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 上野山さんからのリポート
 「割り込みゆたきち大ハシャギの一日」

  泊 (福井県)
   2025/01/19

 



正月に久しぶりに熊野で2日釣りをして、敦賀に帰ってから腰痛が出てしまいました。
よく考えてみますと、この2年間、宿泊しての2日釣りはしていません。
2日間の釣りに体が慣れていないところに、年を取っての体力の低下もあり腰痛も発生したのではないでしょうか。

週の半ばの木曜日にFさんから、19日の日曜日は凪になるから渡船で釣りに行かんかと連絡がありました。
腰痛もおさまってきているので、私は泊の大谷渡船に電話しました。

大谷渡船はまだ2人ならいけるということでしたので私は予約を入れました。
19日の出船は朝7時ということで、6時半には来ていてということです。
船長からはゆたきち師匠(以下Y君)も来ると言われました。

Y君とは、たまに大谷渡船の駐車場で会いますが、泊では竿を並べて釣ったことはありません。
「ぐれねっと」で最後にY君と一緒に磯釣りをした日を見てみますと、釣行記No190「ナント3年ぶりの大雪の日に釣りに行く」20152月)ですので、もう10年も一緒に磯釣りに行っていないのです。
琵琶湖での琵琶マス釣りは、239月にY君と行っていますので、釣りはしているということですね。

19日の日曜日は敦賀を朝5時ごろに出ました。
6時過ぎに大谷渡船の駐車場に到着しますと船長がいます。

今日は南風ですのでそう寒くはありません。
今日の天気は弱い南風で曇り時々晴れです。

船長に挨拶をしますと「今日上野山さんとFさんとY君は3人で長崎におりて」と天の声を掛けられます。
この渡船屋は出船前に話し合いで釣る磯が決まりますので気楽でよいですね。

船は7時前に港を出てスローで沖に向かいます。
今日の釣り人は8人です。

天気は薄曇りで風はほとんどありません。
海水の色は濁ったようなブルーです。
時折サラシが出ますので少しウネリは残っているのでしょう。

我々3人は最後に長崎に着けてもらいました。
磯の上で話し合ってY君は先端左側、Fさんは先端右側の高いところ、私は船着きで釣ることになりました。

 

私の釣場 長崎の船着き


今日は腰のことを考えてなるべく平らな場所ということで、私は船着きを釣り場所にしました。

しかし、船着きではいままで28cmほどのグレしか釣ったことがありません。
ここはやや苦手な場所です。

かがんで立った時など、まだ腰が痛みますので今日は腰痛ベルトを巻いてきました。
中腰にならずに立った状態のままのほうが腰の痛みは出ないようです。

 

先端で支度をするY


ゆっくりと仕掛けを作っていましたら時刻は8時前になりました。

今日は迎えが4時です。
釣る時間が長いのでオキアミ2枚に集魚剤、着けエサはいつものボイルとしました。

今日の仕掛けです
竿はマスターモデル尾長M,道糸2.5号ハリス2.5号、ウキは3Bのウキにサルカンを使って道糸とハリスを結びました。
ハリはグレバリの7号です。

この仕掛けで3Bのオモリを打ちますと、仕掛けがなじみますとゆっくりとウキが沈んでいきます。
タナは4ヒロから始めました。

ウキを竿2本ほどのところに投入しますが、仕掛けがなじんでもあまり流れません。
ウキが沈んで見えなくなって上げてきますと、投入した場所から2mほど左側から上がってきます。
エサは着いてきます。
これは、ほとんど潮が流れていないような感じです。

5投目くらいに何かが掛かかっていましたが、引きは弱いです。
上がってきたのは8cmほどのガシラの子供です。
1匹目がガシラとは不吉な感じがいたします。
ガシラはハリをはずして放流します。

Y君にエサは取られるかと聞きますと「最初2回くらいはとられたが今は残ってくる」ということです。
ウキは流れるかと聞きますと「先端に向かって流れる」ということです。
長崎に当たってきた潮が先端に向かって流れているということでしょうか。

