TOP 釣行記index 次のページを読む

 上野山さんからのリポート
 「1級磯でチヌ1枚」

  泊 (福井県)
   2024/04/07

 



前回の釣で昨年買ったがまかつのマスターモデルの穂先を折ってしまい、修理代金は2万円もしてしまいました。

この竿は買ってから1年で3回も穂先を折っています。
この竿で釣りをしたのは6回ですので、なんと2回に1回は穂先を折っているということです。
何とも不吉な竿ですが、アテンダーよりもダワダワしていて、柔らかい感じが好きです。

穂先を折っているのは泊で竿2本くらいの深いウキ下で釣りをしているときですので、道糸がヨレて穂先に絡んでのものと思われます。
釣りをしている最中に道糸のヨレを取るというのはとても手間なので、どうしたものかと考えてしまいました。

先日、時間がありましたので「ぐれねっと」の「ほんまDESSAYという下山さんの書いたエッセイを読み返していました。
このエッセイは下山さんの釣りの話以外にも、金遣いの荒い独身時代の話があり人柄がよく現れております。
独身時代の下山さんはエッセイにありますように「釣りで1000万円は使っている」ということです。
釣(南紀、四国はもとより、東京都青ヶ島、五島列島、男女群島など全国各地に釣りに行った)にダイビング(ガラパゴスにも行った)、スキー(骨折した)、ゴルフ(女子プロとコースを回った)と遊び放題だったのではないでしょうか。
世の中のお父さんは小遣いが3,4万円では遊べないなということも書いておられます。
のちに結婚してからは小遣いに苦労していたようですが・・・

99年の5月に始まった「ほんまDESSAYは2年近く週1回更新されていました。
これはよく頑張ったと思います。
個人でよく毎週更新する話題が続いたと思います。
それほど独身時代は遊びにのめりこんでおられたのでしょう。
週1回の更新がしんどくなって2年目の01年2月に91話目で不定期更新宣言をされています。

最後のほうは更新が遠のき、最後の更新の114話は06年8月です。
最終話、114話「竿がボキッ」では「釣りを始めたころは穂先をよく折ったものだが、このところ穂先を折っていない」と書かれています。
下山さんの愛用の竿は「ダイワのOLEGA」という竿で「これ1本で四国から三重県までやれます」と言っておられました。
この竿はなかなか穂先が折れないのだと思いました。

この下山さん愛用のOLEGAは私がいただいて、1度も使用せずに10年倉庫に放置されています。
エッセイを読んで、マスターグレの穂先を何度も折るのは、この竿の「俺を1回くらいは磯で使ってくれ」という呪いではないかとも思えてきました。

先週、仕事で使っているキングファイルに閉じてありました古い書類をシュレッダーにかけていて、ファイルの一番終わりのページに挟んでありました紙に目が止まりました。
その紙は次のようなものです。

 
 

これは21年前の平成15年1月に、私と下山さんと二人で四国の沖ノ島に3日間釣りに行った時の金子渡船さんの請求書です。
何故か私が持っていて、ファイルの後ろに入れておいたものでした。
請求書のことは見るまで忘れていました。

当時の宿泊は12食付きで6500円(安い!!)でした。
渡船代金は5000円で、沖ノ島までのチャーター料金がプラス3000円です。
ここの料理はおいしいといって下山さんが宿をとってくれました。
宿泊費と渡船料金で一人34、300円ですので、3日間のエサ代金と高速料金とガソリン代を入れると6万円ほどは使ったのではないでしょうか。

この時の釣行記はNo66「沖ノ島1日目尾長の50cm」にあります。
この釣行は下山さんも心に残ったようで「ほんまDESSAY」の108話「泊りでの釣り」にもあります。
私も四国で初めて50cmの尾長グレをハリス5号で釣りましたので印象深く残っています。下山さんはまだ独身で、二人とも40代だったのですね。

当時の私は娘が中学生くらいで、何とか軍資金をためて3日間の釣りに行きましたが、下山さんは給料を使い放題のころですね。
21年も前でまだ若かったので、釣行記を読み返しますと夕食の時には同宿の釣り人6人で1時間に2升ほど飲んでいます。
下山さんとはホンマに気が合う仲だったとあらためて思い返しました。

その時の釣行記に年配の釣り人が「釣りだけではなく釣行全体を楽しんでおられると」書きましたが、私も60代半ばを過ぎた今は、その時話をした年配の釣り人の年になりました。
釣りを長くやっているのですから、もう釣果にこだわってはいけないと思いました。

