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 上野山さんからのリポート
  「3番『つりがね』は
     名前の通り『つりがね』でした」

  舞鶴の冠島 (京都府)
   2025/5/28
  

田井の位置


冠島の釣は天候により出船できないことが多いので、Fさんと打ち合わせて今年は毎週合計4回の予約を入れました。

今年は週末が低気圧の通過により荒れ模様で雨が降り、週が明けますと晴れてくるという天気のパターンが多いです。
今週もそのパターンで週末は雨となりましたが、528日水曜日の冠島釣行の日は曇りで凪の天気となりました。

そういうわけで、天の助けもあり2週連続でFさんと平日に冠島釣行にすることになりました。

28日の朝6時からのクロダイ釣具店のくじ引きでは、我々の引いたくじは7番目となりました。
これではまた13番近くの磯かと思いましたが、われわれが磯を指名する番になりましたら、なんと3番の通称「つりがね」が空いています。

この磯は冠島を代表する磯です。
前回3番に下りた方が今日来ていて、その時は40cmのグレもイサキも釣ったけれども足場が悪いので今日はやめておきますということです。
3番は実績のある磯ですが、足場が悪いのが難点です。

前に釣りをした方に聞きますと、上のほうには道具を置くスペースはあるということです。
下のほうにもバッカンを置くスペースはあるということです。
ただ足を滑らせると海に落ちる(当然そうなる)ということです。

「一度3番で釣りをしてみんか」とFさんが言いますので私は「冥途の土産話」と思い、初めて3番で釣りをすることにしました。

船は640分ごろに港を出ました。
「北の離れ」に前回3番で釣りをしたという2人組を下ろし、次に小島のほうの3番に向かいます。

磯の前に船が着きますと、まさに3番は「つりがね」状の磯です。
どの方向も急角度の斜面が海に落ちこんでいます。
下から見ますと、こんな場所で釣りをするスペースがあるのかと思います。

この磯での磯渡しは大変です。
まず、Fさんが磯の上部に行き磯の中間で私が荷物を受取ります。
もう一人が磯に渡って船から受け取った荷物を中間の私に渡してくれます。
Fさんは私から受け取った荷物を比較的平らなところに並べていきます。
この磯に下りるのでしたら荷物はなるべく少なくすることが大事と思いました。

無事磯渡しが終わりましたが、道具を出して釣る場所を決めるのが大変です。
鳥のフンだらけの磯ですので、磯を上り下りするときに岩をつかみますとフンでヌルリとします。

片手で岩をつかんで、片手でバッカンやタモを持って磯を上ったり下りたりします。
私は沖に向かって右側の低いところ、Fさんは道具を置いた横の高いところから竿を出すことにしました。

 

私の場所から上の道具置き場を見る ここを上り下りする


急角度の岩を上り下りして活かしバッカン、マキエのバッカン、竿、タモを下に下ろします。道具を下ろし終えますと、これだけで一日が終わったように疲れます。

溶岩が溶けたような岩ですので、凸凹していて長くつの先が良く挟まります。
気を付けないと、長くつが挟まりバランスをくずしそうにもなります。

久しぶりに難儀な磯です。
冬に熊野に釣りに行き柱状節理の磯で荷物を持って移動した時以来の苦労です。
こんな磯だからこそ魚も釣れるのではないでしょうか。

 

上から釣る場所を見下ろすとこうです 高さ5mほど


磯に渡ってから準備に30分ほどかかり、ようやく釣りを始めます。

今日の仕掛けは前回と同じです。
ハリス32ヒロにグレバリ7号、ウキ下は5ヒロと少しで始めます。

潮はゆっくりと左に流れます。
マキエを打ちますとスズメダイが足元から出てきます。
足もとにマキエを打ちスズメダイを集めてから沖に仕掛けを入れます。

しばらく流してアタリがないので仕掛けを上げますとエサがありません。
30cmほどタナを浅くしますがエサはとられます。
ウキが流れますので釣れそうな感じですが、アタリは出ません。

Fさんに聞きますと4ヒロから5ヒロで釣っているということです。
エサは取られたり残ったりするといっています。

私はスズメダイがいない右手の潮上にウキを入れ、仕掛けが立ったころにマキエを打つという釣り方にしてみました。

今度はゆっくりとウキが入りますが、合わせても空振りです。
スズメダイがエサを引っ張っているのでしょうか。

そのうちウキが見えなくなるほど入りましたので合わせますと魚が掛かりましたが小さい魚です。
上がってきたのは15cmほどのベラでした。

Fさんもウキが入るけれども空振りのようです。

グレがいたら釣れそうな感じですが、グレは釣れません。
この状態がずっと続いて、時刻は11時ごろになりました。

私はハリスを落とそうかと思いましたが、ここでは大型のカンダイや真鯛も来るのでハリスは3号のままで、ハリを7号から6号に小さくしました。
ハリを替えたからすぐに釣れるというものではありませんが、なんとなく気分も変わります。