しばらくやってみてもウキが流れないし、毎回エサがついて上がってきますので、これでは今日はアカンと思いました。

竿を置いてFさんのところに様子を聞きに行きますと、やはりFさんもエサは2回ほど取られたが残ってくるということです。
タナを聞きますと4ヒロから沈めているということです。

帰りにY君にタナを聞きますと「タナは4ヒロほど」ということです。
「先端では右寄りに流れると根掛するので4ヒロまでです」ということです。

私のほうはガシラが1匹釣れたあとは、アタリもありませんしエサも取られません。
たまにサラシも出ますので、チヌが釣れそうな感じですがアタリはありません。

9時半ごろになってFさんがようやく26cmほどのグレを釣りました。
「よしグレがいるのはわかった。釣るかどうかは腕次第でっせ」とY君がいいます。

何か潮が変わったのでしょうか、しかし私の場所はウキが止まったままか、サラシに押されて左に行くかです。
相変わらずエサは残ってきます。
私はこの場所では釣れないと思いました。

「私は見切りをつけて反対側でやりますわ」とY君に言って、船着きと反対側の宇久向きに場所を移動することにしました。
時刻はもう10時になっていました。

長崎は半島のように突き出た磯ですので、先端は両側で竿を出すことができます。
私は腰が痛いのを我慢してバッカンと竿とタモを移動しました。
活かしバッカンは海水が入っていて重いので船着きに置いておきました。
もしかして今日は魚が釣れないかもしれないと思ったからです。

移動した場所はFさんの釣っている場所より20mほど陸寄りで、割と平らな磯です。
ここでは1回竿を出してことがあり,その時はチヌを2枚釣っています。
確か4ヒロちょっとで根掛した覚えがありますので、サルカンをはずしてウキが沈まないように調整しました。
タナは4ヒロにしました。

釣場の左側からサラシが出ますので、サラシにマキエを打ち少し沖にウキを投入してウキにもマキエを打ちます。
マキエが効いていないと思い仕掛けを投入するごとに、5回くらいマキエを打ちました。

ウキを投入して4回目くらいでエサが齧られました。
これは見込みがありそうです。

サラシで沖に出るウキは、そのあとゆっくりと左に流れます。
さっきの船着きよりは魚が釣れそうな感じです。

6投目くらいでしょうか、ウキがユックリと入ります。
ウキが根掛したように止まっていますので様子を見ていますと、そこからまたユックリと沈みます。

これはアタリかと半信半疑で合わせますと大きな手ごたえです。
竿が満月になりますが、掛かった魚は頭を振ります。
ゴンゴンという手ごたえが竿を通して伝わってきます。

ブレーキを緩めるほどの引きではありませんが、魚は右に左にと動き回ります。
良く引いた魚は海面に出ると予想通りチヌでした。

このチヌはタモに入れて船着きの活かしバッカンのところまで持っていきます。

 

泊での1匹目はチヌ42cm

釣れたのは42cmのきれいなチヌでした。

Y君に「チヌが釣れたよ」と声を掛けますと「私はエサが残ったままで釣れません。こんなんやったらミズガシラに下りたほうが良かったです」と早くもボヤキが出ます。
デタッ、久しぶりの師匠のボヤキ!!

後で聞いた話では昨年の秋にY君は「ミズガシラ」という磯でシマダイの35cmを釣り上げ、浅いタナでグレも入れ食いになったということです。
ゆたきち師匠は、季節を考えずに相変らず「過去の成功体験」のみで釣り場所を考えているようです。

それから3投ほどしてまたゆっくりとウキが入ります。
2呼吸ほど置いて合わせますと、魚が掛かりましたが弱い引きです。

今度は手のひらサイズのグレが釣れてきました。
このグレを見て私はこの場所ではグレが釣れると思いました。

 

手のひらグレだが7号のハリを咥えている


その後はたまにエサが齧られます。
この場所はこれ以上深くすると根掛しますので、エサが残ってもウキ下は下げないことにします。

それからしばらくして26cmほどのグレが釣れました。
このグレもこれ以上のサイズが釣れないかもしれないと思い、活かしバッカンに入れておきます。

10分ほどしてまたゆっくりとウキが沈みます。
ウキが見えなくなってから合わせますと結構いい引きです。
今度は頭を振りません。

掛ったのは良型のグレです。

タモに入ったのは33cmのグレでした。
良く引きましたのでもっと大きいかなと思ってしまいました。

 

