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上野山さんからのリポート
「その1回をものにした」
敦賀半島の地磯 (福井県)
2018/11/20
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11月20日の火曜日はサンスイ釣具店の月に1回だけの休みの日です。
先月のサンスイ釣具の休みは雨の日だったのですが、ご主人は一人で磯釣りに出かけて33cmのグレを釣ったということです。
今月の休みの20日の天気予報は晴れのち曇りですので、マアマアの天気です。
先週に店に遊びに行きますと、今度の休みに一緒に釣りに行きませんかとマキエを打たれてしまいました。
「まあ、都合が着けば行きますけど」と私は言葉を濁しましたが、早速火曜日の用事を月曜日と水曜日に振り分けてすぐに火曜日は休めるようにしましたが、あまりすぐに行くと返事するのもなんですので、半日ほどおいてからサンスイのご主人に「何とか火曜日休めますよ」と重々しく連絡しました。
すぐにマキエに食いつくというコッパグレのような振る舞いは、大物グレを狙う釣り師としては恥ずかしいというものです。
なんのこっちゃ!!
実は私は18日の日曜日にも2時間ほど釣りに行っています。(釣行記「ベラ地獄の後に尾長グレ」)
中1日おいての平日の磯釣りですが、まあ日曜日は2時間ほどでしたしウオーミングアップのようなものです。
私はこのところ腰痛が出て仕事中は腰痛ベルトをしています。
釣には腰痛ベルトと登山の時に使うサポートタイツを履いて腰をがっちりとガードして行きます。
着けエサ入れをライフジャケットにぶら下げて、あまりかがまないでいいようにも気を配っています。
それで何とか2時間くらいなら大丈夫なのですが、長時間の釣りとなりますと腰が持つかどうか心配ですが、釣りに行きたい気持の方が腰痛に打ち勝ってしまいました。
ここ2回の地磯でのグレ釣りでは小さいですがグレを釣っていますので、今がラッシュをかけるときだと釣りの神様が後押ししてくれているような気もいたします。
まあ、なんといっても60歳も過ぎましたので、磯釣りはあと何年できるかわかりませんから。
毎回平日に釣りに行くときは、あと何回行けるかわからないと言い訳していますが・・・
月曜日の朝の天気予報では高気圧が張り出して来るということですので、もしかしたら渡船が出るかもしれないと思い、久しぶりに舞鶴田井の毛島に行こうという話にもなりました。
19日の夕方に渡船屋に私が電話をしますと「明日は波が2mなので船は出ません」ということです。
思ったよりも高気圧の張り出しが遅くなったのかもしれません。
サンスイのご主人と電話で話しますと「それでは、明日は私が前回釣った敦賀半島の地磯に行こう」ということになりました。
敦賀半島の地磯のポイントはよく知られた場所ですので、週末は釣り人が絶えませんが平日ならば空いているだろうという読みです。
ただ、崖を上り下りしなくてはならないので腰が心配です。
電話で打ち合わせて、朝の5時にサンスイ釣具店で待ち合わせていくということになりました。
20日の朝5時に寒い中、時間通り5時にサンスイ釣り具店に到着しましたが、ヘッドランプを忘れたので家まで取りに戻りました。
最近、ヘッドランプが必要な釣りをすることがありませんのですっかり忘れていました。
敦賀半島の地磯に降りる道の近くに車を止めて道具を背負子(しょいこ)にくくります。
背負子は私の分もM君が用意してくれました。
氷の入った磯クーラーはサンスイのご主人のM君がかついでくれました。
私はオキアミ1枚に半分ほどのアミエビの入ったバッカンにライフジャケット、カッパなどを背負子にくくりました。
私のほうの荷物は6kgほどだとお思いますが、M君はオキアミ2枚に氷を持っているので15kg近くあるのではないかと思います。
ヘッドランプの明かりを頼りに、人の踏み後だけをたどって暗い山道を下ります。
ずっとやぶの中のようなところを通りますので、時折背負子が木の枝に引っかかって後ろから化け物に引っ張られたような気がします。
一人だったら暗いうちは、こんなところにはよく来ないなと思います。
糠の地磯ならば崖を下りることもありませんので、そう苦労しなくても28cmほどのグレなら釣れます。
地磯で30cmオーバーのグレを釣るためにはなんという苦労がいるのでしょうか。
この苦労が報われるとよいのですが。
崖を下りるということは、当然ながら帰りにはまた登って戻ってこなくてはなりません!!
