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上野山さんからのリポート
「大ダイとのやりとりはスリリング」
西小川 (福井県)
2005/05/05
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5月5日は釣友のSさんと久しぶりに若狭湾の西小川に釣行しました。
前日はウチの中学生の子供とその友人2人を連れて近くの砂浜に投げ釣りに行き、ゴカイを付けたり、ハリを結んだりして、せっせと女の子3人の面倒を見ましたので5日は子供の日ですが堂々と釣りに行ってきました。
昨年はここ若狭地方も台風が何度も直撃し、大雨で西小川に通じる道が落ちてしまい、行くことが出来なくなりました。
そういうわけで昨年は足が遠のいてしまい、近くの常神半島の小川や音海に釣行しておりました。
幸い今は道路の工事が進み片側通行となりましたので、久しぶりに5日は午後からすみや渡船で西小川の磯に釣行しました。
Sさんは今月2日にも釣りに行き、越前方面の地磯で47cmのチヌを釣っています。
同行者も53cmのチヌを釣ったということです。
サンスイ釣具店に釣況を聞いても今年はチヌが結構釣れているようです。
Sさん宅には午前11時に迎えに行き、サンスイ釣具店で二人分としてオキアミ3枚を購入しました。
SさんはチヌパワーやらV9やら色々集魚材を買っています。
私は遠投しやすいようにマキエにアミエビを混ぜることにしました。
エサ代は一人1800円ほどです。
すみや渡船は渡船料金が3000円ですので、大平洋側の半夜釣りに比べると割安な遊びですね。
12時30分頃に渡船屋に着き1年ぶりということで船長にあいさつをします。
1時に出るのは我々二人ということです。
「この連休は天気がいいのに人出が少ないですわ」ということですので、一部の企業は景気回復しているといっても、ながびく不況で釣りに行く人も減っているのかもしれませんね。
「グレは出てますか」と聞きますと「釣れる日もあるけど、まだボチボチというところかな」と言う返事です。
今年は水温が低いということですので、グレもいつもより遅れているのかもしれません。
やがて1時になり我々2人で船を出してもらいます。
天気は雲一つない快晴で北の微風、波高50cmというベタ凪です。
海を見ますと浅いところは下が透けて見えます。
こんな日はどうも夕方の一瞬しか釣れないように思えます。
Sさんは「今日は昼寝日和やな。なるべく平らな磯がいいな」などと早くもあきらめたような事を言っています。
船は半島の先端に向かいます。
先端にある「ボラグリ」、「アシダカ」、「カモメ」などの磯はすでに釣り人が乗っています。
船長はボラグリの陸寄りにある「コボラグリ」に付けてくれました。
「今日はここでやり。先週はここで70cmのマダイが釣れているで。迎えは夕方6時30分ですよ。タナは6ヒロ前後かな。まあ、がんばってみて」とアドバイスしてくれました。
ここはかなり深いのですが、それでも潮が澄んでいるのでうっすらと海底が見えます。
我々は5mほど離れて、二つに分かれた岩に乗りました。
この岩は間を波が行き来しますが、チョット飛べば渡れる距離です。
二つの岩はデコボコしていて船が通ると足元に波が上がってくる低い磯ですので、とても昼寝のスペースはありません。
私はマキエの準備をした後、途中のコンビニで買ってきた弁当を食べました。
食べている間にマキエをしますと、スズメダイが集まってきます。
潮はゆっくり陸に向かって流れているようです。
先に竿を出したSさんは早くもベラを釣って「とりあえずウキが入った」と言っています。
私はここ西小川では何度か大物をバラしています。
「ぐれねっと」さんに投稿いたしました釣行記では、NO57「開幕は大物のバラシ西小川に通いそう」、NO60「胴まで曲がってどうにもならない」で詳しく書いてありますので後でそちらも読んでいただけますと「3年前から大物に遭遇しながら姿を見ていない」という悔しい状況がわかっていただけると思います。