11時ごろに釣れたグレ33cm


このグレを活かしバッカンに入れに行きますと「この場所は釣れんのかなー今日はボーズや、やっぱり今日はミズガシラやった」とY君がボヤキます。
「場所を反対側に変わってみたら」といいますがY君はボヤク割に踏ん切りがつかないようです。
釣り人としてみると、かなりマキエを打った場所から移動して、新しい場所で一からマキエをして釣るのは勇気がいります。
どうもY君は煮え切らないようでした。

その後は26cmほどのグレが釣れましたが、33cmを釣りましたので、もうグレは放流しました。

11時半ごろになり足元でウキがユックリと入り動きません。
根掛したかなと思い竿を上げますと魚がついています。
これはあまり引かないので大きなガシラかと思いました。

海面に浮いたのはナント大きなチヌです。
海面に近づいてからバタバタと大暴れします。
サラシのなかを行ったり来たりするチヌを私は何とかタモに入れました。
このチヌは50cmありました。

 

11時半ごろに釣れたチヌ50cm


50cmのチヌを活かしバッカンに入れていますと、見ていたY君がもう辛抱たまらんとばかりに「わしも反対側で釣ります」といいます。


反対側はY君のすぐ後ろでも竿を出せますが、私とFさんの間に入ることになります。
私の右側で竿を出すとなると、少し磯を歩かなくてはなりません。

反対側の磯を見たY君は「Fさんと上野山さんの間に入ってもいいですかね」とさっきまでのボヤキとは裏腹に、猫なで声で言います。

Y君が入る場所は今まで私がマキエを打ってウキを流していた場所です
私はチヌもグレも釣っていますので、まあエエカと思い「どうぞそこで竿を出してください」と返事しました。

私は左側にY君が入りましたので少し右側にウキを投入しました。
潮は左に行ったり当ててきたりします。

私の左側で用意を済ませたY君は「こうして3人並んで釣っていますと、三重県で下山さん、上野山さんと並んで釣っていたことを思い出しますな。Fさん割り込んですんません、よろしくお願いしますよ。皆さんのご厚意に甘えてしまいます」などと言って愛嬌をふりまいています。
まったく相変らず、世渡り上手なオヤジです。
私とFさんの間に割り込んでからは、家の飼い猫がこたつに入るように、すり寄ってくるゆたきち師匠でした。

私のマキエが効いていたためか(キットそうですが)しばらくしてY君の竿が曲がり、26cmほどのグレが釣れます。
「私は30cmないと放流します」と言ってY君はせっかく釣れたグレを放流します。

その後もY君に25,6cmのグレがぽつぽつと掛かりますが全部放流しています。
グレが釣れているのに「今日はアカン、ボーズや。持って帰る魚が釣れんわ」とわめいています。
さっきまでのエサも取られない状態から見たらグレが釣れるだけでも上等と思いますが、何とも欲深なオヤジでありました。

 

私とFさんの間で竿を出すゆたきち師匠


そのうちY君の竿が大きく曲がってタモには良型のグレが入りました。
グレは見たところ34cmほどです。

「これでボーズがなくなりました。皆さんの間に入れていただいたおかげです。感謝してまっせ」と、また私にむかって猫なで声で言います。
ホンマに現金なところは昔と全く変わりません。

その後もY君はグレを連発して釣ります。
なかには30cmを超えてタモを入れるサイズも釣れています。

私にも31cmのグレが釣れました。
Y君にグレが掛かった時に、私にもグレが掛かり「オー、これはダブルヒットですな。まるで釣番組みたいや。今日はいい日ですな、釣場所を変わって大正解や」とY君のボルテージが上がっています。

「今日は長崎で正解でしたな」と先ほどの「ミズガシラにしとけばよかった」のボヤキは忘れて上機嫌です。
まったくエエ調子です。

グレが掛かりだしてから、Y君は一時1投ごとにグレが掛かっています。
タナを聞きますと竿1本と少しということです。
仕掛けを聞きますとウキは3B、ハリス1.75号、ハリは5号ということですので、私より仕掛けが細い分良く釣れるのでしょうか。

この間、Y君の独壇場です。
何故かY君ばかりアタリが出ます。
私のマキエが全部Y君の前に行っているのでしょうか?

