきても魚は釣れますので、釣りにカメは関係ないのでしょう。

これだけ魚が釣れるということは、海の中はオナガグレだらけなのでしょう。

これほどのベストシーズンに竿を出せることは、めったにないことかもしれません。
誘ってくれたFさんに感謝ですね。

 

これも放流した37cmのオナガグレ エラが黒く漁体がつるつるしている


1時ごろに対岸近くまでサラシに押されたウキが入り、合わせますとこれも強烈な引きです。

これは大きいと思いましたが、魚はサラシの中を横に突っ込みます。
何せ足場が悪くて移動できないので、その場で竿を曲げて魚の突っ込みをタメます。
魚が突っ込んだ時にアテンダーは胴で柔らかく受け止めるので、本当にオナガグレ向けの竿です。

足もとに魚が寄りましたので、これは獲れそうだとタモに手を伸ばしたときに足もとで魚が磯際に突っ込みました。
一瞬対応が遅れて竿が跳ね上がりました。
5号のハリスが磯で擦れてザラザラになって切れていました。

足場が悪い磯でタモを少し離れたところに置いていたのがバラシの元です。
まあ、十分に魚を浮かせてからタモの用意をすれば、なんということはなかったのかもしれません。
大きな魚でしたので早く取り込みたいというアセリがあったかもしれません。

これは詰めが甘いですね。
まだまだ修行が足りません。
やはりバラシた魚は大きいですね。
大きいからバラスのでしょう。
釣人生の後半の目標を50cmのオナガグレを釣ることにしていましたので、もう少しで目標達成でしたがなかなか思い通りにはいきませんね。
気を取り直して釣りを再開します。

もう一度大きな魚が掛かりましたが、今度は竿でタメているときにハリはずれでバラしました。
やがて1時20分を過ぎましたので、私は竿を置きました。

Fさんは1時すぎに40cmほどのクチブトグレを抜こうとして竿の3番を折ってしまいました。
「タモを出しに磯を下りるのがかなわないので抜こうとしたら折れてしまった。低い磯では抜いたらアカンな」と言っています。
これでFさんも釣りを終えることにしました。

今日の釣果です
私はオナガグレ45、44,42,40cmの4匹を磯クーラーに入れました。
クチブトグレ40、35cmは放流、オナガグレ35−39cmは15匹ほど放流です。

今日1日で35cm以上のグレは20匹近く釣りました。
5号のハリス切れのバラシ1回にハリはずれのバラシ1回でした。
久しぶりにグレを釣りまくりましたが、あまり釣れすぎるのも作業のようになってしまい面白くないですね。

Fさんは、オナガグレ39~45cmを4匹に35cmのイサキを1匹、ウシグレ45cm、1匹放流でした。
やはり40cm以下のオナガグレを10匹以上放流しています。

今日の「弁慶」の釣果はスポーツ新聞の釣り欄では、オナガグレ35~45cm二人で40匹、といったところでしょうか。

昨年の神津島は黒潮の影響で水温が下がらずにオナガグレは低調でしたが、水温が下がりますとよく釣れますね。
釣りすぎても持って帰ってからの魚の処分が大変なので、今回はたくさん放流いたしました。

港にもどると我々は渡船屋さんの宿屋に泊まりました。
今は素泊まりしかしていないということでしたので、島にある温泉のレストランで夕食を食べて翌日の食べ物をスーパーで買いました。
明日は銭洲に釣行ということで、この調子で行けば50cmのオナガグレも夢ではないと思いました。

 

初日に釣ったオナガグレ40~45cm

 


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