道の途中の急なところはロープがありますので、ロープを頼りにゆっくりと降ります。
20分ほど道を下りますと、ようやく海が見えてきました。
あたりは薄明るくなってきました。
M君は重い荷物を持っているので膝が痛いと言っています。
この苦労をするなら4千円の渡船代金は安いものと改めて思います。
海まで降りましたので、今度は波が来るゴロタ浜を長靴に水が入らないように注意しながら歩きます。
ヘッドランプで海の中を照らして岩を見ながら足場を確認して一歩一歩前進します。
釣り場についたときにはあたりはかなり明るくなってきました。
車を止めたところから歩いて30分ほどかかったのではないでしょうか。
背負子の荷物をほどいてカッパとライフジャケットを着ます。
一息ついて飲み物を飲んでからヘッドランプで手元を照らしながら仕掛けを作ります。
以前私がこの磯に来たのは、子供が生まれる前でしたのでもう30年近く前になるかと思います。
崖を下りる道も変わっていたように思いました。
さて今日の仕掛けです。
竿はアテンダーU1.5号、道糸3号、ハリス1.75号にグレバリ7号です。
ウキは小粒の円錐ウキを遊動にしてサルカンで道糸とハリスをつなぎます。
ウキ下は3ヒロから始めます。
M君の話では、前回はエサ取りが沖に出なかったので、3ヒロ半で33cmのグレが釣れたということです。
それもあり、今日は深めの3ヒロのスタートとしました。
足もとにマキエを打ってその少し先にウキを投入します。
もう時刻は6時30分です。
波は無いものの、北風が強く吹きます。
風が冷たいのでカッパを着ていても首筋が寒く感じられます。
沖では白波もたっています。
これでは、渡船は出られないと思いました。
足もとに落としたウキがゆっくりと左に流れてサソイを掛けますとゆっくりとウキが入ります。
合わせますと魚が掛かりましたが何も手ごたえがありません。
海から飛んで上がってきたのは5cmほどの鯛の子です。
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1投目で釣れてきた タイの子
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その後は足元にウキを落としても沖にウキを投げてもエサがとられるばかりです。
M君はコッパグレを釣っています。
ウキ下を聞きますと2ヒロ半ということなので、私はウキ下を浅くして2ヒロ少しにしました。
ウキ下を浅くしますと沖でゆっくりとウキが入るアタリがあり、今度はウマズラが釣れてきました。
こいつが沖でエサをかすめ取っていたのだと思います。
M君もウマズラを釣りますがなんと釣れたのではなく、ウマズラがハリに引っかかってきました。
これでは海の中をウマズラが無数に泳いでいるのではないでしょうか。
「今、海の中を覗くことが出来たら釣りが嫌になるくらいウマズラが見えると思うよ」とM君が言います。
M君が煮て食べるとおいしいと言いますので私はウマズラを持って帰ることにしました。
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7時前に釣れたウマズラ
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やがて私もスレでウマズラが釣れました。
「前回は何か大きな魚がいたのか、足元からスズメダイが沖に出なかったが今日はスズメダイが沖に打ったマキエに出て行く」とM君が言います。
私にも偏光グラス越しに足もとに無数のスズメダイが見えます。
足もとにはスズメダイ、沖にはウマズラというエサトリだらけの中からグレを釣るのは大変なことです。
私は足もとにマキエを打ってスズメダイを寄せてから、沖に仕掛けを投入してグレを釣ろうと思いました。
足もとにマキエを打ちスズメダイが集合したのを確認してから、ソット仕掛けを沖に入れて少しのマキエをウキの回りに投入します。
仕掛けが馴染みますとウキが入ります。
合わせますと今度は竿が引き込まれるいい引きです。
竿を立ててやり取りしますが足元まで魚が来ましたら、足元の岩に張り付いてしまいました。
M君が少し待っていれば出てくると言いますので、私は道糸を張って待っていました。
しばらくしますと魚が動き何とか水面まで浮かせました。
M君がタモを持ってきましたが魚を見て「これは抜けるよ」と言いますので私はグレを抜きあげました。
このグレは29cmでした。
釣を開始して30分でようやく持って帰ることのできるグレを釣ることができました。
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7時過ぎに釣れたグレ 29cm
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その後はなかなか同じ釣り方ができません。
スズメダイが沖でも待機していますし、ウマズラでしょうかウキにアタリが出ずにエサが無くなります。
M君は27,8cmのグレを2枚ほど釣りました。
「今日はこんなものですかね」と私が言いますと「ここは30cmオーバーのグレはけっこういると思いますよ。今日は30cmオーバーのグレを5匹ほど釣ろうと思っていたのですが、なかなか思い通りにはいきませんね。前回とエサトリの勢いが全然違いますね。今日は潮もそう流れていないようです」とM君が言います。
まだ、マキエも大量に残っていますので釣りを続けますが、釣れてくるのはコッパグレかウマズラです。
前回の糠でエサトリだったベラは1匹も釣れません。
場所によってエサトリは違いますね。
時刻は8時になりましたので、今日はもう良型のグレは釣れないのではないかと思いました。
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隣で釣りをするM君