一時は道糸、ハリス4号通しで西小川に釣行したりしましたが、そんな準備万端の時は、えてして大物には遭遇しないようです。
5月2日の荒れた日にSさんが越前の浅場の地磯でチヌを釣ったということでしたので、私は3日の朝なら波が残っているだろうと、釣りの仕度をして寝たのですが、朝起きられずに予定を変更して渓流釣りに出かけました。
その時にハリまで結んで作った仕掛けをそのまま使うことにします。
竿はいつものガマのレイダム1.5号。
リールはシマノの8000番。
道糸3号、ハリスはシーガーの1.7号、ハリはグレメジナの6号。
ウキは今年ずっと使っている釣研のツインセンサーです。
道糸とハリスは直結します。
ウキ下はとりあえず5ヒロからスタートします。
ウキを投入するとゆっくり陸向きに流れますが、陸向きには20mほど離れたところに幅5mほどの大きなシモリがあります。
そのシモリに引っかからないように流すとなると、遠投してシモリの向こう側を流すか、エサトリを交わしてシモリの手前を流すことになります。
私は底が見えそうな澄み潮ですので遠投してシモリの向こう側を流すことにしました。
5ヒロではエサが残りますので、だんだん深くしてウキ下を6ヒロ半まで落としました。
このタナですとシモリ近くでは、たまに根ガカリしてしまいます。
Sさんはベラやガシラを5,6匹釣っています。
私もベラを3匹ほど釣りました。
偏光グラスを通して海の中を見てもスズメダイの下にはコッパグレも出てきません。
これでは今日はボーズかもしれないと思います。
3時頃になり潮が幾分速くなりました。
シモリの向こう側に回ったウキがスーと入っていきます。
またベラかなと軽く合わせますと、いきなり竿がのされてフリーにしてあるリールが逆転します。
力強い引きで走りますのでチヌでは無いようです。
リールがもの凄い早さで逆転します。
「オッ、マダイか」とSさんが声をかけます。
「糸がドンドン出ていきます。ハリス1.7号ですのでなんともなりませんわ」と私は答えました。
かかった魚は、幸いシモリから離れるように陸向きに走りましたので道糸がシモリにこすれる事はないようです。
魚が止まったときに何度か寄せようと竿で引いてみるのですが、逆に魚は走るばかりでドンドン糸が出ていきます。
道糸は4,50mほど出たでしょうか、そこで根掛かりしたように魚が動かなくなりました。
Sさんが「ゆっくりやりな。タイならまた出て来るで」と声をかけてきます。
私は竿を右に倒しても左に倒しても魚が動かないのであきらめてリールのベールを開けて、竿を竿かけに置いて、竿袋からお茶を出して一口飲み少し休憩しました。
もしかすると、ウキがシモリに引っかかったのではないかとも思いましたが、引っかかったならとうに切れていると思いここは待つことにしました。
ここまでで、すでに5分近くかかっています。
しばらくして竿をあおりますと魚は左に向かって動きました。
これは幸運です、待っていたかいがありました。
魚が動いたので何となく捕れそうな感じがしてきました。
最初の突っ込みから見ると少し魚の引きも弱まってきたように思えます。
私はここが勝負とレイダムが満月を越えてUの字になりながらも必死に寄せました。
手前に寄ってきた魚が今度は右に動きシモリの向こうに入りますが、ここは強引に行くのみと竿をこらえますと魚はシモリのこちら側にイヤイヤ出てきたようです。
足元で突っ込むのをこらえますと徐々に下から白っぽい魚体が見えてきます。
少しやりとりをして、海面に横たわったのは大きなマダイです。
見たところは70cm程ありそうです。
ここであわててはいけないと自分に言い聞かせます。
マダイは横になって、もう突っ込む力はないようです。
私は右手で荷掛けからタモをはずしてゆっくりと大ダイを頭からタモに入れました。
魚のアタマをタモに入れるとタモを前後にしごくようにゆすって、すっぽりと魚をタモに入れました。
昨年、タモ折ってサンスイ釣具店で修理したついでに網が古くなっていたのでシマノの深いタイプの網に交換しておいて良かったです。