釣果にこだわるよりも、釣りの前日に道具を準備するところから始まり、釣り具店の店主との会話、船頭とのやり取り、磯の風景などすべてが釣の行程と思い楽しまなくてはなりません。釣りを終わって釣行記を書くこともその一つです。
決して40cmオーバーのグレを釣って自慢するために釣りに行ってはいけないのです。

出だしが長いので読者の皆さんは、そろそろ今回もグレは釣れなかったのかと勘ぐっているのではないでしょうか。
予想通り今回も大グレは不発でした。

続けます。

「ほんまDESSAY」で下山さんのOLEGAでは穂先を折らない話が出て、直後に下山さんと釣りに行った四国の請求書が出てくるということは、いよいよOLEGAを使ってみようという気持ちになりました。
倉庫からOLEGAを出して伸ばしてみますと、1.5号ですがかなり堅い竿です。
四国でも使っていたということですので、尾長グレの引きにも負けないような強さを持っているのでしょう。

今回は午前中OLEGAを使い午後はマスターモデルを使おうと思いました。
糸がヨレてまた穂先を折るとかなわないので、サンスイ釣り具に行き新しいスプールに2.5号の糸を巻きました。
私は午前と午後で同じ号数ですが別の糸を使うことにしました。
これですと、糸は半日しか使わないので穂先が折れるほどのヨレは出ないと思いました。

リールはレマーレの新旧2個を持ってくことにします。
それぞれの竿にリールを装着して、ウキまで着けておきスムーズに竿を入れ替えようと思いました。
これでしたら、午後からマスターモデルを使用しても、糸が新品の状態ですのでヨレを気にすることはありません。
これは我ながらいいアイデアだと思いました。

深いタナで釣っていると、どうしても糸がヨレて穂先を折るので、午前と午後で竿を丸ごと変える話を渡船の中で知りあいの方に話しましたら、「それでは家に帰ったら竿2本とリール2個を洗わないといけないですね」と言われました。
釣りを終わった後のことまで考えていませんでした。
スプール2個の糸のヨリも取らなくてはなりません。
ああ面倒くさいことです。

47日の日曜日に泊の大谷渡船に釣りに行くと連絡を入れますと、人数が少ないためか「上野山さんヒナダンに下りんか。何年も行っていないやろ」と船頭が言います。
「ヒナダン」はよく大グレが釣れる磯ですが、私は30cmほどのグレしか釣ったことがないのであまり得意ではありません。
まあ、気分転換に久しぶりに船長おすすめの「ヒナダン」で釣りをすることにします。

47日は1番船に乗れることになりました。
サンスイ釣り具店に朝4時前に餌をとりに行きますと、「オキアミを少し値上しました」ということです。
電気代も値上げしているので餌を凍らせている釣道具屋さんは大変でしょう。

5時半ごろに渡船屋につきますと船長が店の前にいます。
「昨日ゆたきち師匠が来て千畳のはなれに乗ってグレを釣ったで」といいます。
「えっ、先に大グレを釣られたか」と思いましたら「25cmほどだということですがよく竿が曲がっていたとほかの釣り人が言っていました」ということです。

釣ったグレが25cmと聞いて安心しました。
年を取ってからは釣果にこだわらずに釣り全体の行程を楽しむと書きましたが、人が先に大グレを釣るとなると心穏やかではありません。
まだまだ修行が足りません。
修行するには残り時間は少ないですが・・・

ゆたきち師匠は「ヒナダン」が得意磯で、ここではよく40cmオーバーのグレを釣っています。
ワンドの中に入ってくる潮が良いということは聞いていました。
今日の潮はどうでしょうか

今回1番船に乗るのは8人です。
先週の北風が強く寒い日でも10人いたので、南風の晴れの日にしては少ない人数です。
「最近は平日に結構人が来ます。退職した人が多いからかな」と船長が言っていました。

私は2番目に「ヒナダン」に渡してもらいました。
海は久しぶりのべた凪です。
風は南風で、天気は曇りです。

 