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M君はこの場所ではけっこう魚を釣っていますので、ぜんぜんあきらめたようなそぶりは見せません。
私はコッパグレしか釣れないので少し休憩して、コンビニで買ってきたサンドイッチを食べました。
M君はこの場所では今年の春に50cmオーバーの真鯛も釣っています。
なにか良型の魚が釣れるという確信のようなものがあるのでしょうか、熱心に打ち返しています。
時刻は9時になりました。
それまでどうやっても手のひらグレしか釣れませんでしたが、M君が2枚続けて30cmほどのグレを釣ります。
私もM君のウキと同じあたりにウキを投げて27cmほどのグレが釣れました。
「今まで手のひらグレしか釣れなかったけど急にグレが大きくなったのは海の状態が変わったのかな」とM君が言います。
足もとにマキエを打ちスズメダイを集めてから少し沖にウキを投入して、ウキをゆっくりと引き寄せてスズメダイが出るか出ないかというあたりでグレを待つような釣り方です。
グレの勢いがあればスズメダイを蹴散らしてウキを沈めてくれるのですが、今日はそんなに勢いはないようです。
この釣り方は足元のスズメダイとの駆け引きのような釣り方です。
マキエの切れ目が釣りの終了というような釣りです。
しかしもう30cmのグレは釣れずに釣れてくるのは26cmほどのグレです。
もうお互い7,8匹ずつは持って帰るグレを釣りましたのでこのサイズは放流です。
そのうちに沖に投げたウキがゆっくり入るけれどもハリにのらないというアタリが出だしました。
「これはスズメダイがエサを引っ張っているのではないか」とM君が言います。
となりますと、強敵のウマズラはいなくなったのかもしれません。
時刻は11時になり大分疲れてきました。
私は朝の6時半からこの時間までほとんど立って釣りをしています。
座ったのはパンを食べた時と陣笠でハリスを切ってしまってハリスを張り替えたときくらいです。
楽しい時間は腰痛に勝るのでしょうか。
M君が「エサが底まで落ちたのか久しぶりに真鯛の子が釣れた」と言います。
私も沖に投げた仕掛けを上げますとなんと今日初めてエサが着いています。
これは大きな魚が回っているかもしれないと思い、私はウキ下を1ヒロ深くとり2ヒロ半として沖に仕掛けを投入しました。
仕掛が馴染むと同時にウキが勢いよく入ります。
赤いウキが見えなくなって合わせを入れますと竿が引き込まれます。
この時がウキフカセ釣で一番心ときめくときですね。
魚は深く潜りますが糸を出さずにやり取りします。
大きくまがったアテンダーを見て、M君が「オッこれはいいグレかな」と言ってタモを用意してくれます。
朝は、やり取りの最中にグレに足元の岩に張り付かれてしまいましたので、岩の前のほうに行ってグレがあまり足元に寄りすぎないように注意しながら魚を浮かせました。
浮いてきたグレを見て「これは良い型ですね」とM君が言います。
M君の用意したタモに頭から滑るようにグレを入れて、無事に取り込んだのは35cmほどのグレです。
敦賀半島の地磯ではなかなかの大物です。
時刻を見ますと11時20分です。
こんな昼ごろに良型のグレが釣れるとは思いもよりませんでした。
エサが残ったというのは大物が回って来た時のサインでした。
やはりグレ釣りは時合があるのだと思いました。
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11時過ぎに釣れたグレ35cm 地磯では充分な大きさ |
その後は連続で良型が来るかと熱心に打ち返しましたが、もういいアタリはありません。
チャンスは1回だけだったのかもしれません。
その1回をものにしたのは、あきらめずに釣りを続けてサインを見逃さなかったからかなと思います。
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地磯では良型のグレを釣った私 この時は腰痛を忘れている |
やがて12時になりマキエもなくなりましたので我々は釣を終了しました。
持って帰るグレは20匹ほどになりましたので、これは来た時と同じくらいの荷物です。
M君は磯クーラーの氷を半分捨てて荷物を軽くしていますが、今度は崖を登りますのでM君には大変な労働です。
私が磯クーラーを担ぎましょうかと言いましたがM君は自分で担ぐと言います。
私はマキエサが無くなった分荷物が軽くなりましたが、M君は重い釣果を背負ってヨロヨロと来た道を戻りました。
先に立った私は途中何度も道を間違えてしまい後ろからM君に注意されました。
この道は夕方の釣りの後の暗い中でしたら方向を見失うかもしれませんね。
最後に急な道をのぼると道路に出ることができました。
遅れてきたM君は息も絶え絶えです。
「やはり次は渡船の釣りがいいですね」と言いましたら、「これからは自分で釣った分は自分で担いでもらいます」とM君は言います。
今回は場所の案内から荷物担ぎまでM君にはお世話になりました。
M君のおかげで地磯では良型のグレも釣り上げることができました。
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二人分の重い釣果を背負って崖をあがって来たM君
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M君と釣りをしたのは、今年の2月に私が武者泊で真鯛を釣った時以来です。
釣友達と二人でエサトリの話や釣れたタナの話をしながら釣りをするのは楽しいものです。
また再びこの釣り場に来てみたいですが、暗いうちに一人で山道を下りることはとてもできないと思いました。
成功体験を刻んでしまったからには、またM君とこの場所で竿を並べてみたいものだと思いました。
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