以前の浅い網では大ダイの胴体の中程までくらいしか入らなかったかもしれません。
魚の入ったタモを磯に置いてハリの掛かりどころを見てみました。
グレメジナ6号は大ダイから見るとほんとに小さなハリです。
ハリはガッチリと大きな口の横のカンヌキに掛かっていました。
Sさんにスカリを投げてもらい、私は大ダイをスカリに入れました。
スカリがそう大きくないのでシッポが口からはみ出ています。
「よう粘って釣り上げたな」とSさんが声をかけてきます。
「ハリス1.7号でしたので、最初はあきらめていましたが、根を巻かずに走ってくれたので今日はついていました」と私は返事しました。
私はハリスを張り換えようと座ってお茶を飲んで、ゆっくり仕掛けを作り直しました。
道糸を見ますとウキ止めが10mほど上にずり上がっていました。
魚の走るスピードがすごいので、ウキの抵抗でウキ止めがずり上がったものと思われます。
私はウキが沈むところからゆっくり時間を巻き戻しながら、充実感に浸っていました。
取り込みまで7,8分かかったでしょうか、ハリス1.7号で良く持ったと思います。
レイダム1.5号が大ダイの引きを柔軟に受け止めてくれ、勝負するときは強い腰で寄せることが出来たので、この細ハリスでも捕れたと思います。
あらためて、竿、リール、道糸、ハリス、ハリのバランスでフカセ釣りの細い仕掛けでも大きな魚が釣り上げられるものだなと思いました。
もう1度くらい大ダイが来るかも知れないと思い、ハリスを2.5号に張り替えましたがその後は夕方までベラしか釣れませんでした。
Sさんは4時頃に7ヒロで38cmのチヌを釣りました。
私がタモ入れをして魚をはずしてスカリに入れました。
「これで何とか今日はボーズのがれや」とSさんが笑っています。
6時30分になり、船が迎えに来ました。
スカリに入っている大ダイを見ると「ホー、やったな」と船長が声をかけてきます。
渡船店で計りますと67cm、4kgでした。
「アシダカ」から見ていたという釣り人は「時間がかかりましたね。途中で竿を置いたのでバラシたのかと思いましたよ。よくこんなの上がりましたね」と感心していました。
船長には「これでまたマダイ狙いで通いますわ。また来ます」と言って西小川を後にしました。
家に帰ると鬼嫁が魚を見てこれは料理が大変というので、近くの小料理屋さんに魚を預けました。
ついでに、久しぶりに小料理屋のカウンターで、家族3人でおでんなどをつつきました。
疲れた身体に生ビールが心地よくしみこみます。
こうして家族で食事をしてリラックスしていると、なんだか難しい仕事を終えたあとのような充実感がわき起こってきました。
今回、細ハリスでの大ダイとのやりとりはホンマにスリリングでした。
途中で休憩を入れたりして相手の様子を見るなど、少し私もベテランの域に入って来たのかもしれません。
いままでさんざん大物をバラして少しは学習したということもありますが。
実際に人生でもピンチをしのいで何とかウマイ方向に持っていくという事はありますね。
ビールの酔いも手伝ってか、いつものように「釣りには人生があるな」と思い返されました。
このところ愛用している磯竿、ガマカツのレイダム1.5号は、買ってから色々な大きな魚を釣り上げています。
和歌山県口和深でイズスミ72cm、若狭の音海でチヌ52cm、カンダイの50オーバー、三重県尾鷲でクチブトグレの48.5cm、そして今回のマダイ67cmです。
穂先は柔らかいのに大物がかかって胴に乗ると竿の力が出て、決してのされてしまうことがありません。
繊細さと力強さを併せ持った竿です。
この竿は「なかなか大した竿だな」と、またいっそう愛着がわきました。
磯釣りは思わぬドラマがあるから楽しいですね。
フカセ釣りでまたマダイを仕留めようと、今年はまた西小川に通いそうです。
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きれいなメスのマダイでした。 67cm 4kg |
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