私にもY君が3匹釣る間に1匹ほどの割合でグレが釣れます。
何故か並んで釣っている、左側のFさんにはアタリが出ません。

我々はよく魚が釣れるので昼ごはんを食べずに釣りをしました。
私は腰が痛いので休憩時に食べようと羊羹や甘いパンを買ってきましたが、それらを食べずに休憩なしで釣り続けました。
これは欲と言うほかないですね。

時刻は1時ごろになりました。
さすがにグレも入れ食いというわけにはいきません。
たまにウキが入りますが空振りもあります。
何かエサ取りが出てきたのでしょう。

磯の右側に投げたウキがユックリと沈みます。
見ていると速度が加速していきます。
合わせますと、大きな手ごたえで竿を引き込みます。
これは大きいと思いました。
グレならば40cm超えだと思いました。

掛った魚は頭を振りません。
チヌではないようです。
これは期待大です。

しばらくしてウキが見えてきました。
「ナンヤ大きな魚が掛かりましたな。グレですか」とY君が言います。
海面に浮いてきた魚は茶色です。

アアー、これはいつものカンダイです。

 

カンダイ40cm


釣れたのは40cmほどのカンダイです。

この魚は掛かった時は頑張って引きますので、実際よりも大きく感じてしまいます。

Fさんに持って帰るかと聞きましたら、今日はいらないということでしたので、この魚はハリをはずして放流しました。
カンダイには恩返しにこんでいいからと念を押しておきました。

2時半を過ぎましたら、グレもあまり当たらなくなりました。
着けエサも残ってきます。
迎えが4時ですので魚の処理も考えると3時過ぎには終了しようと思いました。

3時になりましたら今度は立て続けにFさんにグレが掛かりました。
後で聞きましたら3時ごろから左沖に潮が行きだして沖でグレが食ってきたということです。ホンマにグレ釣りは潮次第ですね。

時刻は3時になりましたので私はゆっくりと道具を片付けました。

今日の釣果です

私はチヌ50,42cm、カンダイ40cm、グレ33,31,29cm、Fさんグレ28から31cmを6枚、ゆたきち師匠グレ28から33cmを5枚でした。
50cmのチヌは帰りに放流しました。

ゆたきち師匠は今日、20枚ほどグレを釣ったのではないでしょうか。
私もFさんも10枚前後グレを釣っていますので、3人で40枚前後のグレを釣ったことになります。
釣としては上出来な1日でした。

 
私の釣果 

帰りの船の中で船長が「今日はどうやった」と聞いてきましたので、「朝は船着きでは釣れなかったけれども、10時ごろに宇久向きに場所を変わってから魚が釣れました。Y君もあとから割り込んできてグレの入れ食いになりました」といいました。

船長はすかさず「ヒナダンゆたきち(ヒナダンではY君はよくグレを釣っている)から割り込みゆたきちに名前変えなあかんな」といいます。

船の中でほかの磯で釣った方に聞いてみましたら、1日アタリがなかったという方もおられました。
私の今日の朝の状態が1日続いたということです。
これは大変な修行の1日でしたね。

Fさんは潮が変わってから帰り際にグレが釣れましたが、Y君が大ハシャギしているときはすぐ隣でアタリが出ずになんでかなと考えていたそうです。

ともあれY君はグレを20匹近く釣って今日の竿頭のようです。
Y君は12時前までエサがとられなくて、磯を変わってから2時間ほどで20匹ほどグレを釣りましたので、陽気になるのは無理もないことでしょう。

船の中で「Y君は連続でグレを釣って名人ですね」と冷やかしますと「いやいやマグレですよ。皆さんの好意で間に入れていただいたおかげです」と言っていますが顔はニヤニヤしています。
渡船屋の事務所で今日の釣果の写真を撮った後「また一緒に釣りをしましょう」と言ってY君とは別れました。

今日は「割り込みゆたきち大ハシャギの一日」となりました。
シャンシャン


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