久しぶりのヒナダン ベタ凪です


まず先にOLEGAを出して竿を伸ばします。

10年ぶりに使うOLEGAのガイドはまだ大丈夫そうでしたし、尻栓も回りました。
ものぐさの下山さんにしては釣りの後に手入れをしていたのでしょう。

ハリス2.5号を2ヒロとり、ハリの代わりに1号のマル玉オモリをつけて改めて深さを測ります。
船着きの左側は5ヒロ立ちません。
4ヒロくらいです。
船着きの右側は足もとから竿2本ほどです。
その沖も竿2本以上です。
この磯は船着きの右側が崖のように急に深くなっているのです。
船着きの前にはうっすらと根が見えていてその根の周辺で釣れるということですが、この低水温の時期に4ヒロ程度でグレが釣れるかどうかです。

 

下山さんの愛竿OLEGA 剛徹1.5号


釣りを開始した時刻は7時ごろです。

マキ餌を撒きますとゆっくりと右に流れています。
右側の深いほうに潮が流れますので、タナを深く取って右側を釣ることにします。

タナは竿1本半として、今日はハリを6号にします。
小さめのボイルのオキアミをつけて足元にウキを落とします。
ウキはゆっくりと右側に流れます。
4mほど流して仕掛けを上げますとエサがありません。
これは希望が持てます。

しかし、時折ウキがゆっくりと入るものの魚は掛かりません。
スズメダイがエサを引っ張っているのでしょうか。
オキアミの頭がスパっと切れたようなとられ方もしません。

時刻は8時を過ぎました。
OLEGAは少し持ち重りがしますので竿を右手で持ったりしました。

8時半ごろになりまたウキがゆっくりと入ります。
ウキが見えなくなるくらい入ってから合わせますと今度は魚が掛かりました。

ウキの入り方はグレではないと思いましたが、最初は意外に引きます。
オッと思いましたがそのうちに抵抗せずに魚は上がってきました。
OLEGAの1匹目はカンダイの子供でした。
抜こうかと思いましたが竿を折るといけないのでタモを入れました。

サンスイ釣り具の御主人は「カンダイもフライなどでは美味しいですよ。持って帰って食べればいいです」と言っていましたが、大きくなった姿を見ていますし強烈な引きを味わったこともありますので、「大きくなって釣り人を振り回せよ」と言って放流しました。

 

8時半過ぎに釣れたカンダイ 32cm

その後はエサがとられますので、ウキ下を1ヒロほど浅くしました。

カンダイの次は15cmほどのベラが釣れただけです。
渡船で隣り合わせた方はいつもウキを沈めて釣るといっていました。
磯の右側は相当に深いので、ウキを沈めてあちこち探るほうが良いかなとも思いました。

9時過ぎになり落ちていくマキエにスズメダイが出てきているのが見えました。
水温も少し上がってきたのでしょう。

スズメダイを見ていましたらウキが入っていました。
先に竿を引っ張られて何とか竿を立てますとマアマアの魚が掛かっています。
頭を振りますのでチヌのようです。

タモに入りましたのは、34cmのチヌです。
前回持って帰ったのとほぼ同じサイズです。

 
 OLEGAで釣った2匹目はチヌ 34cm

やはり海水温が上がったためか、エサがとられますし竿1本半くらいでチヌが釣れました。

潮は右に流れますが、時折左に流れる「入ってくる」流れにもなります。
入ってくる流れがチャンスといいますが、左に流れるとウキ下を浅くしないと根掛しそうですので、左に流れたときウキは足元までしか流しません。

この崖になったような海底の状態がヒナダンの難しいところですね。
右に流れたときに、浅いところからウキを流しますと4ヒロ弱程度のウキ下で竿2本以上の深いところを釣ることになってしまいます。
まあ、今日はヒナダンの潮ではないようです。

そのうちにゆっくりとウキが入り、水面から見えるところで止まっています。
これは、エサ取りのアタリかなと思い合わせますと、久しぶりにフグが釣れました。

シーズン初めはフグも釣れなかったので、フグのアタリでも欲しいと書きましたが今日のようにフグが出だしますと、ハリのチモトをフグが噛みますので、何度も針をくくりなおさなくてはなりません。

フグの厄介さを思い出しました。

 

釣れたフグ 今回は口にハリが掛かっている

やがて12時前になり、道糸にヨリが出てきましたのでかねての作戦通りに竿をマスターモデルに替えました。
マスターモデルは、やはりOLEGAに比べますと柔らかくて私には使いやすいですね。