潮は朝と違い右に流れだしました。
30mほど流れたウキがシモリ始めます。
沈むスピードが速いので合わせますと魚が掛かりましたが手ごたえは弱いです。

上がってきたのは24cmほどのグレです。
このグレはハリをはずして放流します。
グレはいるのはわかりましたが、もう少し大きいサイズが釣れてほしいものです。

徐々に右への流れが強くなってきましたので、私はハリスにジンタンを3個打ってウキを沈めて流れの中を釣ろうと思いました。

足もとにマキエを打ってスズメダイを集めてから竿1本ほど先に仕掛けを入れます。
竿を立て気味にして仕掛けを落としてウキを流し始めます。
このやり方で3回ほど流しましたがエサが残ります。

私は磯の内側の流れの緩いところに仕掛けを入れました。
ここですと、流れに引かれてウキが出ていくような感じになります。
仕掛けが落ちますと、マキエを3杯ほどウキに向かって打ちます。

ユックリとウキが潮の流れの中に入っていきます。
竿2本ほど流れたころに直接竿にガンとアタリが来ます。
リールのブレーキを押さえて竿を立てますと、スプールが逆転して糸が出ます。
これは大型の魚です。

突っ込む力が強いので竿がのされそうになり、竿を立てる分だけ糸を出して竿を立てますが、魚は底に向かって突っ込みます。
私は片手で竿を持って恐る恐る磯を降りて、道糸が足もとの根に当たらないように竿を沖に突き出しました。
幸い道糸は根に当たらなかったようで、魚は徐々に浮いてきました。
私は掛かった魚はカンダイではないかと思っていましたが、何か銀色の魚が上がってきます。

海面に浮きましたのは良型のマダイです。
マダイは活かしバッカンに差してあったタモで掬いました。
活かしバッカンではマダイは生きないのですぐにシメることにします。

タモに入った真鯛をハードクーラーに入れることにしますが、今は片手に竿、片手にタモを持った状態ですので身動きが取れません。

先ず体をひねって竿とタモを持ったまま1mほど磯を横に移動して、竿を活かしバッカンの竿受けに差し込みます。
次に片手でマダイが入ったタモを支えながらハリをはずします。
外したハリはリールのスプールにかけます。

こんどはマダイの入ったタモを持って、空いた片手で岩をつかみながら岩を上ります。
これは70歳目前の釣り人がすることではないですね。

上の道具置き場にマダイを持って行って、Fさんのナイフを借りてマダイをシメます。
今日はハードクーラーを持ってきていますので、シメたマダイは水氷にいれます。

ハードクーラーにマダイを入れた後に磯を下に降りて、水汲みバケツで海水を汲んでクーラーに入れます。
今日1日で何度磯を上り下りするのでしょうか。
まあ、いい運動にはなります。

 

12時過ぎに釣れたマダイ 52cm


このマダイはメジャーで測りましたら52cmでした。
6号のハリは口の横にチョンと掛かっていました。

飲み物を飲んで一息入れて釣りを再開いたします。

釣りを再開してから、しばらくして潮下のほうに漁船がやって来て刺し網を入れます。
これでは今日はもうアカンと思いました。

残り時間がありますので、早い潮の中に仕掛けを入れて釣りを続けます。
10mほど流れたウキが沈みだしてから、リールのベールを開けて道糸を出します。
道糸はパラパラとスプールから出ていきます。

岩に持たれて、眠くてボーッとしながら道糸を見ていますと、突然スプールからドビューンと言った感じで道糸が飛び出していきます。
これは大物のアタリと合わせますと、魚が掛かったとたんに竿がお辞儀をしてスプールが逆転して糸が出ます。

掛かった魚は大きな手ごたえですがリールのベールを開けるほどの引きではありません。
ブレーキを使ってやり取りします。

魚は陸側のシモリに向かって走っているようです。
すぐに魚は止まりましたが、どうも根に入ったようです。

竿で起こしますと、少し動いたような感じがします。
上から見ていたFさんが「根に入ったんか。出そうか」と声をかけてきますが魚は動きません。

何度か竿で起こしますと外れたような感じで仕掛けが戻ってきました。
ハリには海藻が引っかかっていました。
ウキ止めが10mほど上に移動しています。

この魚は海藻の中を走って根に入ったのではないでしょうか。
海藻にウキが引っかかって、ウキ止めが10mほど移動したのではないかと思われます。
そして何かの拍子でハリが外れて、海藻をひっかけてハリが上がってきたのではないかと思われます。

今回掛ったのはさらに大きい魚でしたが捕れそうな感じでしたので惜しかったです。
マダイとすると60〜70cm前後ではないでしょうか。

その後はアタリが出ずに3時過ぎになりましたので釣りを終了しました。

私の釣果は今日1日釣りをしてマダイ52cmを1匹です。
Fさんは今日もボーズということで、冠島2連敗ということです。

3番は釣れそうな磯ですが、一度釣りをすると次回はもう結構という感じです。

3番「つりがね」はやはり名前の通り「つりがね」でした。

また次回に期待です。


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