マスターモデルに竿を替えてしばらくすると着けエサが残りだしました。
大きな魚が寄ってきたかとウキ下を少し下げますが、エサは着いてきます。
ウキの投入場所を手前と沖と交互に繰り返しますが、アタリは出ません。
午前中見えていたスズメダイも見えません。

そのうちユックリとウキが入りまた海面下で止まっています。
合わせますと魚が掛かりましたが、あまり引かずにドンヨリと上がってきます。
上がってきましたのは20cmほどのガシラです。
ガシラは放流します。
今日はいろいろな魚が釣れます。

もう時刻は2時過ぎです。
ゆたきち師匠と釣りに行っていたころに、よくガシラが釣れると釣りは終了と言っていたことを思い出しました。
チヌ釣りをしていてもチヌが釣れなくなりますと、最後はガシラが釣れて終了ということが良くありました。

今日の渡船の迎えは3時と5時ということです。
今日はガシラが釣れてこれで終了かと思いましたが、船頭さんが「昨日は尾長グレが釣れたけど3時ごろからやったで」と言っていたことを思い出しました。
私は欲を出して5時まで釣りを続けました。

さすがに3時を過ぎますと立って釣りをするのがしんどくなってきて、しゃがんだり腰を下ろして飲み物を飲んで休憩したりしました。
もう10時間近く竿を出しています。
こんなに長時間立っていることは日常ではないですね。

エサが残りますのでハリスにジンタン3号を噛んで磯の右側の深いほうにウキを沈めて釣ってみました。
仕掛けがなじみますとウキはゆっくりと沈んでいきます。
道糸を張って待っていてもアタリは出ずにオキアミがそのままついて上がってきます。
6回くらい投入してみましたが潮が流れていないためか、ウキはほぼ沈んだ場所から上がってきます。
これは手の打ちようがないなと思いました。

その後も釣りたいという欲で5時の迎えまで釣りを続けましたが、チヌもグレも釣れませんでした。
もう1匹小さいガシラが釣れただけでした。

一度潮が左に流れたときにウキ下を4ヒロ弱にして左側を釣りましたが、2回ほどエサがボロボロになって上がってきただけで、アタリは出ませんでした。
エサがとられたということは、今まで左に流れたときにチャンスがあったのかもしれません。

今日は潮が澄んでいてずっと落ちていく着けエサのボイルのオキアミが見えるような状態でしたので、4ヒロ弱では着けエサが見ているのではないかと思われます。
どうも上から着けエサが見えるようなときは釣れる気がしません
今日は、午前中の魚の活性が高かった時に釣れないとだめでしたね。
家の倉庫に10年間眠っていたOLEGAの怒りはカンダイとチヌを釣り上げて収まるでしょうか。
もう1回くらいはこのパターンで釣りをしてもいいかなと思いました。
とりあえず丸ボーズではなかったですし、穂先も折らなかったので良しとすべきでしょう。
今日は前回に続いて34cmのチヌ1枚を持って帰りました。

港に帰りますと水温が上がったためかグレが釣れていました。
磯研のかたが二人で44.5と42cmの大きなグレを1枚ずつ上げていました。
40cmほどの真鯛を釣り上げている方もいました。

前回カレイを釣った方が今日もカレイを釣っていました。
この方はタナの取り方が違うのでしょうか。

いよいよシーズンインといった感じですが私は1級磯の「ヒナダン」でチヌ1枚でした。

釣行記はこの3回で34cmのチヌ2匹しか持って帰れていませんが、この釣行記を読んでいてくださる方は釣れない話ばかりで、読んでいて面白いでしょうか?
次回こそは40cmのグレが釣れたと報告したいものです。
いや、年を取りましたので釣果にこだわらずに、釣りの行程を楽しまなくてはなりません。
2番船のB級磯でのんびりと釣りたいものです。

そうなりますとますます釣行記にグレが釣れたと書くことがなくなります・・・
だいたいこの3回の釣行記がまるっきりグレが釣れていないのも関わらず「ぐれねっと」であることが許されるのかという、根本の問題にもつながるのではないでしょうか。
木っ端グレが釣れた時点でぐれねっとの釣行記として成立するものだろうか?
いやボーズでもグレを狙って磯に立った時点で「ぐれねっと」の釣行記として成立では、などと無限ループに陥りそうです。

とりあえず、今回もまたもや次回に期待となりました。
次回は皆様のご期待に添えられますように。
釣行記はグレが釣れないほうがおもしろいという話もありますが・・


TOP 釣行記index 次のページを読む